| 剣舞曲(12/30) |
| ”剣姫”ティキは語る |
切っ掛けとなったのは花屋のおばさま、リディさんが噴水に投げ込んだ花束。堰を切ったかのように、そこだけ長い冬が通り過ぎ芽吹きの季節がやってきたかのように、夢か現か判断し兼ねるように、溢れ出すかのように響きだす音楽。祭りだ、と叫ぶ誰かの声。一瞬キョトンと目を見張ったあたしが振り返ると、この市場でも何度か見かけたことのあるエルフの吟遊詩人が微笑んでいた……お祭り!あたしの身体は途端に疼きだす……今にも足がステップを踏み出しちゃいそう!☆うきうきした気持ちを押さえ切れずとうとう「ええィ!」とばかりに荷物を放り出そうとしたとき「よぅ、また会ったな”剣姫”よ」声を掛けられてあたし振り向くと、ソコには数日前にここで踊っていたトキにいつのまにか伴奏をしてくれてた吟遊詩人(にしては身のこなしが隙なさすぎだったけどネ)……確かやたら物騒な名前を名乗っていた……が立っていた。あたしと同じように旅装束の彼は周囲を見渡すと、一曲どうかと申し出てくる。あたしはその時既に浮き足立ってて居ても立ってもいられない状態だったから二つ返事で……と、おっとと、あたし待ち合わせの途中だったんだッけ、ふと思い直したときに「やあ、ティキ!」待ち人の声を聞いた。「カイルと知り合いだったのかい?」カイル?あたしは目をぱちくりさせて待ち人……ステファンとカイルというらしい男の顔を交互に見比べる。それからもう二人、フィニットと、それから知らない男がその後ろに続いているのも見て取った。眉を顰めて首を傾げたあたしに目の前の無表情男は「…俺は”殺霧”カイル・マイスト。改めてよろしくな、仲間達よ」……直後、何かを察したらしいステファンがぷっと吹き出す。えェ?つまりソノ……馬鹿がまた増えたってことよネ……まだ笑い続けてるステファンの方を見遣り、あたしは……直後大爆笑した。☆それから……彼らと一緒に居たフィニット。てっきり彼も馬鹿の仲間かと思ってたら違って、あたし達を見送りに来てくれたらしい(そうよネ、だってフィニットだもの)。それぞれに別れの言葉を述べるフィニット……彼のような人が居るって分かってる限り、この街に戻ってくる楽しみってヤツがあるってことだもの。「また逢いましょうネ」あたしは言葉少なに、それでも気持ちは充分過ぎるほど込めて。答えた。☆響き渡る軽快な音楽と喧騒の中、旅立ちの決意を新たにするあたしの『仲間』達……あたしはその腰を折ると知りつつも、その一言を言わずにはいられなかった……「その前に一曲躍らせてネ。景気づけヨ」あたし、腰に差した鈍らの剣を引き抜く。あたしも含めて皆の武運を。祈りを込めて……あたしは力強くス最初の一歩を、踏み出した。 |
| Gardenberg Report 第一部最終章:人と道の交わる場所で(12/30) |
| “祈らざる癒し手”フィニット・ガーデンベルグは語る |
●●ステファンさんとティキさんの旅立ちを見送りに来た僕は、先に立ち寄った月光の煌き亭で懐かしい顔と出会っていた。以前、エリュシオン山で冒険を共にした陽気な戦士、リーフさんだ。「久しぶりですね。リーフさんも旅立ち組ですか」●テーブルには、ステファンさんの知り合いらしい青年が一人いた。彼の名はカイル。この人も今日、リファールを経つと言うことだった。「出会ったばかりでお別れと言うのも残念ですが、また会えたら一緒に冒険しませんか?僕は当分この街で、冒険者を続けるつもりですから」僕はグラスを掲げる。「――では、僕からもみなさんの旅立ちと行く先の幸運を祈って…。乾杯!」●●彼らと共にやってきた市場には既にティキさんの姿があった。誰かが噴水に花を投げこんだらしく、この時期には珍しく賑やかな楽の音と合わさって、冬だと言うのに明るい雰囲気をかもし出していた。どうやら年送りと年迎えのお祭りが始まっているらしい。●さらに珍しい事には、薬草店のミュートさんも祭りの輪の中に加わっていた。「こんにちは。ミュートさんもお祭りが好きだとは知りませんでしたよ」「別に。旅行に出る準備をしていたら、リディに連れ出されたんだ」「旅行…ですか?」「ああ、ちょっと新しい薬草でも探してくるつもりだよ」「なるほど。…気を付けて行ってくださいね。面白い草が見つかったら店に見に行きますよ」●市場には、様々な人々の歩む道が集まり、幾重にも重なっている。吟遊詩人たちはここで起こった出会いと別れ、様々なドラマを語り継いで行く。そうして街の歴史がまた一項、綴られる…。●短い旅。長い旅。行き先や目的を決めている者、当てのない者。帰る場所を持つ者、持たない者…。そんな人達の旅立ちを見送り、いつか彼らが帰って来れる場所を守る者も、一人くらいは必要だろう。そして、僕はその役を選んだ。「ステファンさん、ティキさん、リーフさん、カイルさん…四人ともお元気で。次に会う時を楽しみにしています」●●さらに他の冒険者達も集まり、彼らと挨拶を交わしている間に、僕はもう一度ミュートさんを探した。「じっとしていても寒いだけですよ。…踊りませんか?」僕は呼びかけながら彼女の手を取る。相変わらずの無表情。やがてため息とともに、小声の返事が返ってきた。「……最後くらい、付き合ってやっても良いか……」「光栄です」●僕達は踊りの輪に加わった。軽快な音楽に合わせて、ぎこちなくステップを踏むミュートさんは店に閉じこもっている時よりもずっと快活に見えた。愛すべき夢見る都、リファール。僕がこの街で見届けるべきものが今、また一つ増えたような気がした。●いまだに続いている賑やかな楽の音は、いくつもの出会いと別れ、終わりと始まりを彩り、あるいは祝福するかのように、街中に響き渡っていた。 |
