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平成13年第3回定例会
 平成13年9月

【小林鈴子君】
 
それでは、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
子どもたちの生命を守るための対策について質問させていただきます。
警視庁によりますと、全国の幼稚園、小中、高校、大学などへの外部からの侵入事件は、1991年は858件ありました。
そして、2000年には1,355件と、10年で1.5倍に急増しています。

大阪の池田小事件は記憶に新しいところですが、この数年間でも、学校に不審者が乱入して起きた事件が多数あります。
1999年12月には京都市伏見区の市立日野小学校の校庭で2年生の児童が刺殺され、2000年1月には和歌山県かつらぎ町の中学校で1年生の男子が教室に侵入してきた男に包丁で首を切られ、3週間のけがをしております。
また、2月にも、高知市の小学校の校庭に自転車で入ってきた男が児童2人に石を投げつけ、暴行容疑で逮捕されました。
そして、ことしに入ってからも、5月2日、大阪市浪速区の保育所にドライバーを手にした男が園児らを人質にして立てこもる事件を起こしております。

このような事件を受けて、文部省(当時)は2000年1月にも全国の都道府県教育委員会と附属校を持つ国立大学に対して、幼児、生徒の安全確保及び学校の安全管理についてという通達を出し、学校来訪者の出入り確認などの安全対策の徹底を指示しております。これには学校と教育委員会、家庭、地域がともに連携して行う日常時と非常時に分けて点検事項を列記してありますが、実際の対応は各学校や教育委員会に一任されており、対応はまちまちというのが実態だったようです。

そのため、今後、すべての学校、教育委員会でもう一度安全確保策を点検することが大事になってまいります。
そして、今回、最も凶悪な事件が起きました。大阪の池田市の大阪教育大学附属池田小学校に、6月8日、出刃包丁を持った男が学校に侵入し、児童らに切りかかった事件であります。児童、教師、計23名が刺され、このうち8名が死亡するといづ大変痛ましい事件となったのです。このような凶悪犯罪は断じて許せるものではなく、安全であるはずの学校で起きてはならない凶悪事件があったことは言うまでもありません。かわいい子どもを奪われた父母の無念さを考えると、心が痛み、言葉もありません。

その惨事を目の当たりにした多くの児童たちの心の傷も、周りの方々の応援で少しずつ癒されてきているものの、恐らく衝撃的な体験を払拭することは不可能だと思います。その後、8月23日の池田小の父母会で、事件についての反省と謝罪という文書が配付され、被害が拡大したことへの学校側の責任を謝罪しております。
こういう中、仮校舎もでき、8月27日、乱入殺傷事件から80日ぶりに授業が再開されました。

東京都はこの事件を受けて、都内の小中学校約5,000ヵ所に警視庁に直接つながる非常通報装置を備える措置を明らかにしました。これによって、1校に1個の通報装置を都内すべての公立、私立の小中学校、幼稚園、保育園、盲学校、養護学校に取りつけるという措置であります。八王子市においてもこれらの対
応をされていると思います。

また、新聞によりますと、文部科学省においても、全国に学校安全推進モデル地域を指定し、住民が協力して不審な侵入者を排除できる環境づくりを支援していく方針を固めており、来年度予算の概算要求にも盛り込まれております。同省によりますと、モデル地域は、1に、各都道府県に1ヵ所以上設置する。2に、幼稚園、小中学校が対象で、地元のPTAや町内会、警察、自治体などの関係者に参加を呼びかけ、地域の事情に見合った安全対策を考案、実践してもらう。
3に、住民が不審人物を見かけた場合、早目に学校に通報できるような態勢づくりをするという具体的方針を打ち出しております。地域の目で学校を守る試みということであります。

また、ことし3月まで3年間、ロンドン日本語学校の校長を務めていたある小学校校長によると、ロンドンの学校の休み時間などは、運動場全体が見渡せる場所に教師らが立ち、不審者が入らないように目を光らせている。学校の入り口も1力所に絞られていて、子どもの命を最優先にすることが徹底されている。日本の学校も施設充実を優先するより、もっと人的な面での手当てを考えた方がよいのではとお話しされていました。
ロンドンでは、ボランティアが子どもたちの監視をして、警備態勢の強化を図っております。また、アメリカでは、民間警備会社のガードマンや退職警察官を活用したスクールポリスのシステムが普及しているとのことであります。

