% 答が一つじゃつまらない?

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\markright{\sf tmt's Math Page}

\begin{document}

\section*{●答えが一つじゃつまらない?●}

\begin{enumerate}

\item[{\gt S:}] ただいま、はあ $\cdots$。

\item[{\gt F:}] おかえり。そんなに沈み込んでどうしたんだ。

\item[{\gt S:}] 今日数学のテストが返されたんだけど、約分するのを忘れて×にされた問題がいくつかあったんだ。おかげで10点も損しちゃった。答えはあってるんだから半分ぐらい点をくれてもいいと思わない?

\item[{\gt F:}] どれどれ、どんなテストだったのかな。ははあ、こことここが約分しないで×になってるとこか。確率の問題なんだ。

\item[{\gt S:}] そうだよ。特に最後の問題はやっとの思いで $15/36$ って答えをだしたのにさ。約分してないから×ってのは納得いかないよ。

\item[{\gt F:}] そうだな。だけどこのテストはいちばんはじめに「約分できる数は約分すること」って注意書きがあるじゃないか。お父さんも半分ぐらい点をくれてもいいじゃないかって思うけど、はじめにこう書いてあったらしかたない。それがテストってやつだよ。

\item[{\gt S:}] そう言われちゃなにも言い返せないけどさあ。だけどこれは確率の問題でしょ。$15/36$ って 36 通り中の 15 通りって意味だからこのままでいいじゃん。約分して $5/12$ にしちゃったら 12 通り中の 5 通りって意味になると思わない?

\item[{\gt F:}] 言いたいことはよくわかるけどなあ。それでもやっぱり答えとするなら $5/12$ とするべきだよ。

\item[{\gt S:}] でも、それじゃ意味が変わるような気がする。

\item[{\gt F:}] たしかに $15/36$ と $5/12$ だけ見れば別の意味かもしれないけど、「率」という点ではどっちも同じだろ。だったら約分しておいたほうがわかりやすいわけだ。

\item[{\gt S:}] 結局 $5/12$ 以外の答えはみんな×なんだね。なんか面白くないなあ。

\item[{\gt F:}] どうして。

\item[{\gt S:}] 要するに答えは一つしかないわけでしょ。そういうのって僕の性に合わないよ。

\item[{\gt F:}] テストなんだから答えは一つに決まってるじゃないか。もっとも、答えが複数でるようなテストがあってもいいと思うけど、色々な事情ででテストの答えは一つになるようになってるよね。今回のこともテスト上でのことなんだし、不注意だったと思って次回の反省にしておけばいいじゃないか。

\item[{\gt S:}] じゃあテストだったということであきらめるよ。だけどテストじゃなくても数学は僕の性に合わないと思うな。いつだって答えは一つだし問題の解き方もだいたい決まっているしね。こういうのってレールの上を走らされてるようで気持ちわるいよ。

\item[{\gt F:}] はは、レールの上を走らされてるってのは面白い。でもそれは認識不足ってやつだ。数学はレールの上を走らされるどころか、空を飛ぶ鳥のようになれるものなんだよ。

\item[{\gt S:}] えー、冗談じゃないよ。だいいち数学の問題って、ちょっとでも違う考えをしたら全然答えなんてでないじゃない。正しいやり方を覚えていないとどうにもならないんだから。

\item[{\gt F:}] もちろん間違った考えをしたら答えに行き着かないさ。それに正しい考え方というものはあっても正しいやり方というものはないんだよ。

\item[{\gt S:}] 正しい考え方と正しいやり方って同じことじゃない。

\item[{\gt F:}] これは言い方がまずかったな。正しい考え方をしていればほかの人と違うやり方でもきちんと同じ答えにたどり着くんだと言いたかったんだ。正しいやり方は一つだけじゃないということさ。

\item[{\gt S:}] でも学校で先生は「この問題はこう解く」って言ってるよ。ときどき別の解き方を教えてくれることもあるけど、ほとんどの問題が決まりきったやり方でないと解けないようになってるもん。

\item[{\gt F:}] うーん。教科書にでている例題を中心に勉強すればそうなるなあ。教科書は洗練されすぎているから、どうしても効率のいい解法しか載せられないんだ。本当は一つの例題に対して何通りも違った考え方や解き方があって、どれが正しいとは言い切れないものなんだ。だけど授業の時間は限られているし生徒は点数が取りやすい方法を好むもんだから、せっかくの独創的なアイデアを持っている子の考えが生きないようになっちゃてるんだ。

\item[{\gt S:}] よくわからないけど、数学の問題の解き方には決まりはないっていうことなの?

\item[{\gt F:}] そうだよ。

\item[{\gt S:}] だけど先生には「そのやり方じゃだめだ」ってよく言われるんだ。

\item[{\gt F:}] それは本当にだめなやり方をしているからじゃないかな。

\item[{\gt S:}] そうかもしれないけど、もしかしたら正しいことをしてるかもしれないわけでしょ。

\item[{\gt F:}] でも、そのことはだれにもわからないよね。

\item[{\gt S:}] じゃあ結局先生の言うやり方を覚えなくちゃいけないんだ。

\item[{\gt F:}] 覚えるって表現はあまりいいものじゃないなあ。数学は暗記の科目とは違うんだから。ま、このことは別の機会にでも話そう。もし、どうしても自分のやり方で解きたかったら、そして自分のやり方が正しいかどうか知りたかったらいい方法があるぞ。

\item[{\gt S:}] どんな?

\item[{\gt F:}] 先生の言うやり方で答えがでるんだから、その問題の答えはあらかじめ知ることができるよね。だったら自分のやり方で色々考えてみて同じ答えになるかどうか試してみたらいい。そして幸運にも同じ答えになったら先生に聞いてみるんだ。このやり方ではいけないんですかってね。それでいいということになれば自分で別の解き方を発見したことになるだろう。

\item[{\gt S:}] ふーん。同じ答えにならなかったら自分の考えは違ってたってわかるんだ。それってショックだな。

\item[{\gt F:}] まてまて、同じ答えにならないからって間違ってるとは限らないぞ。自分では気付かない見落としがあるかもしれないからね。それに万一間違った答えになったとして、そしてその原因がわからなかったら先生に聞いてみるといい。どこが正しくない考えだったのかがわかると思う。本当は数学ってかなり自由な考えをするものなんだよ。

\item[{\gt S:}] それじゃあ、これからは色々な考えで問題を解いてみるよ。

\item[{\gt F:}] そうだな。そのほうが数学の楽しさがよくわかると思うよ。

\end{enumerate}

\end{document}