| NEVER END!(12/30) |
| ”殺霧”カイル・マイストは語る |
ステファンやリーフと市場にやって来た。…今日は祭りらしいな、いつもより活気がある。吟遊詩人は歌い、踊り子が舞う。ティキというのはどんな奴だろう? 名前からすると女のようだが…と、わかるはずもないのに市場を見回す。…その中で先日知り合った踊り子の顔を見つけたのだ。挨拶して行くか…「よぅ、また会ったな”剣姫”よ」 ”剣姫”も俺に気付き、手をあげる。「…今日は祭りのようだな、どうだろう? 一曲付き合ってくれないか?」「やあ、ティキ! カイルと知り合いだったのかい?」…こちらに気付いてやって来たステファンが、”剣姫”に話かける。「カイル?」と聞き返す”剣姫”。確かに、俺も”殺霧”としか名乗っていない。…なるほど、彼女が”剣姫”ティキか。リーフもやってくる。…「…俺は”殺霧”カイル・マイスト。改めてよろしくな、仲間達よ」改めての自己紹介。 事情がわかったステファンが「ぷっ」と吹き出す。つられて俺も笑ってしまった。…この新たな仲間達との冒険に、心から期待している自分がいた。…行くぜ!! |
| 祭りの夜(12/30) |
| フェリシア(NPC)は語る |
そわそわしている旅人達は、いずれこの街をでてゆくものでしょうか。人は流れ、いろいろな色に染まって行く。楽しみに染まった微笑みと、弾けるような足取りであそこを歩くのはたしかティキさんでしたね。彼女の紡ぐ物語に波瀾あれ。幸せと、スリルと、楽しみに満ちたものであるよう、そして、彼女がまたここに戻ってくるよう……。「そのときは、変わらずここにいるモノたちに、素晴らしい冒険譚を踊り魅せてくれますよう……」■そんな思いに浸っている時だった。リディが大きな花束を持ち、噴水に何本かを投げ入れる。「最近寂しいからねえ、ちょっとした祭りさ」片目をつぶって見せる古い友人の仕草に、ふっと微笑む。「そうですね、今日で市場も今年最後。最後くらいはお祭りも良いかもしれません。……せっかくですし、ミュートさんも呼んで来ましょう。」「ああイイね。あの子もちょっとは騒ぐくらいしなきゃ、まったく、お前と足して2で割れば丁度いいんだよ。今日は祭り、夜通し吟遊詩人たちが歌い、踊り子は舞い踊る。市場で食べる屋台の味は、2度と忘れられないようになるさ」 |
| 新しい「どきどき」(12/30) |
| ”剣姫”ティキは語る |
初めてこの街に来たときも、数ヶ月前に来たときも。あたし、まっすぐこの広場まで歩いて来た。吟遊詩人達が歌い、あたしのような踊り娘が舞い、道行く人たちが足を止める、活気に溢れたこの広場。今は季節柄その勢いは控えめであるけれど。☆旅装束に身を固めハルバードを携え、あたしはこの広場に立ち空を眺める。どこまでも、どこまでも遠く遠く続いてるみたいな空を……。「行けるトコまで行こう、か」一昨日の、リュキアンの微笑み亭でのステファンとのやり取りを思い出してちょっとニヤけてみたり。キーワードは『アレクラスト中』。「ホント、あったしも馬鹿よネェ……」呟くあたしの顔は絶対に楽しさ満面ってやつだったと思う。間違いない、故郷をひとり飛び出した時に負けないくらいドキドキしてる。初めての旋律を耳にし、さてどんなステップで一歩を踏みだそうか……そんな気持ちにチョット似てるかしら?☆普段でも小時間と待てないあたしだけど、これ以上待ったらあたしの中でなんか破裂しちゃいそうなカンジ……ああ、早く来ないかしら!☆……大馬鹿者が更に増えてるなんて、この時には思いもしなかったんだけど、ネ。 |
| 新しい道を(12/27) |
| マロリア=ディッツは語る |