八王子市においても、市教育委員会から学校安全対策について5項目で出されております。所管の方々が、子どもたちの安全のために全力で取り組んでくださったものだと思います。学校の危機管理はどうあるべきなのか、また、子どもたちの安全をどう確保していけばよいのかが、大変重要な課題になってまいります。

そこでお伺いいたしますが、学校の安全を守るには、常にいる教員や子どもの目だけでは足りません。
地域の目で子どもを守る態勢が大切であると思いますが、どのように対応されていくのか、お聞かせください。

また、事件は起こる前に未然に防ぐことが必要であると思いますが、どのように考えておられるのか、お尋ねいたします。

次に、絶対に起きてはいけないことですが、事件が起きたときの学校の危機管理の態勢はどのようになっているのかについてお伺いいたします。

次に、交通事故の安全対策についてお伺いいたします。
八王子市は、昭和58年8月に八王子市交通安全都市宣言をして、交通事故防止運動を推進し、市民ひとりひとりが心を新たに交通安全に対する関心を高め、交通事故のない安全なまちづくりに取り組むことを決意し、取り組んでまいりました。
八王子市の子どもの人身事故発生件数は、平成9年に幼児と中学生が1名ずつで、10年には幼児1名でありましたが、平成13年には2名の小学生が亡くなっています。新聞報道に。もありましたが、本市において、交通事故によって、5月には、由井第二小の2年生が、自転車で交差点を横断中、ワゴン車にはねられて死亡する事故が起きています。また、6月には、登校途中の元八王子小の2年生が、横川町で、市道交差点の横断歩道を青信号になったので渡ろうとしたところをタクシーにはねられ、全身を強く打って間もなく死亡するというとても悲しい出来事が続きました。

これらの事故に対して、由井第二小学校では、再発防止に向けて、小学校区内の危険箇所について全児童の家庭を対象にアンケートを実施して、横断歩道の整備、ガ一ドレール、信号機の設置を八王子警察署などに要望し、対応していただいております。
また、元八王子小学校では、PTA会長と父母は、交通安全課と道路維持課の方々と安全対策のための話し合いを持ちました。
その場所は、現在ガードレールを移動し、信号機の手前に白線を太く、信号機ありとの表示をしていただきました。

しかし、交通事故は自分がどんなに注意していても起きることがあります。ですから、常日ごろから細心の注意を払わなければなりません。ここで二度と悲しい事故を起こさないようにするために何点がお伺いいたします。

まず、事故が起こらないように、子どもの安全確保のための方策はどのようになっているのかをお伺いいたします。
また、交通事故が起きたときの再発防止の対策は、その場の安全対策、子どもへの指導とケア、周辺の学校への情報提供も大切であると思いますが、どのようにされているのか、お尋ねいたします。

今回の横川町の交通事故では、登校途中でありましたが、市内の通学路の危険箇所の見直しはどのようにしていますでしょうか。お聞かせください。
また、9月21日から9月30日までの10日間、平成13年秋の交通安全運動週間になりますが、学校では子どもたちに対して、春、秋の交通安全週間への具体的指導はどのようになされているのか、お伺いいたします。

続きまして、水の事故の安全対策についてお伺いいたします。
ことしの夏は、八王子では最高気温39.2度を記録するなど、真夏日が続きました。このため、海や川などでは泳ぎに行く人が例年になく多く、水の事故も多発しました。3連休と夏休みの初日が重なったため、海の日の7月20日、全国各地の海や川などで水の事故が相次ぎ、9名が死亡、1人が行方不明となりました。

