Who is “金原 雅彦”さん ? |
5年で500枚、長田で定点撮影(神戸新聞 2000年1月13日朝刊)
阪神・淡路大震災後、埼玉県から神戸市長田区の被災地を毎年一、二回のペースで訪れ、同区内六十六カ所を定点撮影した写真を、関東在住の知人たちに紹介しているボランティア男性がいる。五年を経た今、その数は五百枚を超える。今年もまた被災地を訪れた男性は「昨年夏ごろからようやく復興に向けて街並みが変わりだした。記録の大切さを感じる」と使命感を強めている。
同区で活動するボランティアグループ「すたあと長田」のメンバーで、フリーの市場調査員金原雅彦さん(26)。編集関連の専門学校生だった震災当時、ボランティアで同区を訪れテント村で活動。手作りの生活情報誌を地域住民に配達しながら、写真撮影を始めた。
いったん埼玉へ引き揚げたものの、一九九六年五月に被災地のその後を知りたくて「すたあと―」を訪れた時、まちづくりプランナーから震災前の地域の写真約二十枚をもらい受けた。「街の変化がわかる。復興の過程を記録しよう」と決めた。
記録写真のアルバムを開くと、被災した商店街の周辺に復興住宅が建ち、本格再建する店が登場した通りや、倒壊家屋が解体されてプレハブが建ち、本格再建された住宅と駐車場になった場所など、半年おきの変化が分かる。
二年前には、関東で被災地にこだわり続ける元ボランティアら数人で新たなグループを結成した。東京で発行されている被災者へのインタビュー冊子にも写真を提供した。しかし「まだやってるの?」と聞く人も多く、その意識差を痛感するという。
金原さんは十七日、同区御蔵通で開かれる慰霊祭を手伝いながら記録写真を撮る。「震災を風化させてはいけない。被災地にカメラを向けるのは失礼だと思って遠慮していたが、今は無駄にできない財産になったと思っている。今後も撮り続けたい」と話している。