「旅かぁ」空を見上げ、ついでまわりを行き交う人々に目をやる。季節は変わっても、この広場が賑やかなのは変わらない。そう、あたしがこの街に来たあの時からも。■さっきまで、学院の図書館でちょっとした調べ物をしていたんだけど、ふと目をやった書棚に、とある本を見つけた。「アレクラストの博物学」、の写本。剣の国オーファンの”魔女”ラヴェルナの著した、有名な書物。ラヴェルナ様はあたしが尊敬し、目標にもしている人だ。■結局調べ物は後回しにして、写本を読むことに時間を費やし。それから、ある決心をして、市場広場にやってきている。旅をするのに必要な物を買いに。この街に来たときだって当然そういう物は持っていたけど、この際新しい物に変えようと思ったんだ。気分一新のためにね。■旅は人にいろんなものを教えてくれる。もちろんこの街での経験だってあたしにいろんな事を教えてくれた。でも、それだけじゃ満足できないんだよね。だから、あたしはこの街を出てまた新しい道を進もうと決めた。■それにしても、空気が冷たい。買い物もあらかた済ましちゃったし、早く宿舎に帰ろうっと。途中で、特徴のある髪型の女の子が舞を舞っているのを見かけた。それに併せてリュートの演奏をしているのは…えーっと、誰だっけ。どっかで見たような気がするんだよなぁ。舞も演奏も、とっても素敵でついつい見とれちゃった。だってほんとに、生き生きしてるんだもん。あたしも、これから頑張らなくっちゃね。 |
| 舞(12/27) |
| ”殺霧”カイル・マイストは語る |
最近、欠伸をする事が多い。よっぽど暇らしい、困ったものだ。俺と同様、大きな欠伸をする女がいた。…慌ててる慌ててる。彼女の目にうっすらと浮かんだ涙は美しかった…なんてフレーズが思い浮かんだが、この場合にはまったく似つかわしくない言葉だな。…さてと、飯買ってくるか…。……飯を買った帰り、といってもパンを2個買っただけだが…さっきの女が舞っていた。見事なものだな、さっきの欠伸を差し引いても充分に美しい。…どうせ暇だ、少し付き合せてもらうか。……俺は彼女の舞いに合わせて、リュートを奏で始めた。 |
| スロウダンス(12/27) |
| ”剣姫”ティキは語る |
「ふわわぁ……」みっともないくらいの大欠伸を披露しちゃってからあたし、もう遅いとは知りツツも片手で自分の口を覆った。つられて僅かに滲んだ涙もついでに拭い、それからあたしはぐん、と両腕を勢い良く振り上げて背筋を伸ばす。自分に気合を入れるため……あ〜あ、何かオモシロイことないかしら。☆こないだ一緒に依頼をこなした彼ら……ディアス、ステファン、フィニット、シオン。今は何してるのかしら?リファールの街の中に居るんだったらちょっとくらい顔合わせても良いようなのに、あたしあの後彼らがどうしてるのか知らない。折角知り合いになったんだし挨拶くらいはしたいんだけどナ……。☆そう、あたし、あと何日かしたらこの街を離れようって決めた。もともとヒトトコロには落ち着かないタイプだし、それに……狭い世界に閉じ込められるのがイヤで故郷を飛び出したんだもの。もっとも、まだ何処に行こうなんて決めたわけじゃないケド。☆……この街に来たときあたし、まっすぐにここに来た。近いうちにあたしまたここからまっすぐ街を出て行く。多分。一人かもしれないし、誰かと一緒かもしれない。まだ何にも決めちゃいない……だけど、ここを去ることだけは決めたから。☆ああ、あとミカにも挨拶しなきゃ。カノジョまだ月光亭に居るのかしら?そんな風にあたし、この街に来てから出会った人を思い出してく。最後にふとここで声を掛けられた吟遊詩人の顔がアタマに浮かんであたし、微笑した。そうそう、丁度ココだったわよネ……天を振り仰ぎ目を閉じる。ウォルターっていったわよネ、彼……何やってんのかな、今。☆あたし、ふいに小さく溜息をつく……直後、すくっと立ち上がる。なんか踊りたい!踊ってアタマの中から全部ふっ飛ばしちゃいたい!そう思うが早いかあたし、ゆっくりとステップを踏み始めていた。寒空の下、伴奏もなしに……。☆ゆっくりとゆっくりと舞い落ちる雪のように……あたしには見えないその、精霊のように。 |
| しっぽがついたよ♪(12/9) |
| ペッポは語る |
ふりふり♪ふりふり♪なんかちょっとお尻ちくちくするけどやっぱり面白いよね♪◆とゆーわけで、スラムでもらったしっぽなんてものをつけて歩いてみている。なんか触るとふわふわでキモチイイんだけどお尻に刺すとなるとちょっと別。でもなんかみんなびっくりした顔でこっち見てるから楽しい〜。◆どーもしかし自分でもグラスランナーなんだか違う生き物なんだかわかんなくなってきた気もするけど。頭はアフロになってるししっぽはついてるし。これじゃいたづらしてもすぐにぼくだってわかっちゃうね。それはつまんないな〜。 |
| これも全て平凡な1日(12月5日) |
| サティエリナ・シレイヌは語る |
◆頬に当たる風がはっきりと冷たい。いよいよ本格的に冬だ。今日は、買い物にきたんだ。薬草を買いにね。昨日ザンテ武器防具店の修練場で、新しい鎧の調整と慣らしを兼ねて訓練してたら、知らない間に青痣作っちゃって(苦笑)◆私は『癒し』の奇跡は使えるけれど、それは日常では気軽に使うようなものじゃない。日々の努力ってか、生活をきちんと送っているからこそ、チャ・ザ様は奇跡をもたらして下さる。だから、普段の怪我はこんな風に薬草を使うんだよ。◆『すみません。何か打ち身とか痣に効く薬草って、あります?それから、血止めの薬草5つ、気付け薬3つ、ウバスを3つと保温の根と熱冷ましを2つずつ。後安眠のお香を1セット下さい。お金はこれでお願いします』◆さあて、薬は買ったし、神殿に戻ったら、痣に薬草でも張っておきましょ。乙女の柔肌に痣なんて、みっともないもんね♪ |