悲しいことに、この日、昭島市の多摩川で、おぼれかけた友人を助けようとした八王子市の中学生がおぼれ、病院に運ばれましたが、約7時間後にとうとい命を落としました。友達は自力で岸にたどりつき、助かりました。亡くなった中学生は、友人を助けようとしたということで、警察から人命救助の表彰をされました。一緒に川遊びをしていた子どもたちも、その後もつらい日々を送っていると思いますが、亡くなった中学生のお母様から、二度とこういう事故を起こさないようにしてほしいとの御要望がありました。子どもたちの会話から、暑い日には習慣的に川遊びに行く子どもがいると聞いたことがありますが、この事故のあった同じ場所では、事故の1週間前にも子どもがおぼれそうになっ
たとのことです。川はすべてが危険であり、ここは安全というところはありませんが、本人の注意、家庭教育のあり方、子どものエネルギーが発散できるところなど、考えなければならないことが山積しております。

そこでお伺いいたしますが、学校では、水の事故防止に対して安全対策の指導をどのようにしているか、お聞かせください。
また、7月20日の中学生の事故については、その学校では、翌日全校生徒を集めて、水の事故への注意を呼びかけ、最善を尽くし、徹底を図りましたが、市教育委員会として市内の他校への対応はどのようになされたのかお尋ねいたしまして、1回目の質問を終わります。



議長【寺田元信君】学校教育部長。
学校教育部長【坂井力君】

まず、地域の目で子どもを守る態勢ということでございますけれども、従来からPTAを中心に、地域の方々が多数対応していただいております。ただ、。さらにこれを強化するため、広く協力を呼びかけ、学校安全ボランティアを組織化したいというふうに考えております。今、広報によるPR、また回覧の準備をしているところでございますが、活動計画とか調整等は各学校単位で行い、無理のない範囲で活動していただく緩やかなボランティア組織がよいのではないかというふうに考えております。これは例えば毎日散歩している方は非常に多いわけですがこういうときに腕章をつけて、朝夕の登下校時に合わせていただいたらどうかというようなことを想定しているわけでございます。

また、未然の防止策でございますが、ボランティアによるパトロールのほか、不審者には閉ざされた学校、地域には開かれた学校を目指しまして、不審者の侵入防止策として、フェンスや門扉の修繕、それから、侵入者の早期発見策として、教室の扉ガラスの透明化、さらには校内巡視、警報通報装置としては火災報知機の使用、内線電話による職員室への状況報告、校内放送、避難及び警察への通報策として校内訓練と警察通報、こういったことを実施したいというふうに考えております。
それから、3番目に、交通事故対策のうち、通学路の見直しの件でございますが、学校、PTA等で定期的に行っております安全点検に基づく要望等によりまして、要望者とともに、危険な箇所の確認を行い、改善の必要のある場所については道路管理者及び交通管理者等の関係機関に改善の要請を行っているところでございます。

議長【寺田元信君】学校教育部付参事。
学校教育部付参事【永関和雄君】

児童殺傷事件の対応についてでございますけれども、事件、事故が発生した際の学校の危機管理についてでございますが、学校の非常事態時の危機管理といたしましては、教職員の協力態勢の確立、児童、生徒の安全確保の方法の確認、避難訓練や安全指導の徹底、学校全体の危機意識の高揚、こういったものが基本的な対策として考えております。そのためには、各学校が独自の危機管理マニュアルのようなものを学校全体で徹底していく。また、PTAや保護者、地域、
関係諸機関等との連携を深めていくように学校を指導しております。市教委といたしましても、本年6月に学校事故対応マニュアルを作成し、各学校に危機管理に向けた援助をしております。

続きまして、交通安全のことにつきまして3点の御質問をいただきました。
まず1点目でございますけれども、子どもの交通安全のための方策でございますが、市教委といたしましては、児童、生徒の交通安全確保の方策として、交通ルールを守ることはもとより、みずからの安全をみずから守る、こういう習慣をつける指導を徹底していくとともに、危険な箇所などの最新情報を教職員、保護者、地域の方々と情報交換しながら、地図などで具体的に伝えるなどの対応をしております。
また、教員を対象といたしまして、夏季休業中に交通安全講習会を企画し、安全確保への意識を高めております。

2番目の交通事故の再発防止、子どもへの指導、また、他校への連絡についてでございますが、子どもへの指導につきましては、全校朝礼を初め、さまざまな場面を活用して、事故発生の状況を具体的に説明し、交通ルールを遵守したり、生命のとう一とさについての指導を徹底しております。市教委といたしましては、各学校に事故発生の状況等を周知して、児童、生徒等、安全確保の徹底を図るように、これも指導しております。

