静かに流れる時間


日記に書き込む立ち去る



二度と帰らぬ人々に
そっと、一つ一つの墓に花を手向ける。しばしの瞑目。■仲間として在ったのは何週間だったか?それ程に僅かな時間。しかしその出会いがその後幾つおれを変えたのかは知れない。緑の宝珠を割った時に倒れた人々。後ろ向きと言われようと、あの時に止めていれば良かった。そんな後悔が胸を突く。しかし分かり切ったことだが過去はもう戻らない。おれには今出来ることをするしかない。そう。孤独な時代は終わったのだから。友の中で、仲間の中で、自分自身のするべき役割を果たすことが今の存在理由。■「おれはもうすぐこの地を去るだろう。……けど」忘れはしない。胸の中で思う。「いつかそっちに行ったらよろしくな。けれど、今はまだその時ではない」ザッと思いを振り切るように立ち上がる。生きている限り。誰かがおれの存在を覚えている限り。おれは死のうとは思わない。そのまま背後を振り向かず、おれは墓地を出る道を辿った。
2D6 = 8(6+2)


その願いは“不要であれ”
◆星を見ていた。月は細く、明かりは殆んど無きに等しい。そんな夜ゆえ、星は良く見える。杖に腰掛けるように、空を見上げる。この身を大地の縛めより放ち、視力を強化してなお、手の届かぬ星々を。◆ふと星が見たくなった。それだけの事だったが、私は眠れる街を忍び出ていた。崖から飛び立った為、高度は地上に比してかなりのもの。落下すれば、確実に命は無い。そんな高みで、ただ空を見上げる。あの星々を掴むには、どれほどの高みに征かねばならぬだろう? 或いは、星をこそ喚ぶべきか・・・。◆取り留めのない思考のままに、闇を滑る。オランの三角塔のような高層建築でも無い限り、衝突の恐れは無いはずだった。今宵は初の飛翔。足元に地面が無い事に、喪失感などは感じなかった。周囲は全て見渡す限りの闇、触れるべきものも無い。◆・・・孤独であれば、傷付かずに済むものをな。滅々たる囁きは、唐突に訪れた。内なる闇が闇夜の魔力を借りでもしたかの様に、がくりと高度が落ちる。───失速。◆「・・・ッ!」土の擦れる音を派手に立てつつ、大地に降り立つ。気が付かない間に、大分高度を落していたらしい。闇には魔力がある・・・そんな使い古された言葉が、脳裏を過る。人気はないが・・・ここは何処だ? ◆即座に灯したい気分だったが、本来の私の姿が解らぬよう幻など纏い、光を放つ。大分狭く、またこの身は影に入るように。・・・。人気があるはずは無かったか。「とんだ御無礼を・・・」並ぶ墓標に詫び、深く一礼する。◆ここには、墓標がある。いくつかは、知った名を刻んだ墓標が。不要であったなら。・・・私の遺書は、“不要であれ”と封じるか。◆闇の中、銀の鎖に通した指輪に触れる。待つ私に偽りがある訳ではない。鎮魂歌を覚えた時、誓った事がある。私の末期は謡わせぬと。それに未だ当分、死を以て安らいと出来る身ではない。・・・姉さんは怒るだろうか。凍てついた吐息が漏れる。・・・それでも、私は・・・。
2D6 = 7(6+1)


遅参
●人づてにこの墓地の話を聞き、私はこの地に足を踏み入れた。志し半ばで散った、先輩方の墓前に…。●街の喧騒からそう離れていないというのに、ここはまるで現世から隔絶されたかのよう。全ては静かに、そして密やかに流れていく。かつて私が生きていた世界とはまた別の意味で…あまりにも死に近い場所。●(まだ、残っているんだな…)目にしたリーヴィ先輩の墓標に、私は苦笑を禁じ得なかった。彼女が蘇った事を、まだここの墓守は知らないようだ。その事を伝えて、この墓標を撤去してもらったほうがよさそうだが…。(さて、何と言ったものやら…?)●先輩方に連れられて戦いに赴いたのは、確か初夏の頃だったと思った。だが、今私の周りを流れる風は冷たい。私は墓参に参るのが遅れた事を改めて詫びた。あれから色々とあったのだけど、それは言い訳にはならない…。●墓前に語り掛けているかのようで、それでいてどこか独り言めいた言葉。私はとりとめもなく、語り続けた。あの戦い以後の事、スラムでの一件とリーヴィ先輩の復活、その後赴いた長旅、先日の来客と託されたサーコート、そして…もう少ししたら、また旅に出ると思われる事。呟きにも似た言葉が、風に紛れ消えた。
2D6 = 5(1+4)