| いつもと変わらぬ日々 (12/5) |
| “砂漠の雪豹”ソルは語る |
この前ここで買った毛糸も編み上げた。買った布も服に作り上げ、今着ている。流れる時間。変わらぬ日々。予兆はない。ただたあいもないことを考えて時間を進める。これは幸せなのかもしれない。噴水の縁に腰掛けて思う。金銭的余裕もまだ有り会いたいと思えば会える仲間もいる。けど、足を組替える。おれにはまだ捜さなくてはならないものが残っている。■気付き、苦笑する。まぁ、手掛かりがこの街に居るままな以上、他の街には行けないが。しかし、それはそれでいいかもしれない。■何時の間にか捜すことへの情熱が、未だ他の想いより強いものの、しかし確実に薄まっていることに自分で驚く。こうなって来たのは何時からだったろう。けれど、それは不快なことでは無い。けして。■いつもと変わらぬ日々。その日をおれは市場に流れる人々を目に捕らえながら過ごした。心の底で、こんな日が続くことを誰にともなく祈りながら。 |
| 眠気の前にはどんな音楽も子守歌(12/3) |
| シルフェス=ローレライは語る |
●「血止めの薬草,気付け薬,保温の根を各2つに安眠のお香1セットお願いします」久しぶりに訪れるミュートの店で薬草を買う.自分はチャ・ザの声を聞くことが出来るとはいえ未熟,薬草に頼らねばならないところも多いことをなんとなく実感している..もちろん,頼るまでもないぐらい無事であればなんの問題もいらないのだろうけど..●なんとなくぶらぶらとし,途中で昼食も適当に買う...一つの木陰に入り腰を下ろしてそれらを食べ始める..ん?どっかから音楽が?吟遊詩人の誰かが演奏してるのかな?食事も終り,少しお腹が膨れて眠くなった自分はその音楽を聞きながら少しばかり目を閉じての休息をしていくことにした. |
| 結局林檎は3つ買った(12/2) |
| “砂漠の雪豹”ソルは語る |
果物を探しに今日も市場に出向く。少々嫌な記憶は有るが気にすまい。とは言え何時の間にか思い出してしている自分がそこにいた。■「空…好きなのか?」聞かれて。珍しく明るく笑って頷く。その直後ラッシュは誰かを見つけたようでそちらに声を掛けて歩いて行く。アーヅェルハイン……?見たことは有る……と思うのだが。話したことは無い。聞くともなしに会話が聞こえてくる。って……。……野暮用……。こめかみが僅かにだが確実に引き攣るのを感じた。実務だけのつまらない用事、か。確かに自分自身面白みはないのは知ってはいる。が。「だったらわざわざ訪ねて来ることも無いだろう」聞こえないくらいの声量で呟く。戻ってきた時の対応は。「ああ、おれの方の用事は終わったようだから話、続けてくれ。遠慮することはない」くるりと体を反転させると片手を上げる。「じゃ、な」それだけ言うと人込みを擦り抜けて自室へ戻ろうと急いだ。■全く……。ぐわしゃっ!と変な音がした。「あ……;」見れば手の中で林檎が砕けている。無意識のうちに力をこめていたようだ。林檎売りの引き攣った顔が見える。……まぁ、林檎握り潰す半妖精というのも珍しいか……。取り敢えずその時はやるべきことをやった。「すまない。幾らだった?」 |
| 一時の安らぎ 嵐の前の静けさよ(12/1) |
| 輝く腕のラッシュは語る |
「何、たいしたことじゃないさ…」市場で果実を齧りながらそう答える。ソルの部屋を尋ねると、何やら物音がし、しばらく経った後,顔を出した。何をしてたんだか…。■「それでな…そのライツっていうのが…」喧騒が激しい場所ならば逆に周り話が聞こえ難い。まぁ、聞かれてもこっちの正体がばれるような話し方はしねぇけどな…前提の俺達が盗賊であるってのは抜いてるしな。■「空…好きなのか?」何度かテスト飛行した事があるが、あの絨毯は乗り心地はあまりよくない。鈍い人間が乗ったら落ちるしな…。まぁ、ソルに関しちゃその心配はしてないが…。あれも二人乗りくらいならもうちょっと使い道もあるんだがね…。■ん…あれは黒衣の女…アーヅェルハイン…そういえば彼女もあの場にいたんだな…お互いに情報交換ぐらいはしておくべきか…「よう、アーヅェルハインさん、元気かい?」笑顔で近づきその輝く手を軽く振って見せる。「色々話すこともあろうが、又後でゆっくりな、今はちと野暮用でね」後ろに残したソルを目で示しながら、彼女にそう伝える。何か後ろから刺さるような視線を感じる様な気がするが…。気のせいだろう…きっと気のせいだ。と俺は自分に言い聞かせる。振り向く勇気はさすがになかった。 |
| 突然の訪問に(12/1) |
| “砂漠の雪豹”ソルは語る |