3番目に、春、秋の交通安全週間の学校の取り組みでございますけれども、各学校では、交通安全週間に警察等と連携した交通安全教室を開催して、自転車の正しい乗り方や、道路横断の際の注意事項などについて体験を通した指導を徹底しております。
最後に、水の事故でございます。

水の事故防止のための安全対策でございますけれども、学校においては、日ごろの泳カアップの指導はもちろん、児童、生徒の発達段階に応じて水泳の事故防止に関する心得を十分に指導するとともに、保護者や地域にも指導の趣旨を周知し、協力を依頼しております。
また、平成12年6月には、水泳における安全管理と指導の手引きを作成し、緊急時に備えた指導の充実を図るように徹底しております。
また、事故があった際にほかの学校にはどのようにして周知しためかということでございますけれども、これは交通事故の再発防止とも同じでございますけれども、この場合も夏季休業中の緊急時の対応につきましては再度教職員に確認をいたしました。ファクス等で全校に周知し、さらに指導の徹底を依頼したところでございます。



議長【寺田元信君】
【小林鈴子君】
それでは、2回目の質問をさせていただきます。

子どもたちの生命を守るための対策にっいてでありますが、それぞれの御答弁をいただきました。地域の目で子どもを守る態勢については、学校ボランティアの組織化を住民へ周知し、緩やかボランティア制度として考えているとのことであったかと思います。私は、児童、生徒の保護者、自治会など、地域住民、区市町村、児童相談所、警察など、地域の諸機関が、学校、幼稚園、保育所と協力し、児童、生徒、幼児の安全を図ることが大切であると思います。そのために、学校等安全対策協議会を設置し、日常的に地域ぐるみで学校等の安全を確保する態勢をつくることが必要だと思いますが、お考えをお伺いいたします。

現在、各地域でいろいろな取り組みが行われておりますが、小平市においては、市内に住む警視庁0B8人が防犯ボランティアとして小学校の周辺の見回りを始めており、子どもたちに安心感を与えております。また、埼玉県新座市では、孫は自分たちで守ろうということで、シルバーボランティアを結成し、学校内の見回りを行っておりますが、こういう方々にも応援をしていただくよう働きかけることも1つの方法であると思いますが、どのようにお考えでしょうか。お尋ねいたします。

また、先ほどの地域の協力で行っている学区内のパトロールや散歩の方に協力をいただく場合、事件が起こり、事故になった場合のことを考えて、事前に内容の説明会をきちんと行ったり、保険のこともあわせて全員がまちまちではなく、統一した意識で協力、活動していただけるようにすることが大切であると思いますが、その点についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか、お伺いいたします。
東村山警察署は、管内の東村山、清瀬市の郵便配達員と新聞配達員470人に防犯パトロール隊員として委嘱しております。92年2月の警察殺傷事件も新聞配達員が第1発見者だったこともあり、連携を強化していく方法でありますが、このような要請は八王子市ではとれないのでしょうか。お聞かせください。

未然に防ぐことに対しては、5項目の対応で総合的抑止策を図っているということであったかと思いますが、事件は起きる前に未然に防ぐことが大切であると思います。アメリカの教育現場での危機管理に詳しい下村早稲田大学教授も、子どもの命を預かっている以上、まずは登下校時以外は校門を閉めることから始めるべきだと提言しております。市民の方々からも、子どもたちの安全を確保するために、モニター画面を通して見ることができるインターホンの設置や、学校の受付がわかりにくく、見にくく、不安であるので、位置を変えることができないのかという要望も出ております。

川崎市は、公立、私立の全幼稚園と保育園に来訪者の顔をモニター画面を通して見ることができるインターホンの設置を決めており、また、幼稚園での殺傷事件が起きた杉並区は、保育園や幼稚園、小中学校で来訪者を確認するインターホンの設置を決めております。また、町田市では、職員室から校庭を見渡すことができない市立の小中学校に感知センサーカメラを設置するとのことです。このように、さまざまな取り組みがされておりますが、。八王子市においては、来訪者の顔が識別できる、このような安全対策は検討されなかったのか、お伺いいたします。
また、文部科学省は、職員室を校門や校内全体を見渡しやすい場所に移動したり、低学年の教室を2階以上に移し、1階に理科の実験室や音楽室などを配置したりするなど、自治体や学校の安全性を高めるために改修工事を行う際の費用を2002年度から新たに補助する方針を固め、既存の公立学校施設整備費補助金の対象に加える意向であります。ぜひこの経費を活用して、今後もさらなる学校の安全強化に努めていただきたいと思います。

