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今月の本・絵本 

2003年2月

もうすぐ一年生!

注)今回は私情たっぷりの、かなり親バカな仕上がりとなっていますが、どうぞお許しください。

6年前、桜の咲く季節に産声をあげた娘も、この春いよいよ小学生になります。
本当にいろいろなことがありました。いろんな思い出。娘の笑った顔、泣いた顔、怒った顔。
切迫流産で入院していた病院で、胎児の心音が確認できた時の喜び
生まれた日、はじめて見つめ合った目と目。

自分の足で歩けるようになったときの感動。はじめて意味のある言葉をしゃべった日のこと。
誕生日、保育園、幼稚園、お友だち……。
すべてが最高のプレゼントです。生まれてきてくれてありがとう。
私たちの所に選ばれてやってきてくれたことは、本当に、奇跡です。
よく、大きくなってくれました。とてもやさしい、本当にやさしい良い子に育ってくれました。

毎日がんばって、いろんなことにも挑戦しています。
自転車にも乗れるようになりました。今度は漢字も覚えたいとはりきっています。 
もうすぐ娘も1年生。 学校という所には、今のような楽しい毎日が
ちゃんと用意されているのか、今はまだちょっと不安な様子です。
 

新しい場所へ踏み出す娘のために選んだ絵本を、今回は紹介したいと思います。

ビリーはもうすぐ1ねんせい』 『くんちゃんのはじめてのがっこう』 『一年生になるんだもん
トイレにいっていいですか』  特別企画:『うちゅうひこうしに なりたいな

タイトル

 
『ビリーはもうすぐ1ねんせい』
  

著者

 
ローレンス・アンホールト 文 
 キャスリン・アンホールト 絵  松野正子 訳

出版社・発行年

  岩波書店   1997年発行
  

ビリーは明日から一年生になります。でも、何もかもがとても心配だったのです。
そんなとき、ビリーは偶然まだうまく飛べないこすずめを見つけます。 ビリーは他の鳥たちにいじめられないよう、こすずめを家に連れて帰り箱の中で世話をしてやりました。
ビリーが学校へ行く日の朝、こすずめは自分から箱を出ます。自分から飛び立つ準備ができたようなのです。 ビリーは言いました。

「とんでいかなくちゃ、いけないんだよ。ひとりで、なんでもできるように、ならなくちゃ、
いけないんだよ。ぼくとおんなじように、ね。」

学校にいくのが不安だったビリーが、学校にとけこめるようになるまでの、心の変化を描いたお話。

  ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 

学校へ行く前の日のビリーの不安でたまらない気持ちが、朝から夜明けまでを通して、とても丁寧に描かれているお話です。ビリーは、鳥が大好きな、内気な少年のようです。最初、ごはんものどを通らないほど不安だったビリーは、こすずめに自分自身を重ね合わせることで、新しい環境に踏み出す勇気が与えられます。
学校でも、大好きな鳥がきっかけで、クラスに溶け込め友達を作ることができるのです。 
子どもが学校に行く前にやっておくこと。
それは、勉強ではなくて、「私はこれが一番好き」というものを見つけておくことなのではないか、とこの絵本を見ると思います。

折り紙ばかりやっていたり、泥遊びばかりやっていた幼稚園時代だっていいじゃないですか! 大切なのは、自分は何が好きで、どんなことができるのかを見つけること。
それが、長い人生の中で確かな自信につながるものだと思うからです。 
「わたしは本当は何をやりたいのか」 と、大人になっても目標が見つけられず、後々苦しむよりも、思いきり好きなこと、夢中になれることに集中できる子ども時代を、子どもに味わって欲しいと思うのです。

タイトル

 
『くんちゃんのはじめてのがっこう』
  

著者

 
ドロシー・マリノ 作  まさきるりこ 訳 

出版社・発行年

  
ペンギン社   1982年初版

こぐまのくんちゃんは、今日から一年生です。 くんちゃんはお母さんから離れ、初めて一人教室に入ります。 やがて授業がはじまります。 くんちゃんは指されないように小さくなっていました。まだ、字も読めないし、計算もできなかったからです。