自室でこの前市場で買ってきた編み棒をせっせと動かしていた時、呼びかけの声と共に扉がノックされた。ぴしっ。としばし硬直し、急ぎベッドの中にばたばたと編みかけのセーターと編み棒、毛糸を押し込んだ。今の声は……。ラッシュ。それは確信があった。以前組んでいたパーティーのリーダー。パーティの解散以来殆ど会う事も無かったのだが……。わざわざ訪ねて来るとは、何かあったのか?■チャッと扉を開く。予想通りの人物。おれは唇のを笑みの形にする。「久し振りだな……ラッシュ。ここの所見なかったが、何処かに行っていたのか?」目があまり笑っていないのは自覚していたが、どうになるものでも無い。開け放したままだった窓から入ってきた風が髪を撫でる。……そうだな。■「……ここで聞くのも難だな。市場にでも行って何か食べながら聞くことにしよう」考えてみれば今日は一度も食事をしていなかった。少食なのはいつもの事だが。机の上から竜石のペンダントを取る。気付いて顔を上げ、ラッシュの顔を直視する。「言い忘れたな。おれはもう竜人としての能力は失った。闇竜に頼まれて闇竜人を倒した際に、な。なるのにあれだけ迷惑を掛けておいてあっさりと能力が消えるのも……あれだが」シャラン、と手の上でペンダントを一回投げ上げてから首にかける。その時ふと思ったことを口に出してみる。「そう言えばお前は空を飛ぶ絨毯を持っていたな。いつか一度乗らせてみせてくれないか?」竜人の能力を失った以上自分で飛ぶことは出来なくなった。結局一度も飛ばずじまいだったな、と少し苦笑する。■「まぁ、いい。それだけだ。……お前の話を聞かせてくれ」おれは窓と部屋の扉を閉じるとラッシュを伴って市場に向かった。 |
| 日常との交錯(12/1) |
| “黒夢の闘騎”アーヅェルハイン・エンツォネスは語る |
◆「血止めの薬草を3つ、気付け薬を1つ、安眠のお香を1セット頂けますか?」市場の一隅を訪い、ガメルを支払う。私に負傷を癒す術は無い。故に、備えは必要だ・・・相手が、邪神教団となれば。◆遅延の杖を手に、街路を往く。鎧は身に付けず、剣もやまねこ荘の自室(召喚は可能だが)。これで盾を背負っては妙だろう。・・・そんな訳で、ベルトに差したダーツと手にした杖の他に武具らしいものは無い。割合普通に魔術師然とした姿だと思う。◆何故、気付かなかった・・・? 私に、ではなく。“私が”。普通なら、見落とすはずが無かったのだ。正常な状態の私ならば。◆買い求めた品を納めたザックを傍らに置き、思惟する事暫く。やはり、錯覚では無いと認めざるを得ないか? どこかしら、日常が色褪せて映るのは。視界の隅に捉えた男性が普段着のブランおじさまだと思い当たった時には、私は既に百歩は歩いていた。引返すには遅い。◆「・・・終っていない、か」陰鬱に、腰を上げる。単純な結論である。差し当たって手が届く物事は済ませた為か、一層強く感じられる。何も終っていない。だが、確実に既に始まっている。それが解るだけに、もどかしい。・・・次は、ラッシュさんにでも会って見るか。指輪に探索の魔術を伸ばして来た彼。変装までしていたのだ、偶然と言う事はあるまい。◆広場に背を向ける。ここにあって酷く遠い、平穏と日常に。 |
| 普通の服装?(12/01) |
| ヴォルネイ・ブランは語る |
市場に行く・・・残り少なくなった我が家の食料を買いに・・・である。◆馴染みの商人から肉や野菜を買った際、こちらの格好に違和感を持たれた・・・◆変かな?この格好?・・・今の俺は麻の服に寒気避けのクロークを羽織っただけのいたってシンプルな服装である。武器も腰の後ろに小剣を吊るしているだけだ。◆確かに「戦士としての心構え」と言って何時も鎧と剣を着けていたが、ちょっと思うところがあってな・・・◆年を取ったと思われたかな?単に戦い以外の事にも目を向けてみようかと思っただけなんだが・・・◆その後、遭った何人かの知り合いにも同じような事を言われた・・・◆そんなに違和感あるかなぁ?・・・それとも普通の服装するなって事か?・・・ |
| 再び市場に(11/24) |
| “砂漠の雪豹”ソルは語る |
今日もまた市場に来ている。本当になんとなくだが。ここの所どうも落ち着かないので、ほぼ毎日気分を安らげるのに来ている。人込みの中は、落ち着けなそうだが実は落ち着ける。人が多くいるため気がそちらに分散されて。■精神状態の上下の周期に引っかかっているのは確かだが……な。毎回こんな風だったか?噴水に腰掛けて夏よりも格段に冷たくなっている水に手を浸す。じん、と指先まで冷える感触。その冷たさで幾分か普段の自分を取り戻すことができる。■座ったまま後ろに手をつき、昔一度聞いて覚えていた歌を目を閉じてそっと吟ずる。「通り過ぎたのは昔 それとも昨日見た夢? 運命の綾は幾重にも重なり 読み解くことは誰にも叶わない。遥か遠くに見えた人は 今は近く 時に遠く 移ろい掠れて消えて行く……」おれは吟遊詩人ではないけれど、だからと言って歌って悪いということはないだろう。声を出すたびに、歌に感情を込めるごとに心が晴れていくのは確かなのだから。■ふっと歌を止めたのは泣き声が聞こえた気がしたから。視線をめぐらすと少女が市場の入り口あたりで、すすり泣いている。この騒がしさの中では誰もが聞き逃してしまいそうな程本当に微かに。近寄ってみると傷ついた鳩を抱いている。聞けば、飼い鳩がいじめっ子に怪我をさせられたらしい。傷の具合はただの切り傷。これならおれでも治すことが出来るだろう。「おいで」おれは少女を伴って噴水のところに戻ると生命の精霊への呼びかけを始めた。もう誰の泣き顔も、見たくはない。 |