また、同省では、学校安全推進モデル地域の募集も行うとのことでありますので、ぜひ手を挙げて八王子をモデル地域にしていただきたいと思いますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。

そして、今回、教育委員会が作成した学校安全対策についての内容を池田小の事件、八王子市内の事件を受けて、とても不安がっている市民に対して早く周知し下いただきたいと思います。周知の時期はいつごろと考えていらっしやいますか、お尋ね。いたします。
次色事件二事故が起きたときの学校の危機管理の態勢については、危機管理マニュアルをもとに学校の危機管理と各機関の連携を深めていくよう市教委が指導しており、学校事故対策マニュアルを作成したとのことであったかと思います。八王子市内においても、女子児童が5月、6月と刃物を持った男に脅かされた事件が数件起きており、新聞報道でもありました。
しかし、市内では新聞に出ない事件は何件も起きております。4月には、ある中学生男子生徒が、部活の帰一り道、刃物を持った男に脅かされ、振り切って逃げてきた事件がありました。5月には、小学校の女子児童が、ある団地で刃物を持った若い男に羽交い締めされ、脅かされた事件が起きましたが、その1時間後に、公園でも不審な男に脅かされた児童がおります。7月には、下校のとき、女子が男に抱きつがれる事件が起きております。この事件に対しては先生が児童に対しての事件の説明をする学校もありましたが、ほとんどの学校てば、その事件の説明すらありませんでした。

また、一般の父母に対しては正確な情報を知らせることもなく、一般の父母は事件をうわさ話などのロコミで知っていくしかないというのが実態であり'ました。このことを通して、学校側から正確な情報が保護者に伝えられないのはなぜか、また、近隣の学校、幼稚園、保育園への対応はどのようになっているの一かと疑念が起こり、市民、特に父母が不安に感じ、学校や行政に対して不信感を募らせております。

そこで、お伺いいたしますが、事件、事故が起きたとき、一般の父母に情報を伝えることに消極的なのはどうしてなのか、お聞きいたします。

また、事故が起きたとき、近隣の学校に対して、または市内全域の学校に対して、どういう場合はどういう内容を流すというようなマニュアルがあるのでしょうか。お伺いいたします。
また、学校が情報を受けたとしても、学校の対応に格差がありますので、市教委として差が出ないようにある程度統一した対応を学校がとれるようにお願いしたいと思いますが、これに対してはどのようなお考えか、お聞かせください。

私は、正しい情報を流さなければ、本当にそれに適した注意や対策をとることができず、被害を食いとめることはできないと思います。もちろん、プライバシーについては厳守すべきでありますが、ありのままの事実は公表し、その上でしっかりした安全対策、適切な防止策を講じられると考えますので、迅速、かつ正確な情報の伝達をお願いしたいと思います。

池田小の事件が起きてから、開かれた学校づくりが後退するのではないかと言われておりますが、開かれた学校である方が、地域との垣根が高い学校より安全が確保できると思われます。今後も地域に開かれた学校づくりをしていく必要があると思いますが、どの一よう1にお考えになっているのかをお伺いいたします。

次に、交通事故の安全対策についてでありますが、子どもの交通安全確保のための方策については、児童、生徒への交通ルールの指導、危険箇所の情報交換をし、安全確保をしているとのことでありました。しかし、子どもの交通ルールが守られておらず、大変に危ないという声があります。私自身がこの目で見たことだけでも、青信号を待っている児童が横断歩道にまで出て待っていたり、また、プール帰り、バスをおりて、横断歩道を渡らず、ほかの車も通っているにもかかわらず、バスの前後を通って反対の歩道に行ったりしております。基本的な交通ルールの指導、交通安全対策を指導することはされていると思いますが、家庭はもちろん、学校においても、車に乗っている人のことなど、細かいところまで指導をし、交通安全対策をさらにして一いただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