まもなく、くんちゃんたち一年生が前に呼ばれました。 くんちゃんはこわくなって思わず、教室からとび出してしまいます。 でもこわがる必要はありませんでした。 

「じぶんの なまえと おなじ おとで はじまるものの えを かきなさい。」

先生は、やさしく言います。 くんちゃんは一生懸命に絵を描きます。 先生からほめられたくんちゃんは、学校が大好きになるのです。

  ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 

とっても有名な絵本で、入学前にはぜひ娘にも読んであげたいと思っていた一冊。
くんちゃんは、大変好奇心旺盛な男の子です。学校へいく道々、あちこち寄り道をしていきます。 でも教室に入るやいなや、うってかわっておとなしくなるくんちゃん。
先生は、「くんちゃんの"く"」の字ではじまる言葉を訪ねます。この質問に、今までおびえていたくんちゃんも、がぜん張り切り出します。 

一年生になるために、字を覚えていく必要も、計算の練習をしていくひつようもないのです。 「そのままの、元気なあなたでいらっしゃい。」そんなやさしい先生のまなざしは、不安な子どもたちの心を開放してくれるのでしょう。この絵本の人気のひみつが分かるような気がしました。 
そして素晴らしいのが、道草をしても立ち止まって待っていてくれるお母さんと、教室から生徒が脱走しても動じない先生。このような人たちに支えられているくんちゃんは、どんなに幸せでしょう。くんちゃんを見守る大人たちの広い心、私も見習いたいです。

タイトル

 
『一年生になるんだもん』
  

著者

 
角野栄子 文  大島妙子 絵 

出版社・発行年

  
文化出版局   1997年第1刷発行

さっちゃんは6歳です。来年の春には一年生になります。 これから一年生になるしたくがいろいろはじまります。 まずは学校から、健康診断の案内が届きます。 そして入学前にはお母さんと一緒に、名前を書く練習です。 ランドセルも、文房具もそろえました。

4月7日。いよいよ入学式です。校門を入ると、案内係の男の子につれられて、さっちゃんは教室に入ります。 そのあと体育館で、入学式がはじまるのです。担任の女の先生は、とてもやさしそうです。 さっちゃんの入学した最初の日のお話です。

  ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 

小学校に入る前の段階から、入学式の日のことまでを、さっちゃんの行動を通して詳しく描いた絵本です。
角野栄子さんらしい、女の子のゆれる気持ちをよく表したさっちゃんのセリフには、同じ立場にある子どもたちも、大いに共感できることでしょう。

ひらがなを練習するところも、ランドセルを背負って鏡にうつしてみるところも、入学式を前にちょっぴり心配になるところも、娘にとってはまるで自分のことのように感じたようです。 そして入学式当日の一年生たちの行動は、大いに参考になったみたいです。でも、「行きたくなーい!」なんて最後には言うんですけどね!

タイトル

 
『トイレにいっていいですか』
  

著者

 
寺村輝夫 作  和歌山静子 絵


出版社・発行年

  あかね書房 2002年初版発行

オムくんは、一年生です。オムくんは、学校のトイレがきらいでした。大きい子どもの中にはいじわるな子がいて、いつも何も言えず用をたす前に逃げ出してしまうのです。
トイレをがまんしていたオムくんは、授業中とうとうがまんできなくなって
「トイレにいっていいですか」と聞きます。
ひとり静かにトイレに向かうオムくん。すると、不思議なことがおこります。 
一年生のオムくんが、休み時間トイレに行けるようになるまでのお話。

  ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 

幼稚園や保育園時代は、年長で一番えらい立場にあったみんなも、小学校では一番下のぺーぺーです。 オムくんのように、上級生を恐がってトイレにいけない子どももでてくるのかもしれないですね。 
そんなとき、はげましてくれる優しい友だちが現れたら、どんなに心強いでしょう。 
ほんのちょっとのきっかけさえあれば。そう。 誰だって最初はそんなものだと思うのです。 テーマのはっきりした、とてもわかりやすい絵本です。



特別企画

スペースシャトル「コロンビア号」で亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。 2003年2月6日
タイトル

 
『うちゅうひこうしに なりたいな』

著者

 
バイロン・バートン 作   ふじたちえ 訳

出版社・発行年

  インターコミュニケーションズ 1998年
  (2歳くらいから)   