| 買い物色々(11/23) |
| “砂漠の雪豹”ソルは語る |
近頃だんだん寒くなってきた。砂漠出身のおれにとっては少々辛い季節だ。そろそろ南にでも行った方が良いかもしれないな……。思いながら、ふらりと市場広場を見て回る。目的は防寒具。……布そのものでも一向に構わないのだが。■一周して、淡い薄紅の暖かい布地と、羊の毛で作ったフェルトを幾らか買い求める。それらと同色の糸も。目的のものを買って帰ろうとしたとき、ふと足を止めて思う。そういえば、あいつは寒い思いをしてないだろうか。■しばし悩んだ末、少量の綿とベージュの毛糸、そして編み棒が荷物の中に追加された。……まぁ多分、平気だろうとは思うけれどな。一瞬苦笑するとおれは広場の出口に向かった。 |
| 風流な演奏料(11/21) |
| <大斧使い>バールは語る |
俺は明日のためにいろいろ買出しに来ていた。明日のためのおやつやらを買い込んで、さて帰ろうとした時の事。良い音が聞こえてきた。■見てみると・・・お、アランさんじゃないか。良い感じの音だ。音を運ぶ風も喜んでいる様な気がする。俺は演奏に聞き入った。■演奏が終わった頃。「俺の演奏はただじゃあない。」との事。ま、当然だわな。銭を払おうとした時である。一人の女性が手に持っていた飲み物をアランさんに手渡した。・・・レモネードだ。ふむ、なかなかに優雅じゃあないか。「素敵な演奏?このレモネードには負けるぜ。」とはアランさんの言葉。■俺はアランさんに近付いた。「ども。風流なお客さんに会えましたねえ。今度俺もここで弾いて見ますかね。」そう言って俺は腰を降ろした。 |
| この街一番の上客(11/21) |
| アランは語る |
俺は噴水に座って、軽く音をならしてみた。このマンドリン、中古だったくせにイイカンジだ。4組8本の弦を木製のピックで順に弾く。ピックで奏でた柔らかい音は、弦を震わせると更に柔らかに深みを増してくる。ああ、イイカンジじゃねえか…。俺はいつの間にか演奏に夢中になっていた。気づくとちょっとした聴衆ができていた。なんだ?なんだ?…俺は言ってやった。「俺の演奏はただじゃあない。」少し気障になっちまったな。俺の口からふっと笑いが漏れた。■あん、なんだ、この姉ちゃん。これくれるのか?ありがとよ。「素敵な演奏?このレモネードには負けるぜ。」俺はレモネードをあおった。「あったけぇな。」…サティエリナって言うのか。「この街で一番の上客だ、覚えとくぜ。」 |
| ホットレモネード(11月21日) |
| サティエリナ・シレイヌは語る |
◆買い物籠を下げ、市場を散策。もう風もだいぶ冷たくなって冬の気配もちらほらとする。にっこり笑って、店のおじさんやおばさんと交渉した結果、満足のいく戦果が挙げられたから、とっても気分が良い♪◆あれ?噴水のとこで、演奏があってる?演奏してるのは、ちょっとくたびれた感じ、でも、ちゃんと身仕舞いすれば、それなりに見れるであろう、男の人だ。見ない顔だけど、良い曲だな〜。少し冷えてきた身体を暖める為に、屋台でホットレモネードを買う。『あ、すいません、やっぱり2杯下さい』◆演奏が終わると、その吟遊詩人は、聴衆を見まわして『俺の演奏はただじゃない』って言って、笑った。その笑顔につられるように、周りから銀貨がぱらぱらと投げられる。私は、手にしていたホットレモネードの片方をその詩人に差し出した。『素敵な演奏をどうもありがとう。貴方の商売道具には、これが一番の報酬だと思うわ♪』こんないい演奏聞けるなんて、チャ・ザ様も素敵な出会いを与えてくれるわね♪感謝します、我が神♪ |
| 詩人は時に詩人らしく時を過ごす(11/20) |
| アランは語る |
にぎやかだな。いろんな店が出てやがる。これだけ人がいれば少しは稼げるか?俺は広場の真ん中の噴水に腰掛けてルーエルの奴を待った。ん、ただ座って待つのもなんだな。俺はゆっくりとフルートに唇を寄せた。まずは柔らかくてやさしい曲を、人の流れにむけて…。■俺は一人で演奏しながら(アイツが来たら、今日は2人で歌ってみるかよ)、そんなことを考えていた。底抜けに楽しい曲は草原の妖精にもっとも似合う。アイツとは何回か一緒に演奏したが、マンドリンとリュートを合わせるのも、アイツとハモるのも初めてだな。ああ、なんだかイイカンジじゃねえか。俺はあいつが来るのが待ち遠しかった。 |
| アランおじさまとデート(11/20) |
| ルーエルは語る |