次に、交通事故の再発防止の対策についてぽ、全校朝礼で指導をし、各学校にも事故発生を周知しているとのことであったかと思います。死亡事故だけでなく、小さな事故も状況を伝え、交通交傘の指導を徹底していくことが大事であり、また、保護者からも家庭で交通ルールの指導がさらにできるように情報を提供していただきたいと思いますが、これらに対してはどのようにお考えなのかをお聞かせください。

通学路の危険箇所の見直しについては、学校、PTA等からの安全点検により改善を要請しているとのことでありますが、交通事故が起きたときは大規模に対策を講じますが、日ごろからの対策が大切であると思います。そして、大人の目線でなく、子どもの目線で通学路の点検をお願いしたいと思います。

また、一通学路の危険な場所については、市教委も、学校任せではなく、把握し、認識していただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

交通安全運動週間の学校の取り組みについては、交通安全教室を開催し、自転車や道路横断の注意を体験を通して指導していることであったかと思います。

特に自転車については、子どもが加害者になるケースもあるので、細かいところまで指導が必要であります。また、交通安全逓問には、PTAで保護者の方が通学路上の横断歩道に立ち、旗振りを実施しておりますが、時には保護者の方も参加できる交通安全週間にしていただきたいと思います。

これによって、保護者に対しても交通安全の啓発ができると思いますが、お考えをお尋ねいたします。

八王子市は、昭和56年、57年と交通事故による犠牲者が多発したことを深刻に受けとめ、昭和58年に・市として交通安全都市宣言をしました。そして、再来年、平成15年には20周年を迎えようとしております。交通安全都市宣言は、言うまでもなく、宣言で終わらせるのではなく、交通事故の防止を図る具体的な施策がきちんと遂行されなければなりません。その意味で、ここでもう一度、広く市民の皆様に交通安全の意識高揚を図る積極的なキャンペーンを展開する必要性があると思います。そこで、交通安全都市宣言20周年記念のイベントの開催を提案するものでありますが、この点についてはいかがでしょうか。

また、子どもへの交通事故の安全対策について、市長のお考えをお伺いいたします。

次に、水の事故の安全対策についてでありますが、水の事故防止の安全対策の指導については、学校では発達段階に応じて指導をし、保護者や地域の方々にも協力を依頼し、手引きを作成して指導の充実を図っているとのことであったかと思います。また、事故に対しての他校への対応については、周知、事故防止への徹底を図っていくとのことであったかと思います。学校は夏休み前にすべての、ことへの注意事項のプリントが配付され、子どもたちに事故への注意を先生から指導されると思いますが、水の事故に対しては夏に入ると同時に指導していくことが大事であると思います。

特に、川の事故には陸上の事故では考えられないようなさまざまな特異性があり、ほとんど水の流れの中で起こります。流れる水は圧力という強大な力を持っており、これは体験したことのない人の想像をはるかに超える力であります。また、川は思ったよりも水温が低く、水というより氷水といった方が適切ではないかと思われるほどです。そして、人間は水の中ではほんの数分しか生き延びることができないということが川における事故を深刻なものにしております。水の事故を限りなくゼロに近づけるため、そういった水の恐ろしさや海と川の事故の例を取り上げ、また、事故防止のためのビデオを活用して、水の安全指導をしていくことも大切であると思いますが、お考えをお聞きいたします。

ところで、小泉内閣の1つの売り物である閣僚と国民との対話集会、タウンミーティングが岐阜県で7月8日に開かれ、これには坂口厚生労働大臣が出席いたしました。その会場で中学2年生が質問に立ちました。
この中学生は、心肺蘇生法など応急手当の普及を目指しているボランティア団体で活動していて、学校の授業の中に心肺蘇生法の実習を取り入れ、多くの人たちに命の大切さをわかってもらいたいとの提案をいたしました。

