リュキアンの微笑み亭 日誌(10/1〜10/30)


戻る

 

留まる事は許されざれば
10/2/“黒影の闘衣”アーヅェルハイン(ハイン)は語る

■「ブランセ君、いつもの頼みますよ」顔馴染みの店番の少年に声を掛けつつ、別の用事を果たす為店に入る。「これ1つで500ガメルと言った所ですね。メジオンで紅い鰐の体内から出て来た物です・・・こうして見ると懐かしい物ですが。貴重品の預け賃をお支払いしますね」■・・・色々と思い出す事が多かったな。枯れかけた喉を紅茶で潤し、一息付く。遺体は無いと聞き知ってはいたが、花束二つと鎮魂歌を捧げて来たのだ。リファールに留まる事まだ一年に及ばないが、私が故郷で生きた時間よりも多くの事があったと思う。■家賃の支払い(またも二ヶ月一括払いになった)を済ませた今、手持ちの貨幣は目減りしている。軽い財布と言う現実に目を逸し未来に意識を向けるも、旧い私の姿を持ったあの腐れ化石は、崩壊の大魔術でも叩き付けねば死なぬ様な気がしてならん・・・。■「気晴らしになるような話は無いですか?」ブランセ君に尋ねてみる。言ってしまえば、暇で居る事が苦痛なのだが。・・・買い物も紅茶葉以外はさして楽しいとも思えんし、また辺境で魔術の打ち放しでもしに行くかな・・・?

 

気の晴れない話
10/3/“店番の”ブランセは語る

■「何か気晴らしになるような話はないですか?」 そう訪ねられた僕は、答えになる物を探すのに時間がかかった。ここ最近聞く噂はあまりよいものではなく、「どこかの村が魔物に襲われて壊滅した」とか「リファールから離れて森でドラゴンが飛んでいる姿を見た」とか街の人たちが不安になるようなものばかりだ。まあ、そういう話って冒険者の人たちにとっては仕事の種になるんだろうけど、この店にはそういった事件を解決してほしいというようなお客は来ていない。■アーヅェルハインさんから預かった品物のおいてある棚を見ながら、ふと昨日の会話を思い出してしまった。

 

なんてマヌケなんだろう
10/3/ウォルター・ヒュンは語る

あたた。町外れで野犬に襲われてしまいました。僕は店に入るなり店番に話し掛けた■トホホホ、、、逃げる途中で、露天のリアカーひっくり返しちゃうし、お尻かまれちゃうし、さんざんでした■一緒に冒険につれていってくれるはずっだった人達にも、そのことがばれてて、おまえみたいなどんくさいやつはいらないって断られるし。僕、冒険者に向いてないんでしょうか?■僕は、リヤカーの修理代でだいぶ痩せた財布をとりだした。どうやら2、3日分の宿代と今晩の酒代ぐらいはありそうだ。■店員さん、このマヌケな僕に果実酒一杯。今晩は飲んでやる!■はーっ、こんな僕でも仲間に入れてくれる慈悲深いお人はいませんかね。

 

オーラ感知
10/16/”エンジェル”セレスは語る

辺りを見回しながらぶらぶらと散策していると、感じのいい店を発見。立ち寄ってみることにしました。■中にいる冒険者風の人たちは、どことなく殺伐とした印象を与える方々ばかり。つい、話し掛けることをためらってしまいます。おや? あそこに座って、一人で果実酒を飲んでいる人から、話し掛けやすそうなオーラが(笑)。耳が少しとがっているような・・ハーフエルフの方でしょうか。声、かけてみましょうか。「すいません、隣いいですか?」

 


10/16/ウォルター・ヒュンは語る

そうなんですか、お酒は飲ませてくれないのですね...どうやらこのお店は、酒場ではないらしい。とってもがっかり。店員さんに酒場の場所を教えてもらい、月光亭に向かうことにする。■そんな時、後ろから話し掛けられた、冒険の戦利品でも預けに来たのだろう。そんなことはこのさいどうでもいい。今晩は、話し相手が欲しかった。■「僕と一緒に飲みにいきませんか?馴染みの店があるのですよ」そう言えばこの街にきて、友達といえる人はいなかった。その前もそう呼べる人は、優しいドラゴン並みにいなかったけど...

 

ごあいさつ
10/19/ミージーは語る

「すみません,なにか軽い食事を」ふと目に入った食堂(だと思う)に入って,食事を注文した。■ここがリファールかぁ。森からずいぶん来ちゃったのねぇ。すっかり旅なれちゃったわ。しばらくはここで過ごしてみよう。そうだ,お金大丈夫かな・・・■「すみません」あたしは食事を運んできた子にたずねてみた。「私,旅の者なんですけどどこか仕事を紹介してくれる所ありますか?」

 

表面だけの平穏?
10/19/“店番の”ブランセ(NPC)は語る

■「軽い食事を」って入ってきた女の人がいたから、目玉焼きの乗ったパンを持っていった。仕事の紹介先か……今冒険者を募ってるって話は聞かないかな。チャ・ザ神殿の募集はもう人が決まったって言う話だし。■この街でも冒険者がよく集まる宿屋酒場は3軒あるから、そのどこかで何かあるかもしれないっていう話はした。もちろんこの店にそんな話が来たらできるだけ早く教えてあげますって言ってたけど、最近平和なんだかそれとも知らないところで何かが起きてるんだかわからないからなぁ。

 

平穏である事
10/21/“黒影の闘衣”アーヅェルハイン(ハイン)は語る

■『人間の理性は、たいへん建築好きにできているので、なんべんとなく高い塔を築いては、あとからまたそれを壊して、土台が頑丈にできているかどうか調べたがるものである』■私が学院(に限ったものでもないが)嫌いなのは、権威嫌い以前に建築を好む人間の性なのである・・・と言うのは流石に婉曲なテロ予告だろうか。ここ数日は研究の為、ラーダ神殿に書籍閲覧に通っていたのだが、琴線に触れた文章がこれであった。■「神殿、か」───六大神を祭る、異端の古代神殿。「いえ、ラーダ神殿にちょっと通っていたのでね」あれを壊しでもすれば、多少は気が晴れでもするか? などと思ったのだが、一瞬漏れた殺気を慌てて抑え込み紅茶をお代わりする。■街の佇まいは、至って平穏なものだ。平穏であるが故に、心の何処かでそれが破られる事を願っている。・・・やはり暇なのか、私は。

 

僕が紅茶を飲む理由
10/23/隻眼のライカは語る

「ブランセ君、いつものお茶と焼き菓子をお願いします。」椅子に腰掛けながらそう頼んだ。僕はここに来ると、たいてい紅茶を飲んでいる。森の中ではあまり好きじゃ無かった紅茶も、冒険者になってから・・・いや、ある女性に会ってからは好きだと思えるようになったから。僕は彼女の聡明さや実行力に憧れの気持ちを抱いているし、彼女の様になりたい、とも思っているんだと思う。だからこそ、彼女の好きな紅茶を好きになれたんだろうね・・・■運ばれてきた紅茶を飲みながら、僕は昨日までの冒険で手に入れた報酬を、じっくりと眺めてみた。ほとんど暇つぶしのつもりで行った冒険で、まさかこんな面白い物が手に入るなんてね。紅茶を飲み終わったら誰かを誘って競走でもしてみようかな。