うーん、いい天気!昼ごろ、わたしは広場の噴水前まで来て、目当ての人を探した。…いたいた、アランおじさま。最近微笑み亭で知り合った吟遊詩人のおじさまだ。わたしは彼に近づいて行って、にっと笑う。「ひとりだけ広場に来るなんてずるいわよ。わたしもいっしょに歌う♪何の曲弾こうかしらね?」■暖かな日差し。ひんやりした風。人々の笑い声。わたしは人間の町の活気が好き。わたしたちグラスランナーが人間に溶け込んでいったのも、分かる気がする。この噴水から見えるすべてへの愛しさをこめて、わたしはリュートを奏で始めた。 |
| 平穏なる日々〜串肉を片手に〜(11/13) |
| ”終焉の蒼”ラアメン=ファルガードは語る |
■「あ,親父さん。えと、この干し肉って何の薪に何使ってるんです?」一通り説明をうけ、店先に並んでいた干し肉の一塊を手に取る。■「それじゃ、これお願いしますね(にこっ)。あ、それとこの串肉おいしそうですね。3本・・・うーん、やっぱり、5本付けてくれます?」(ああ、サクリューシャの薪で燻したものがあってよかったなぁ〜、やっぱり香りも味もこれが一番だからね♪)■最近、ここリファールの暑かった夏も終り、僕にとっても大分過ごしやすくなってきている。■僕は、串肉を片手に、活気ある市場の様子を微笑ましく眺めながら、しばらく何処と言う当てもなく散歩してみることにした。■(おいし♪これで保存食のの補充はバッチリだよね。後、何か入り用のものあったっけ?あ、そうだ。サティナさんが言ってた『薬草屋』さんにでも行ってみようかな?) |
| 備えあれば……(11/12) |
| フュリシャス=トゥース=サリュートは語る |
■かなり久しぶりに市場を訪れた。薬草を切らしているのに気づいて、買いに来たのだ。備えあれば……と言うしな。薬草店の扉をくぐり、店の主に会釈する。なににするかな……。まぁ、必要なのはこれと……これくらいかな。「安眠のお香をひとつ、気付け薬を2つもらえるか?」 |
| 雑踏の中で・・・。(11/11) |
| サティナ・クラン/ライツは語る |
久し振りの市場♪その辺の店を適当に覗き込みながら、目的の店へと向かう・・・。■「ん〜やってるやってる」そんな事を呟きながら薬草店の扉をくぐる。■「こんにちは」そう挨拶して店内を見ながら必要なものを選んでいく「これと・・・あれと・・・こっちのもお願いします。」■少し多めに支払って店を後にする。『これでしばらくは大丈夫!』 |
| 買いもの(11/10) |
| シルフェス=ローレライは語る |
相変わらず盛況な市場..この雰囲気..悪くないね...●「あ,その組紐貰えます?」安物の組紐をいくつか買う..リファールに来てから一度も家族へ手紙を出したことなかったけど,もうそろそろ一度出してみようかな.この組紐を添えて..●今晩文面でも考えてみよう..そして明日にでも送ってみよう..でも,今はここでのんびりしていこうかな.. |
| 買い物(11/9) |
| 隻眼のライカは語る |
「ふぁぁ、ふぅ・・・。」うぅ〜ん、欠伸が止まらない。今日はやまねこ荘の中が何故か静かだったから、よ〜く寝てしまった・・・なのに・・・まだ、眠い・・・。■おや? あれはミラさん? ・・・なんて格好してるんだ、はしたない。さすがは南方生まれってことなんだろうけど・・・近寄らないようにしておこう。さ〜てと、目的の薬草屋はここら辺だったかな?■「こんにちは、今日は血止めの薬草を4つと気付け薬を2つ、あと安眠のお香も1セット下さい。あわせて490ガメルでよろしいですか?」う〜ん、金貨10枚ではちょっと半端だな・・・いや、いいか。「では、これでお支払いします。お釣の10ガメルは・・・僕らと同じ血を持つお嬢さん、あなたのお好きな花でも買って下さい。」 |
| ごーるでん ふぉーる(11/9) |
| ”陸鯱”ミラ・サーチは語る |
落葉樹が色づき、空気の澄むこの季節。きもちいい・・と市場を散歩していていつも感じる。市場の果物もガルガライス育ちにはいつまでたっても珍しいし、収穫を迎えた人々の懐も暖かくていい感じだしねぇ。・・・ラッシュは『寒くてやりづらい季節になった』とか嘆いていたけど、寒いなら着込めばいいじゃないか。■今日は学院にいかないので、気楽な姿・・・リファール人曰く、下着ファッションで、通りを歩く。■いい日だねぇ。これで・・・あそこら辺の黄金色の葉っぱが本物にでもなれば言うことないんだけど。 |
| 奇跡無き者の寄る辺は(11/7) |
| “黒影の闘衣”アーヅェルハイン(ハイン)は語る |
◆神の奇跡の使い手は限られている。それは、知識として知ってはいる。だが私の場合、姉さんと言う奇跡の使い手が身近に居た。常人にとってはそれが普通なのだろうが、私は不思議に思っていたものだ。どうして薬草などに頼るのだろう、と。◆足を運んだのは、薬草店。品物の効用と価格を尋ね、一考する。報酬は500。「では、血止めの薬草を4、気付け薬を1、安眠のお香を1セット頂けますか? 合計で・・・420ガメルですか」◆報酬は500である。だが、どの道私は戦わねばならんのだ。あの村の顛末は、余りにも見えない事が多すぎる。広場の一隅に腰を降ろし、銀の鎖に繋いだ指輪を掌に乗せる。裏には、文字と思しき磨耗した痕跡がある。何事が刻まれていたのだろう? ミスリル銀製である以上、古代王国時代の物であるはずだが。ふと思う。本来の持ち主は、刻まれていた言葉をご存じだったのだろうか? ◆目眩に似た感覚に、現実に引き戻された。熱でも出したかと訝り、額に手を遣る。・・・風に当り過ぎたのだ。冬は、すぐそこに居る。微かに唇から漏れたその名は、風が攫って行った。 |