これに対して、坂口厚労相は文部科学省に相談したいと約束されだそうです。この心肺蘇生法は、傷病者が意識障害、呼吸停止、心停止、もしくはこれに近い状態に陥ったとき、呼吸及び循環を補助し、傷害者を救命するために行う手当てです。これは技術的に難しい面はありますが、身につければ人命救助に大変に役立ちますので、命のとうとさを学ぶための方策として八王子の中学校教育にも取り入れていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。

最後に、教育長にお伺いいたします。さまざまな事故が起きておりますが、子どもたちの命を守るため、御自身の経験を踏まえて、教育長の所見と御決意のほどをお伺いし、一般質問を終わります。



議長【寺田元信君】学校教育部長。
学校教育部長【坂井力君】

まず、対策協議会の件でございますが、地域を挙げて市民や関係機関が連携、協力をしながら、安全を守るために対策協議会のようなものができるということは大変好ましいことでございますけれども、日常的な実動部隊といたしましては、御提案のような方々も含めて、さまざまな地域の方々にお力添えをいただいた方がよろしいだろうというふうに考えているところでございます。

次に、統一的な説明という御覧間でございますが、保険につきましては現在検討中でございます。統一的に取り扱っていく必要があるというふうに考えておりますけれども、各学校とか、または地域の違いもございますので、各学校ごとに学校及び校外パトロールの方法等、その地域に合った長続きのする制度となるように検討していただきたいというふうに考えております。

それから、郵便配達員等への要請でございますが、全市民の協力要請が必要だというふうに考えておりますので、その中の一部として検討してみたいというふうに思います。

それから、インター赤ンとか、センサーつきカメラの問題でございますが、事件の発生後、部内のプロジェクトにおいてさまざまな検討を重ねた結果、まず、インターホンにつきましては、そもそも不審者というような、そういう人たちがインターホンなどは使わないだろう。また、カメラにつきましてはモニターを監視する要員の問題、また、その必要台数等、対費用効果等を考えて、ここでは採用しておりません。ただ、学校安全対策にこれでよいということはないと思いますので、今後も適切な対策があれば、導入を検討してまいりたいというふうに考えております。

それから、国補助の活用等でございますが、補助制度及びモデル事業につきましては、国も概算要求の段階でございますので、概要でしかその情報をつかめておりませんけれども内容が対象となるというようなものであれば、ぜひ手を挙げていきたいというふうに考えております。

それから、安全対策についての周知でございますが、各町会、自治会を通じて学校ボランティアの募集を含めた5項目からなります学校安全対策について、回覧板での周知を9月中に行う予定で、今準備をしているところでございます。
8月29日には、報道機関へ市の考え方及び対策の概要を発表しております。
このほか、10月1日号の広報はちおうじでも周知をすべく、今準備をしているところでございます。

それから、地域に開かれた学校づくりということでございますが、議員のおっしゃるとおりでございまして、地域に開かれた地域とのかかわりを深くする学校こそが、犯罪への抑止力となるものだというふうに考えております。

それから、通学路の危険箇所の問題でございますが、問題と思われる箇所につきまして、事務局でも当然認識をし、現場を確認しながら、対応しております。今後も、学校やPTA、地域の方々からの情報や要望をもとに、改善に努力をしてまいりたいというふうに考えております。

議長【寺田元信君】学校教育部付参事。
学校教育部付参事【永関和雄君】

まず、事件や事故が発生したときに学校が消極的なのはどうしてかということでございますけれども、学校では、PTAや地域及び警察等と連携を図りながら、、子どもたちの生命尊重を第一としてやっておりまして、正確かつタイムリーな情報提供に努めており、決して消極的ではないのではないかというふうに信じております。

次に、事故が起きたときに、市内全域の学校へ周知をどのようにするのかというごとでございますけれども、各学校においても、独自の危機管理マニュアルを作成しております。事故への周知については、校長会による緊急連絡網等により速やかに対応できる体制が整っております。市教委といたしましても、市内全域の学校に一斉にファクスを送るような整備がされております。

また、事故対応に差がないような対応でございますけれども、本年、学校事故対応マニュアルを作成し、各学校に配付するとともに、校長会、教頭会で各学校が適切に対応できるようにいたしました。
また小学校の生活指導主任の先生方を対象といたしまして、架空の事故の事例をもとに、どのような対応をしたらいいのかという大変具体的な研修もしております。