               *** おはなし ***  
           
宇宙飛行士になりたい!
スペースシャトルにのって、宇宙にとびたって。 宇宙ではいろんな仕事があるんだ。
研究とか、人工衛星の修理とか、宇宙基地の組み立てとか。
しばらく宇宙にいようかな。 それからまた、地球に帰ってくるんだ。
いってみたい。いってみたいな。あこがれの宇宙に・・・。

宇宙に憧れるだれかが、宇宙飛行士になって宇宙に出かける夢を語ったおはなし。
はっきりとしたわかりやすい絵と、最小限の言葉が、夢の大きさをひきたてています。
2〜3歳くらいから楽しめる絵本でしょう。


    ●  ●  ●  ●  


         *** 夢にむかって走る力 ***
  

最初のページに、子どもがひとり。 セリフはひとこと、「うちゅうひこうしに なりたい」。
そして次のページは、宇宙服を身につけた6人のクルーたちが、ずらり一列。 
「これが なかまだ」とあります。 
「宇宙飛行士になりたい」と夢を語ったこの子は、自分を含め7人で宇宙に飛び立つということを、ちゃんと心得ているのです。 

スペースシャトル・コロンビアの事故を受け、宇宙飛行士の毛利さんも
「犠牲になった7人は宇宙を共に目指した仲間だ」 と語っていました。
宇宙で働くということは、仲間と共に働くということでもあるのですね。 

今回の事故で亡くなった乗組員の方々のことを思います。 7人共がきっと、幼い頃から空を見上げ、宇宙に飛び立つことを夢見ていたのでしょう。 宇宙に飛び立つ。すごいことです。 何千、何万もの人たちが憧れますが、夢がかなうのはそのうちのほんの一握りです。 そんな彼らがはじめて地球を見下ろした時、どれほど感動したか想像に余りあります。

                
夢を実現する。 確かにすごい努力がいります。 夢を実らせ、走り続けるためには、すごいエネルギーが必要です。 でも誰しもその第一歩には、この絵本の子どものように、夢を見る力があったはずです。 夢見る力。それが、走り続ける力の元になるのでしょう。 

歌舞伎俳優であり、演出家でもある市川猿之助さんの著書の中に、こんな言葉がありました。 
 
   「ただ、夢見るだけでそれがパワーになるかというと、そうではない。
   普通、夢見るというと、身体を使わず夢想しているだけでいいかと思って
   しまうけれども、そうじゃないんです。夢に向かって走らないといけないんですよ。
   走りながら、頭と身体の両方を使わないといけない。」 (『夢みるちから』より)

「こうなりたいな」という夢のあとに行動がないと、夢は夢のまま消えてしまいます。
子どもに「夢を持て」と言う前に、自分が今どんな夢をもっているのか。
それを実現するために、どれだけの行動力が示せているのか。 今一度真剣に自分と向き合ってみたい、そんなふうに思いました。

もうすぐ卒園・卒業のシーズンです。 みんな夢をもって、新しい場所でがんばってもらいたいと願っています。 


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バックナンバー

2000.9 子どもへのまなざし 2000.11 魔女の宅急便 2000.12 さむがりやのサンタ
2001.1 親子で楽しむえほん100冊 2001.3 私の絵本体験 2001.4 ちいさいモモちゃん
2001.5 ラチとらいおん 2001.6 11ぴきのねことあほうどり 2001.7 かえるくんのこわい夜
2001.8 スター★ガール 2001.9 だってだってのおばあさん 2001.10 かばくん
2001.12 わたしのだいじなかぞく 2002.1 てぶくろ 2002.2 とんことり
2002.3 ぐるんぱのようちえん 2002.4 みみをすます 2002.5 赤ちゃんの絵本箱
2002.6 はがぬけたときこうさぎは・・・・ 2002.S せかいはひろし 2002.7 はじめてのキャンプ
ぼくキャンプにいったんだ
2002.9 あすは きっと 2002.10 1こでも100このりんご 2002.11 おばあちゃんにおみやげを
2002.12 サンタクロースと小人たち 2003.1 本の話をしよう - -

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