新発田城(別名・菖蒲城、浮舟城、狐尾曳ノ城)
―― 雪国の湿地に築かれ、三匹の鯱のある城 ――
現在の新発田城の場所には、室町時代に鎌倉御家人佐々木加地氏の一族、新発田氏の居館があった。 新発田氏は戦国時代にも上杉謙信旗下の将として活躍したが、新発田重家が、天正9年(1581)織田信長に内応し、春日山城主で謙信の後継者、上杉景勝に背き、その後7年間の抗争の末、天正15年(1587)景勝に攻め滅ぼされ、落城した。江戸時代には、その跡を古丸と言っていた。 慶長3年(1598)豊臣秀吉の命により、上杉景勝が会津に転封、春日山城に入った堀秀治に属した溝口秀勝が、加賀大聖寺より六万石で入封し、古丸を取り込んで慶長7年(1602)から本格的な築城にとりかかり、三代宣直の承応3年(1654)に一応完成している。実に秀勝入封から56年後である。 堀氏改易の後も溝口氏は独立し、五万石で新発田城にあった。その後世襲して万延元年(1860)溝口直溥のとき十万石に増封され、廃藩まで、一貫して溝口氏の居城であった。
城の構え(縄張り)は、蒲原平野のやや北寄り、加治川の流れに沿う本丸の周囲を二の丸、古丸が巡り、南に三の丸を突き出し、その南端五十公野方向に大手門を開いた変形の輪郭・梯郭併用型の南北に長い瓢箪(ひょうたん)形の形状をした平城である。 北・東・西の城の背面は湿田や湿地帯で自然の要害を成し、南部一帯に城下町を形成して会津・羽前街道側への守りが固められている。 本丸の形から「舟形城」、周囲は自然の要害として水田開発をさせない湿地で、一帯にあやめがたくさん咲いていたというので「菖蒲城」、大雨になると城が水面に浮かんで見えるというので「浮舟城」といわれた。 家臣の軍学者長井清左衛門が縄張り(設計)を考えている時、一匹の狐が現れ、尾を引いてヒントを与えたという伝説から「狐尾曳ノ城」とも呼ばれている。
寛文8年(1668)三の丸からの出火により、本丸・二の丸・三の丸などを城内のほとんどが焼失し、翌9年の大地震で石垣も大半が崩れた。 そこで、まず石垣の積み直しから取り掛かり、江戸から渡瀬利兵衛等を呼び寄せ、当時の最高技術である「切込みはぎ」と、角は「算木積み」と言われる積み方に代えた。 それまでの「野面積み」と異なり、石の表面は平らに整形され、目地は隙間なく積まれている。 石は五十公野に産する「古寺石」といわれる粗流玄武岩で、現存する約350mの綺麗な石垣と土居は、全国でも稀なものと評価され、石垣を含む本丸の一部が平成14年市指定文化財(史跡)となった。 その後主要なものが再建され、本丸には天守の代わりに、屋根に三つの鯱を載せた独特の外容をもつ三重櫓が築かれた。
明治5年(1872)までは本丸・二の丸・三の丸合わせて、櫓が11棟、主な門が5棟あったが、本丸の表門と二の丸隅櫓(昭和32年、国重要文化財に指定)のみ残し(二の丸の北側に残っていた隅櫓は、昭和35年に本丸塁上鉄砲櫓跡に移築された)、新政府の命令で取り壊され、堀や土居も崩して埋め立てられた。 本丸・二の丸の大部分は、廃藩置県後陸軍省の管轄となり、敗戦まで歩兵第16連隊の兵営地として使用されていたが、昭和21年(1946)新潟青年師範学校が移転してきて、旧兵舎を校舎として使用、その後昭和24年に新潟大学新発田分校が開校。 当時は引揚者の寮や本丸中学校、各種民間事業所なども兵営跡に同居していた。 昭和28年(1953)4月からは陸上自衛隊駐屯地となり、現在に至っている。
平成10年(1998)、溝口秀勝侯入封400年記念事業として、城下町のシンボルである三階櫓を元の形に戻したいという機運が高まった。 市は、平成11年度から地域文化財・歴史的遺産活用事業の一環として、三匹の鯱を配する三階櫓と堀部安兵衛の運命を決めたといわれている辰巳櫓の復元に取り組み、古文書・絵図・古写真・発掘調査などの資料から、史実に基づく伝統木造工法を用いて、平成16年(2004)6月に完成した。 復興再建のなった三階櫓と本丸辰巳櫓を見学しました。残念ながら、国と自衛隊との契約で三階櫓の中は見学できませんが、それでも本丸表門二階櫓や辰巳櫓の中にある臨時のパネルで中を観ることができました。 新発田市内には、城以外に足軽長屋や庭園など観るものが多いので、次はゆっくりと時間をかけて見て歩きたいものです。 |
| 新発田城 平成16年9月4日時点 | |
| ◇交通 |
・JR新発田駅の北西約2キロ、徒歩約20分 ・JR新発田駅・バス停「駅前通」から、新潟行き、飯島行き、新発田(循環・佐々木先回り)、次第浜行きバスで、 「神明前」下車、徒歩約7分 ・JR新発田駅・バス停「駅前通」から、藤塚浜行き、中条行き、新発田(循環・稲荷岡先回り)バスで、 「県立病院前」下車、徒歩5分 |
| ◇公開日 | ・4月1日〜11月30日の毎日 |
| ◇開城時間 | ・午前9時〜午後5時 |
| ◇入城料 | ・無料 (ボランティアの叔父さんによるガイドあり) |
| ◇お問合せ |
・新発田市商工観光課 TEL:0254-22-3101 ・新発田市観光開発公社 TEL:0254-26-6789 ・新発田市観光案内所 TEL:0254-26-6321 |
| 参考文献 | ・現地で入手のパンフレット、及び、解説板 |