続きまして、交通事故のことでございますけれども、子どもの交通安全対策についてですが、市教委といたしましては、児童、生徒の交通安全対策として、多様な交通安全指導の工夫を図るよう今後とも指導してまいりたいと思っております。

家庭での指導ができるような学校からの情報提供でございますけれども、学校による交通安全指導の徹底や児童、生徒の危機回避能力を育成するためには、学校だけではなくて、家庭や地域がともに連携しながら一体となった取り組みをすることが大切だと思っております。そのためには、交通安全に関する学校の指導内容について適切に情報を提供しながら、家庭でも一緒に指導するというような協力を依頼するよう指導してまいりたいと考えております。

保護者への交通事故の防止、啓蒙でございますけれども、議員が御指摘のとおりと受けとめております。保護者や地域の方々の参加も含めた交通安全教室の実施など、校長会等で紹介させていただきたいと考えております。

最後に、水の事故についてでございますけれども、夏に入る前にビデオ等を活用した水泳の安全指導を徹底することが必要じゃないかということでございますけれども、各学校において海や川における水難事故及びプールの水泳指導の防止に向けて、ビデオも含めたさまざまな資料を活用したりして、着衣水泳などを体験して、生命のとうとさや安全確保に配慮した指導を徹底してまいりたいというふうに思っております。

心肺蘇生法を八王子の中学校へも取り入れることでございますけれども、これにつきまして本市においても小中学校全校の教員の代表を教育センターに集めまして・、八王子市の消防署と連携を図りながら、心肺蘇生法を実際に体験を通して身につけていただくような研修会を年に3回実施しております。また、
子どもたちへの指導でございますけれども、新学習指導要領にも小学校では体育の保健領域で、また、中学校では保健体育の保健分野の中で、人工呼吸法を実施することが示されました。こういったことを受けまして、十分な指導を今後とも徹底してまいりたいと考えております。

議長【寺田元信君】成田教育長。
教育長【成田一代君】

小林議員の教育長への御質問にお答えいたします。
初めに、平成13年度になりましてから、本市生徒の水の事故でたっとい生命を失われた生徒お一人と御遺族に対しまして心から哀悼の意を表します。

子どもたちの命を守るという視点から、経験も踏まえた上で、その教育長の決意にっいてでございますが、教育を考える上で最も大切なことは、命なくして教育なしというごとでありました。両親から授かった大切な生命を子どもたちひとりひとりが精いっぱいに輝かせ、自分らしく生きることが未来ある子どもたちの責務であると受けとめております。その考えに立った上で、今後とも生命の尊重、そして、安全管理への一層の指導を各学校に徹底してまいります。

議長【寺田元信君】黒須市長。

市長【黒須隆一君】
小林鈴子議員の私に対する質問にお答えいたします。

交通安全都市宣言でありますが、交通事故を八王子から追放しようという目的のために、市民や行政が一体となって取り組む決意を交通安全都市として昭和58年8月6日に宣言したものでございます。おっしゃられたとおり、再来年、平成15年には宣言から20年経過するわけでございますので、まだ時間がありますから、これが形骸化しないように、市民の交通安全思想を高めることができるような取り組み、を考えてみたいと思います。'

また、子どもたちへの交通事故安全対策についてでありますけれど。も、各学校の対応につきましては担当者から先ほど答弁がございました。ただ、私は欠けていると思っているのは、もうちょっと教育の中で交通のルール、あるいはモラル、マナーの向上ということをもっと積極的に取り入れなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。今、大人のマナーもよくないですからね。大人のマナーもよくないですから、やっぱり子どものマナーがよくなるわけはないわけでありまして、学校教育の中で、あるいはまた、家庭の中で子どもさんの交通のルール、あるいはモラル、マ'ナーの向上というようなものを話題にできるように、広報等でも各家庭に働きかけをしてみたい、このように考えております。

交通安全都市宣言をしているわけですけれども、残念ながら、8月末で2、687件も交通事故が本市で起きておりまして、9名の方が亡くなられているわけですから、1件でも交通事故を減らすために、関係機関とも協議をしながら、さらに積極的に進めてまいりたいと思います。