友にさよならを
ここに来るのは初めてだ。何故なら自分はここに仲間が眠っていない事を知っている。ここにあるのは墓標だけだ。仲間の骸はこの手で埋めた。■「よう…元気かい?」死んでいるものに対して元気かと尋ねるのは、矛盾している。そうは思いながら尋ねずにはいられない。死んだらどうなるのか?誰にもわからない。もしかしたらあいつ等はあっちで仲良くやってるのかもしれない。■墓標に酒を注いで周り、余りを自分の腹におさめた。夜風に冷された体が少しましになった。「もうここには戻って来れない気がするんだ…」ぼそりと、呟く。「まぁ、気長に待てよ、そっちに行くつもりはまだねぇからよ…」独り言が風に吹き消された。■「…さよならだ…」別離の言葉だけが鮮明に響いた気がした。もうここに来る事はないだろう。仲間はもう、この胸の内に存在するのだから。
2D6 = 9(3+6)


独り言・・・
■っとと・・・又迷っちまったよ・・・■人の家ン中踏み込めるわけじゃねぇし、レイスじゃ在るまいし家の壁を攀じ登るわけにゃぁ行かないし・・・方角判っても家に帰りつけねぇな・・・どこだ?ここは・・・■・・・・並んでるのは石のモニュメント・・・・墓?・・・・■「ココヲ漂ウ空気ノ匂イハ、消シテモ消エヌ想イノ残リ香、カ・・・」・・・え・・・・この名前は■・・・今から数ヶ月前、肩を並べた者達の名前、そうか・・・■「・・・随分ト長キ時ガ流レタヨウナ気ガスルノ、我モ独リ言ガ“きょうつうご”二ナッタゾ、相変ワラズ下手ダガノ・・・」■俺はもちっとコッチの世界に居るつもりだ、なーにお前達より長い事生きておもしれぇ話いっぱい持ってそっち行ってやるからさ
2D6 = 8(3+5)


欠けたユメ、こわれる胸・・
柔らかな陽射しが肌に心地良い。それを受けて立ち並ぶ墓標には風変わりな趣さえ感じられる。夢半ばにして倒れた者、夢を果たして逝った者、墓標の数だけの死があって、 その前には生があった。●貴方がたは何を見たのでしょうか、何を思ったのでしょうか。何の為に生きたのでしょうか。「死者に訊ねてどうにかなるとでもいうの?」自嘲。唇に浮かべる皮肉な笑み、蘇る昨夜のエールの苦み。それは欠けたユメの痛み。でもせめて、神よあの戦友達に祝福を。●その時、私は悟った。今、何をすべきかを。
2D6 = 6(1+5)


変化
■初秋の風が頬をなでる。さわさわと木々の葉などが擦れる音以外、聞こえない。静かなものだ。どこか、世界から切り離されたような、そんな場所。オレの手にはおとなしめの花。墓参り、なんて…………したことなかったな。そんなことを考えることすら、しなかった。今から考えると、何をそんなに必死になってたのか。張り詰めていた。………今は? どうなのだろう。■ブラウロット……戦神の神官。勇気ある者。そっと、手にした花を供える。「…………。」何か言おうとして、何を言いたいのかよくわからないことに気づく。そのまま、しばらく無言のまま時が流れた。風が、下ろしたままの髪を乱して過ぎて行く。ふ、とため息を小さくついて立ちあがる。「……また、来るよ」
2D6 = 4(3+1)


ノスタルジア
■今日は随分と久しぶりに墓参りに来ることにしたの。市場で色のきれいな可愛らしい花を買って、色んな話しを聞かせる為に。■いつもと変わらない雰囲気に包まれて、じっと佇む墓標たち。あたしは手にしていた花をそっと置くと、静かな聞き手に語りかけた。冒険のこと、旅行のこと、退屈でいて平和な毎日のこと…■赤い夕陽に次第に影が長くなっていく。「それじゃ、もう帰るわね。またね♪」■物言わぬ墓標に見送られながら、あたしはここを後にした。(そう言えば、故郷じゃもう祭りが始っている頃なのね…一度帰ってみようかしら?)
2D6 = 7(2+5)


生者と死者
「ひさしぶりだな、まあ、とりあえずここに来た用事を済まそうじゃないか。」戦神マイリ−に敬意を表しつつもチャ・ザ神式の祈りをささげる。本当にしんじまったんだな。話に聞いていただけなので実感としてわいてこなかった悲しみが湧きあがってくる。初めての冒険の時、いっしょに戦った彼はもう喜びの野だという、死んだらまた会える・・・そんな野暮はいわない。ブラウロットのぶんも生きて続ける。そんなふうに思ったほうがあいつも喜ぶだろう。そんなことを考え最後に黙祷する。☆さて、帰ろうか、ここは生者が長居する場所じゃない。ブラウロットはいつも俺達の心の中にいるさ。俺達がおぼえてる限りな。じゃあなブラウロット、またくるよ。
2D6 = 10(5+5)


