政治と行政について

  1. 国会と議院政治について

  2. 税収と国家予算

  3. 国と地方自治体

  4. 特殊法人と天下り

  5. 圧力団体と族議員


[ホームページのはじめに戻る]



  1. 国会と議院政治について

     「国会は国の最高機関であり、立法を司どり、更には行政並びに司法についてチェックする機関である」というのは学校の教科書で習ったことであろうか。
     日本の議院内閣制では、一般的に多数派政党の政府のもとに衆議院議院および参議院議院の2院制をしいており、国会は政府与党とそれ以外の野党政党との間で審議が行われているのであるが、実際には時間切れで多数派与党の押し切りで終わっているのが現状ではなかろうか。国会が審議機関というには、あまりにもお粗末と言えよう。

     しかし原則的には議員立法という形をとっているのであるが、実は長い間の慣習により官僚による立法にほかならない。これは議員立法制度そのものが不十分な体制であるのかもしれないが、そのことが政府自身が官僚に支えられているため官僚行政のチェックがどうしても甘くならざるをえないし、また野党側にしても十分なチェック能力があるかどうかは定かではないように思う。やはりこれらは制度として確立しなければならないところであろう。

     最近伝えられるところによると、橋本内閣は総務省を新設して内閣機能を強化するという方針であるから、今後の行政改革に期待するしかない。
     この仕組みは地方行政においても同じで、国から補助を受けることによって親方日の丸的な行政組織が出来上がっており、地方行政の自立が出来ていないため、予算獲得のために地方自治体の陳情団が上京し、これが族議員の存在をあらしめているものと考える。
     我々国民も選挙の意義を投票の義務としか考えていないし、国会の審議についてとんと関心払っていないのが現実ではないかと思う。私自身、今になって無関心であったことを痛感している。
     はなはだ難しいことかもしれないが、国民の一人一人がこの点を十分認識して、政府の政策や国会の審議、各政党の活動について関心を持つようになることが、選挙を通して国会の、いや政治の正当性を高める元になるのではないかと考えている。

     正しい国会の運営のためにも、内閣が官僚に頼らない別の、立法に対する検討審議機関を持つ必要があるし、司法、行政のチェックについても中立の立場にある監査機関を持つ必要があると考える。
    また野党は国会において政府の提案による立法の審議に参加できても、それを覆すことは出来ないという不文律をどうするか、今後の課題ではなかろうか。このことは与党と野党のあり方の問題とも言えよう。また、審議についても国会が十分な機能を果たすようにならなければならない。

    ( Jun. 1. '97 更新 )

  2. 税収と国家予算

     ここで、私達の不公平税制を論じる前に日本の国家予算について眺めてみようと思う。
     平成8年を例にとって、まず国の収入である歳入の内訳を見ると、所得税収入が全体の26%、法人税収入が18%、消費税、酒税、たばこ税、ガソリンなどにかかる揮発油税等ひっくるめて25%、その他雑収入等が3%余り、そして驚くなかれ財政赤字の主原因となっている国債発行による収入が何と28%!となっている。

     国債は、御存じの通りいったん国民からお金を借りて、ある年月が経った時に利息とともに国民に返済する訳で、国の借金という訳である。公共事業の多くは、この国債によって賄われている訳で、国の支出である歳出の大幅な赤字の原因の一つになっているのである。

     では歳出の内訳はどうなっているのだろうか。
     一番大きいのは、何といっても国債の償還費等で22%、次に社会保障関係費が19%、地方交付税交付金が18%、その次が公共事業関係費が13%、防衛関係費7%、教育、科学振興費等が8%と続く。

     これで見て分かるとおり、国債の歳入28%に対して、その償還費が22%ということは、赤字国債がますます増えていくことになる。それに地方交付金関係が18%も占めるということは、益々陳情と族議員の活躍場所が増えることであるし、また地方自治体の中央依存と無駄な開発が無くならないということであろうか。公共事業費の13%も地方交付金も含めて考えると31%となり、とんでもない金額ではないだろうか? 防衛関係費の7%も戦争放棄を掲げる平和憲法のもとでは、決して小さいとは言い難い。そのためかどうかは知らないが、そろそろ憲法改正がささやかれる昨今である。

     以上は、国の一般会計について述べたものであって、これとは別に一般会計の75兆円に対して、その3倍にあたる260兆円の特別会計予算が存在する。これがまた私達一般国民にはよく理解できないものである。
    その中身は各省庁が管理する予算で、厚生省が管轄している厚生保険、国民年金、大蔵省の国債整理基金、資金運用部、郵政省の郵政事業、郵便貯金、建設省の道路整備、治水、農水省の食料管理等がある。

     私達はこれら国家予算がどう使われるのか関心があっても、とうていその中身を十分理解することは困難を極める。そのために私達は国会へ私達の代表として選挙を通じて議員を選出し、私達国民のために政治を任せている訳であるが、はたして私達は正しい代表を選択しているのであろうか?( Jun. 27. '97 )

