遥かなる茜の空 リマ2     茜の空

しばらくしてカフェを出てもう一度展望台に立った。
あっけない夕陽だと思っていたら、沈んだ後に空がみるみるうちに茜色に染まっていき、
これまで感じたことがないような不思議な空気感でリマの海が覆われていった。
湿った空気中の水蒸気ひと粒ひと粒が柔らかなヴェールになって残照を包みこんでいるようだった。
しかしそれはポトシで見たあの壮絶な夕焼けとは違う。
アンデスの町々であれだけ近くに感じていた雲は今、あんなにも遠い…。
駆け抜けてきたあの数日間がもはや雲のむこうの夢物語のような気がして、
切ない気持ちではっきりしない水平線を眺め続けた。