再会
「ところで、カイルに会いませんでしたか?」ヴァンガードの問いかけに、彼のちょうど真後ろ…つまり、ヴァンガードの背後に立つ俺を目で示す二人…「…ヴァンガード、頼まれていた物を買ってきた」言いつつ、彼に買ってきた物…酒を渡す。…そんなに驚くなよ。……無言でブラウロットの墓前に供え、静かに黙祷するヴァンガード。…俺もそれにならう。 目の前の二人、元同部屋のディアスに……元パーティメンバーのマーキュ、どこに行っていたのかは知らないが……マーキュの額に邪悪な紋章はもうない。…少しだけの違和感と、前と変わらぬ優しさをたずさえたその少女、マーキュ・アクアフィールの頭をそっと撫で…「…良かったな♪」 俺はマーキュの後ろにいる友にも…「…ありがとう」
2D6 = 10(6+4)


記憶
「……もう3ヶ月ですか」時の流れが残酷にも彼の記憶を薄れさせていく。……いや、薄れさせようとしているのは私の心かも知れませんね。……いけませんねこんなことでは……。私は知識を求め、集めるのが役目、例えそれがどんな記憶であっても……。それをもう1度心に刻むために私は墓地の入り口へと立っていた。一陣の強い風が吹きぬける、青い空にはヴェインが翼を広げて羽ばたいている。目を細めた先には、2つの人影があった。……あれは……懐かしい人物の姿に思わず笑みがこぼれる。■「こんにちは、マーキュさん、それからディアス君でしたね」彼らに言葉を返す。たった数ヶ月の間にまた成長したようですね。なんだか置いて行かれたような気分です。そしてブラウロットの墓に向かって「久しぶりですね……」と言葉を漏らし心で語りかける。意味のない行為にも思える、ここには彼の魂は無いのだから……、ただ彼の記憶をとどめるために私は語りかけてるのだろうか……。それだけではないような気もする。思わず思考のループに入りそうになった私は、ヴェインが肩に下りてきた衝撃で現実にかえる。「ところで、カイルに会いませんでしたか?」と、彼らに聞いてみた。
2D6 = 11(5+6)


約束の刻
静かな時が刻まれる中……、私は約束を守りここに来た。戦の神に守護された戦士ブラウロットさんの魂に報告するために。ついて来てくれたディアスお兄ちゃんが背中を押してくれる。何に対しても臆病だった私に、1番最初に勇気をくれたひと…ブラウロットさんの墓前は綺麗に整えられてあった。花まで添えてあるお墓に小声で森での解呪を報告し、そしてお礼を一つ誰にもきこえないように呟く。ブラウロットさんが死んでしまった時、悲しみで胸が張り裂けそうだった。けど彼のくれた勇気は色褪せず胸の中にのこってる。私が消えてしまいそうな転生の時、「私」として生まれ変わることができたのは仲間の声だった。その声の中に、いつものように無愛想に…けれど暖かく呼ぶ声もあったと思うのは……気のせいかしら? ふと羽音に顔を上げると、ヴェインが頭上を飛んでいた。一瞬戸惑ったけどすぐに墓地の入り口に視線を移す。そこにあった人影は、いつものように優しく微笑んでいた。「ヴァンガードさん、……こんにちは……呪い、解けたよ」
2D6 = 8(4+4)


想い出は悲しみをまとって
■「あら、ここは?」 足の向くままに歩いていたら、墓石の立ち並ぶこの場所に来てしまった。■明るい時間ではあったけど、それなりの雰囲気は漂っている。■見るともなくそれらを眺めて歩いていると、真新しい感じのする墓石に見知った名前があるのに気が付いた。それらの多くはギルドで知った名前であった。■そんな中に一つ気になるものがあった。あたしの口からその名前が小さく零れた。「レイシール…」■ここに眠る彼とは数ヶ月前、数人の仲間達と同じ時間を共にした間柄だったの。■あたしは近くに咲いていた名も知らぬ小さい野の花を摘むとそっとその花を置いた。静かな時間が流れていく…
2D6 = 7(4+3)


ガストン,信者を増やす
ふぅ…今日も暑いのぉ…ワシはある墓標を前に語りかけた.メジオンで冒険しておったとき…ワシの力では成仏しきれんかった霊…名前もしらん…じゃから名前は刻むことができんかった.墓標には遺品となってしもうたが,ワシが神殿で供養した銀の鎖を強くしっかり巻きつけてある…すまんの.どの神を信じておるか知らんからワシの信ずる神において供養させてもらった.なに,チャ・ザ神は寛大な方じゃ.何だったら,お前さんがチャ・ザ信者になるのを世話しようかの?いやいや.礼はいらんぞ♪ワシは鼻歌交じりでこの場を立ち去った…
2D6 = 6(5+1)


鎮魂歌に載せて 〜訪れしものに捧ぐ〜
今宵語るは古の詩……夢破れし者たちの物語……。死者が誘うは生者…。生者が生きつくは死。されど生者はいまだ常世のものにあらず…。死者を想うなれば、彼らに願うなかれ。……星は天に、花は野に……ただ静かに、留めおかれんことを……。
2D6 = 9(3+6)

立ち去る