公開処刑寸前「待った」 ● 被害者の父が赦免申し出 ●

イランで、殺人罪で死刑が確定した青年が、テヘラン市内の広場で絞首台にのぼり、公開処刑が執行

される寸前、この青年に息子を刺殺された父親が赦免を申し出たために、処刑を免れるというドラマが

あった。 処刑は二日朝に予定されていた。モルテザ・アミニモガッダム受刑者(18)はラマダン(断食月)

入り後の先月十一日、喫煙をした弟を注意した風紀取り締まりの民兵、ハディ・モヘビさん(22)に腹を立

て、ナイフで刺し殺した。 イスラム教では断食中、喫煙も禁じられている。事件は極めて迅速に処理され

、先月末には最高裁が死刑を指示し、 刑が確定した。処刑は広く注目された。事件は突発的で被告は

若年者であるのに、重過ぎる刑が下されたとして国民の多くが受刑者に同情したからだ。処刑台の上で

首にロープをかけられ、泣き叫ぶ受刑者を目の前にしてハディさんの父、エプラヒムさんは赦免を申し出

た。「寛容の模範を示した」と説明したこの父に、広場の観衆は喝采した。 イラン刑法は復しゅう思想に

依拠しており、殺人の場合、犠牲者の親族には犯人に対する極刑適用を求める権利がある。 アミニモガ

ッダム受刑者は赦免後、刑務所に収監され、事件は下級裁判所に差し戻された。(テヘラン 佐藤秀憲)

 

帰国の日の読売新聞・・2000年1月6日木曜日

不思議な気がした。この国に行ってきたんだ私