  3. 国と地方自治体

    政治改革が叫ばれている中で、実際には改革が思うように進んではいません。これは保守政権である以上、革新的な事はやらないのではないかと言う考え方もあります。以下の章にも関係がある事ですが、現在では、国が全ての実権を握っているため、地方自治体の自主性は低く、大型の公共事業などについては予算の分捕り合戦となり、これが地方の首長と国会議員との「顔」のつながりが大きな影響を及ぼしますし、実際に公共事業を計画する官僚との馴れ合いや工事を施工するゼネコンとの癒着の問題にも発展します。

     これらを改善するためには、一つには、地方自治体の独立制を確保する事と、地方自治体に対する国の補助金や助成金制度を見直す必要があります。国家予算の中で計画しなければならない大型の投資に関しては、国が主体となって予算化し、地方自治体の意見を取り入れて実施するようにし、各地方自治体の利害に関係する独自の計画については、国家予算ではなく、各地方自治体で予算化し、受益者負担の原則から目的税として徴収を実施するようにしなければなりません。そうすれば、直接自分達の税金に跳ね返ってくるために、今までのようなムダとも思えるような計画は無くなると思います。そのためには、地方自治体に、独自の判断による租税・課金の権限を大幅に委譲する必要が生じます。但し、野放しにすれば、国全体での統制が欠ける心配もあるので、計画の承認は国会で行うようにする事がよいでしょう。

     もう一つは、全ての計画の情報公開をして、計画の目的・内容、予算や入札方法、施工金額、環境アセスメントの結果報告などを国民あるいは市民全般に明らかにする事でしょう。情報公開は少しづつではありますが、進められてきてはいますが、まだまだ、聞きにくれば教えましょう、見に来ればある程度は見せましょうと言う役所の対応が多いようです。行政は、私たち国民の税で、私たちの代りに仕事をしているわけですから、仕事の内容については全てを明らかにしなければなりません。

     これは、私企業で給料を得ているサラリーマンでは、業務上の予算計画や実施後の効果について明らかにして、業績考課を受け、その結果企業が得た利益の一部を給与として受け取るのが当然のように、税金で給与を得ている公務員は、租税を収めている市民に対し、その業務の全てを公開するのが当然といえましょう。更には公務員も、その仕事の業績考課にしたがって給与が支払われるようにならなければ、ムダな仕事を減らす事は出来ません。既に、三重県の北川知事はそれを明言されています。

     とは言っても、情報の公開が行われても、情報の信憑性が確立されていない限り、その情報を信頼する事が出来ませんので、そのためには、それらの情報に対する利害関係のない第三者の監査システムを確立しておかなければなりません。それによって、情報公開制度が有効となり、地方分権制度も活きてくる事になります。( July. 25. 2000 )

  4. 特殊法人と天下り

     特殊法人は、各種金融公庫、公団・事業団の類で92あるが、その中でも、活動しているかどうか分からず、存続の必要性を見直す必要もありそうだし、経営内容をきちんと監査して公開する必要があるのではないだろうか? 単に、官僚や議員の天下り先としての価値で存在しているだけだとしたら、効率の悪い特殊法人は廃止しても良いかもしれない。郵政三事業でさえも民営化の話題になるこの頃であるから、いっそのこと民営化の方がより良いのではなかろうか?

     また官僚の天下りについては、相変わらず、建設省や自治省から大量に天下りや出向者が増加している。これは次章にも出てくる族議員と同じ性格で、中央と地方とのパイプ役としての目的で、公共事業費や補助金の獲得のために、必要悪として存在しているようで、この弊害を無くすためには、地方分権制度の確立による地方財政の独立がどうしても必要である。本質的には天下りと言う行為が悪いのではなく、権力と地位の悪用にあるので、権力や地位を利用できないようにする事が肝心である。( July. 25. 2000 )

      

  5. 圧力団体と族議員

     圧力団体の代表は、何と言っても世界に名高い農協団体ではないだろうか? なにしろ多くの自民党の票がかかっているために、現在の自民党政権である限りこの圧力は避けられまい。そのほかにも自動車工業会、石油化学工業会、医療業界と医師会、医薬品工業会、土木建設業界等が考えられる。いずれにしても政権を維持するための票田であるから、族議員の活躍場となりやすい。

     現実には、これらの弊害を無くすのは大変難しいが、政治家の倫理規定を明確にするのも一つの方法であるし、政治家や官僚の権限や許認可の範囲を縮小する必要がある。ただ、それらの権限を決めるのが政治家である限り容易な事ではない。 そのために、現在の政党政治、多数の議席を獲得した政党が内閣をつくる方式を改め、首相を公選として、内閣には各政党から人材を募り、あるいは一般から広く人材をもとめて、政党に偏らない内閣により運営して、国会での議員立法を効果的にする議会運営に求める事は困難な事であろうか?

     また、長期間議員に留まる事は、より一層「政」、「官」、「民」の癒着を生みやすいし、大老議員の派閥の悪弊が残るので、70才議員定年制と、継続できる議席期間を3期12年以内に制限し、休席期間を充電期間として、在野で研鑚に励むようにしてはどうだろうか? はたして暴論であろうか? ( July. 25. 2000 )


    [ホームページのはじめに戻る]