| 経験が大切さ(11/1) |
| シオンは語る |
「竪琴の練習、ここでしよう」「え?」開けた場所に陣取って、鈴を鳴らし、私は言い切った。「とにかく場数だよ。いくら技術があっても、人前では全然駄目な人っているだろう?慣れが一番だと思う。現に、人見知りの激しい私が、こうやって踊り手をやっている」かなり説得力のある言葉だったんだろうな。フィニットさん、戸惑いながらも頷く。「私もそうやって憶えたんだよ。踊りも歌もね。まぁ、きちんとしたことも習ったけど、経験から言っても、実践で身につけたものの方が役に立っている」通りには、私たち以外にも歌を歌っている人がいる。明るい歌、静かな歌。ちょっと印象的だったのは、エルフと人間の恋の物語を歌っている金髪の人。そんな人たちを、フィニットさんは不安そうに見渡した。「じゃあ、始めようか」「え…いきなりここでですか?人前で歌うのは初めてなんですけど…」「ああ。眺めていても仕方がないだろう?」そう言いながらも、私は足でリズムを取り始めた。フィニットさんが焦る。こういうのは、考える時間があればあるほどと惑うものだから、無理矢理にでも始めてしまった方が良い。……というか、私も義姉さんにそうされていたんだよね。「さぁ♪皆様。ひとときおつきあい下さいませ」フィニットさんが何か言う前に、鈴を大きく鳴らして一礼。フィニットさんも慌てて一礼する。よし、じゃあ始めよう。「緊張しなくて良いよ。間違うことも気にしなくていい。ようはどれだけ楽しめるかって事。私たちが楽しめば、皆も喜んでくれる。失敗も愛嬌だ♪」踊り出しながら、フィニットさんにそう声を掛けた。はじめは大変だろうけど、すぐに慣れるさ。さあ、いくよ♪ |
| 希望よとどけ(11/1) |
| ディアス=K=ウィングウェイは語る |
ひさしぶりの市場。つめたくなってきた風が頬になんとなく気持ちいい。果物屋で買った林檎をかじりながら歩いているとエルフの男がリュートを弾いているのを見かけた。その姿を見てなんとなく今までの冒険を思い出す。アナリエル、ヴィルヤール、セラフィズ、ケルヴィン、フェイト、スルーズ・・・みんなどうしているだろうか。アナリエル・・・元気にしてるかな?寒くなったし風邪でもひいてなきゃいいんだけど。こうやって人の間で生きていくエルフだっているんだ・・・そう俺達はきっとうまくやっていけるさ。☆いきつけの薬草店に立ち寄る・・・とがった耳・・・ミュート、そうこの娘もハーフエルフだ。エルフと人間の間に生まれた種族・・・やはりこの娘もいわれのない差別を受けてきたんだろうか・・・差別・・・なぜ生まれだけでそんなことを・・・この娘達にはなんの罪もないのに。いつかそんなものがなくなる世界が来ることを俺は願う。・・・マーキュにリオ・・・今頃どこで何をしているのだろう。☆おっと、そうだよ、俺はここに買い物に来たんだ。こんなふうに感傷に浸るなんて俺らしくないよな。ちょっとだけ無理をして明るい声でミュートに注文をする。「えーと今日は・・・血止めの薬草5つと・・・いや、それだけでいいや。あ、いや、寒くなってきたし保温の根も3つもらおうか。えーといくらだっけ?」☆薬草を受け取り店をでる。「がんばれよ。」とつぶやきながら。・・・ふう、やっぱり少しまいってるのかな?・・・歌ってみるか、少しは気分転換になるかもしれない。この前フルートといっしょに買い揃えたリュートを奏でながら歌い始める・・・二つのエルフと人間の恋の物語・・・森であった出来事・・・それは悲しみも抱いてはいるが希望でもある。そう希望はあるんだよな。希望さえあればなんとかなる。それに今までだってなんとかしてきたじゃないか。希望よ、みんなの胸に届け・・・そう願いながら詩を紡いでいった。 |
| 風とともに(11/1) |
| フェリシア(NPC)は語る |
心地良い風にのって流れるのは、賑やかな人の声。私の帰る場所はまだあるんですね……そう感慨に耽りながら、私は久しぶりに中央の噴水に腰掛けた。それに気が付いたのか、リディが柔らかい笑顔でこちらに言葉をかけてくれる。おかえりなさい、ずいぶんと長い旅だったね。ってところでしょうか。(後で聞いたところによると、手伝いサボってどこにいってたんだい? だったそうですが……)私の感じる時の長さと、人の感じる時の長さはこうも違うのですね。なるほど、長く長く生きてきたつもりですが、やはり人間との感覚の違いは驚かされる。私は苦笑しながらも、手にしたリュートを爪弾いた。今月も良い月でありますように……と。 |