2009ウイグル旅行編夢のあとに 〜トルファン・ウルムチ     日が傾きかけて



バスターミナルへ戻ってウルムチ行きの乗り合いタクシーを探したが見つからず、バスで帰ることに。
トルファンのバザールで干しぶどうを買うつもりだったけど、活気がなく気分も乗らず結局買わずじまい。
ウルムチに戻ってスーパーででも買おうっと。

前から2番目の席に座り出発してすぐ眠ってしまった。本当は車窓の景色を楽しみたかったのに。
目が覚めて外を見ると、日が傾きかけてのどかな農村や遠くの乾いた大地に赤みが差してきていた。
明日は朝から飛行機で帰国なので、今日でこのウイグルの景色も見納めなんだよなぁ…。
刻々と赤さが増してくる夕刻の光景。
美しくて切なくて、旅の事を色々思い出しながらずっと窓の外を見続けていた。
昨日までFさんと一緒だったのが1人に戻って、最後の1日も過ぎていこうとしていて
その上にこんな切なくなる景色が目の前に広がり、否が応でも“感傷的”モードになっていく自分。
昨日のあの出来事も「ホンマに会えたんやなぁ…」とやっと実感が沸いてきていた。

そんな時、シャッフルで聴いていたiPodから、今の自分に合わせたかのようなもの悲しいメロディが流れてきた。
なんや、えらいまたぴったりな曲が…何やったっけこの曲。
そう思いながら何気なくiPodの画面を覗いてみてドキッとなった。
画面に表示されていた曲名は、フォーレの『夢のあとに』だったのだ。

初日の夜にウルムチの雑踏の中で地図を握りしめて「たずね人なんてムリや」と途方に暮れて始まった旅。
カシュガルに着いてすぐFさんと知り合え、カシュガルや村でたくさんの笑顔に出会え、
写真を渡したかった人たちとの再会もいくつか果たし、一番の目的であったアブ氏との再会も実現した。
夢のあとに――。そう、夢の時はもう終わりなんだ…。
悲しくも温かいフォーレのメロディに乗って出会った人々の顔が浮かんできて、とうとうここで涙腺決壊。
それはぼろぼろ流れ落ちるような涙ではなく、じわじわと染みだしてくるような涙だった。
他の人に見られないよう、窓の方を向いたまま涙を拭った。