「忘れていませんか? 神戸のこと」
〜神奈川県相模原市の成人式会場で「阪神大震災写真展」開催〜
神奈川県相模原市は、東京郊外の国道16号線沿線を中心に発達した、横浜市・川崎市に次ぐ県内第3位の人口を誇る50万人都市です。今年1996年の1.15成人の日、「グリーンホール相模大野」にて開催された相模原市主催の「成人式〜二十歳の集い〜」式典において、阪神大震災をテーマとした写真展・募金コーナーが設けられ、新たに大人の仲間入りをした多くの若人たちの関心を集めました。
- きっかけ
- 筆者は、今話題の「インターネット」を利用して神戸の被災・復興情報および「すたあと長田」の活動情報の案内板(専門用語ではホームページといいます)を、世界中に向けて発信しています。普段は東京にいる筆者がお正月に神戸に帰省して、すたあとのメンバーと桜亭(新湊川公園)で歓談している頃、1通の電子メールが舞い込んで来ました。「私は「相模原ユースネットワーク」の者です。インターネットの神戸情報を拝見しました。ところでこの度、相模原市の成人式のイベントとして阪神大震災をテーマに写真展を開くのですが、写真提供にご協力願えませんか?」東京に戻ってこの依頼を知った筆者は「よっしゃ、まかしとき!」とばかりに腕まくりして、インターネットで公開している200枚余の被災地写真から50枚を選んで模造紙にレイアウトし、成人式前日の会場設営に合流したのでした。
- 相模原ユースネットワークとは?
- この団体は相模原市内の青年活動の中核を担うサークル(1992年〜)で、相模原市教育委員会青少年課に事務局をおき、教育委員会からの委託事業や、おまつり、スキー等の若者向け親睦イベントを自主企画により行っています。毎年行われる成人式では「1.15プロジェクト」と銘打って様々な企画を主催しており、今年は震災特集企画の他に、使用済みテレホンカード回収コーナー(身障者に送る車イス購入資金に当てます)や、もちつき大会等も同時開催しました。市内に居住もしくは勤務する方を中心に20代のメンバーが多く、元気一杯で和気あいあいとした雰囲気があり、筆者は思わず、故郷・神戸の「すたあと長田」のメンバーの方々と重ね合わせてしまうのでした。
- 成人式当日〜市長も思わず見入る〜
- そして成人式当日。雨の予報に反して見事に晴れた暖かい祝日でした。市内の新成人1万人の7割〜8割が参加するというだけあって、会場は振り袖・スーツ姿の若者たちでいっぱい。筆者自身は午後から会場に行ったのですが、ユースの方のお話では、午前中には、メイン会場での挨拶を終えた市長さんも各種展示を見に来られたそうです。被災地長田区・三宮地区・東灘区(東灘区は神戸の土井さん撮影)のこの1年間の変貌を時系列に並べた定点観測写真などに見入り、また「インターネットの輪を通じて今回の写真展示が実現された」などの説明にも感銘を受けておられた、とのお話でした。
- すたあと作成の特集号も陳列!
- 震災関連コーナーでは、写真のパネル展示の他に日赤向けの義援金募集などもあり、また「すたあと長田」発行の Weekly Needs 特集号「Don't Forget 神戸長田」も置かせて頂きました。お天気にも恵まれた晴れやかなこの記念日、参加者の多くは屋外での記念撮影や同窓生との再会に盛り上がりを見せていましたが、振り袖姿の女性や付き添いの親御さんが展示物を見たり募金をしていく姿も多く見られました。「おめでたいだけで済まさないで、これからは世の中のこともじっくり考えていこうね。そして神戸の震災のことも決して忘れたりしないでね。」と、そっとつぶやきながら、筆者(28歳)は隣接のお餅つき会場へと移動し、振る舞いの甘酒と黄粉餅を堪能したのでした。
- 広がるインターネットの輪
- 先述した通り、筆者は昨年10月より「すたあと長田」の全面的協力の元に、インターネットという新しい形の情報発信手段を利用して、「すたあと長田」の活動情報を広報しています。Weekly Needs 記事や神戸・長田関連イベントなどを文章と写真で世界中の方(ただし内容は日本語のみで書かれています)にご覧頂いており、同様な広報を行っている震災ボランティア団体と共に、神戸以外の地域に居住の方にも大きな反響を呼んでいます。インターネットの一般家庭への普及率はまだまだ低いですが、大学・企業あるいは民間サービス会社を通じて、インターネットをご利用になれる方は、ぜひ一度、下記アドレスを元にご覧になってみて下さい。
Access to →
http://www4.airnet.ne.jp/start/
「すたあと長田」ホームページ
(東京都三鷹市 沼田 英俊:兵庫県立長田高校OB)
※この度の企画に誘って頂いた田地正宏さんはじめ「相模原ユースネットワーク」の方々に深く感謝致します。
numata@yb3.so-net.ne.jp