ADVENTURER'S SHOP
旅人の店「リュキアンの微笑み」亭
■旅人の店「リュキアンの微笑み」亭はリファールの街の南部、船着き場のそばにある雑貨屋です。ときどき間違われますが、ここは「酒屋・宿屋」ではありません。旅人のために荷物を預かったり、手紙や小荷物の運送の窓口となったり、旅のための食料や装備を販売するための店です。
店の大きさは10メートル四方ぐらいで、食堂や酒場よりもちょっと広い作りになっています。しかしそのほとんどには厳重に梱包された木箱が積み上げられています。これは冒険者達がここに預けている荷物です。
さらに地下が貴金属の倉庫、二階が店の主の住居になっています。
営業時間は通りにテーブルや椅子を出して、カフェテリア形式で自由に休憩したり、軽食を食べてもらえるようになっています。ヒマな冒険者や船頭がここでのんびりと時を過ごすこともあります。営業時間は朝の5時から夜の9時までです。
■店の人々ラマーニ
店の主人です。人間で四十歳の大男です。
彼はかつては城の兵士でした。先王に良く仕えたということで、店の名前にリュキアン姫の名を関することを許されています。
愛していた妻を病気で失った後にこの店を開きました。本当は冒険者としての暮らしをしてみたいと思っていたのですが、自由が手に入ったときには、もう歳をとりすぎていたのです。
十五歳になる息子「ブランセ」と義父である魔術師「ヨアヒム」と三人で暮らし、この店を切り盛りしています(残念ながらこの店に女っ気はないのです)。そんなに見目良い男ではないのですが、豪快かつ愛嬌のある性格は街の女達に人気があります。
店が終わったのち、ときおり美女を伴って酒場で賭場でその姿を見かけることがあります。人生を謳歌しているようなラマーニですが、それには妻の死の悲しみから逃れるためという面があるようです。
帰ってこなかった冒険者の財産を没収して潤っている、という噂がありますが、実は彼が裕福なのはこれまで貯めこんだ兵士の給料と退職金によるもので、店の売上のほとんどはオレイアス大臣の闇の財源である「オレイアス基金」に寄付しています。「がははっ、その様子じゃ、遺跡のお宝はあてが外れたって感じだな?」
「おう、気をつけていって来なよ。一年経って顔を出さなかったら、預かり物は売っぱらっちまうからな!」ブランセ
十五歳になるラマーニの息子であり、もっぱら店番、そして料理役をやっています。人間です。
城に勤めていた父に代わってずっと病に伏せっていた母親の面倒を見ていたので、女性のようにこまやかな家事をすることができます。もっとも女性っぽいと思われるのは嫌いで、少し不良っぽい「いきがった」態度をとるときもあります。
年齢にしては長身で、まあハンサムな少年です。「ああ、それならあそこで聞いてみるといいよ?」
「お客さん、まあ元気だしなよ」ヨアヒム・クラックボトム
60歳になる人間の魔術師/賢者です。かつては冒険者として西部諸国を行き来したものですが、十年前に引退し、リファールに暮らしています。すでに肉体的にかなり衰えており(魔術的な呪いの影響があるようです)、賢者の学院に顔を出すことも稀です。口ではそうは言いませんが、ラマーニに世話になっているのを心苦しく思っています。「せいてはことを仕損じる……ふぉっふおっ、ワシみたいにな」
「大事なことを忘れると、大事なものを無くす。当然の結果じゃよ」
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