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湯檜曽川源流周遊
2021年10月29日(金)〜31日(日)
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 少しだけ仕事がエアポケットになりそうな週末。 好天の予報だし、どこか出かけたいな、という希望の中で思い出したのが、谷川岳馬蹄形コース。 二十年前に歩いた朝日ヶ原ののびやかな稜線での展望を想い出していました。 谷川岳周辺はこの夏にも歩いたし、前半?をショートカットして、気持ちよさそうだった茂倉岳避難小屋に泊まる計画から始まりました。 そうすると一日で土合駅迄歩くのはきついし、せっかくの稜線で泊まれないかな、と思い出したのが笠ヶ岳避難小屋です。 カマボコ型の小さな小屋ですが、笠ヶ岳山頂のすぐ脇にあって、谷川岳の素晴らしい展望が期待できるそうです。 そうと決まれば、早速準テント泊の装備と二泊三日分の食料を用意して、寝床に入りました。

第1日目:
 土樽駅(1005)→分岐(1040)→矢場ノ頭(1305-20)→茂倉岳避難小屋(1450)
 朝二番目の電車を土樽駅で降りたのが10時頃。 向かいの山腹は色付き始めていましたが、アスファルトは濡れていて、好天の予報だった空にはガスがかかっています。 悩んでいても仕方ないので、足早に登山口へ。 始めのうちは濡れていた登山道も、少しずつぬかるみが減ってゆきます。 雨になることもなく、矢場ノ頭に着くころには、薄陽も射していました。 少しばかりの期待感を抱きながらさらに歩き進めたのですが、やがて雪が現れ、樹々の枝に氷も見つかります。 あきらめて黙々と歩いていたら、いきなりに茂倉岳避難小屋が現れました。 近くに水場もあるのですが、残雪の中を向かう気もなくし、小屋に潜りこみます。 先客は二人だけ。明日の青空を期待して眠りにつきました。
茂倉新道入口 紅葉 黄葉 木の根っこが多い
ほんの一瞬光が射す 一瞬土樽が見えた 樹氷? やっと茂倉岳避難小屋に到着
第2日目:
 茂倉岳避難小屋(0535)→茂倉岳(0550-0615)→笹平(0705)→武能岳(0745-50)→蓬峠(0835-0945) →分岐(0957)→七ツ小屋山(1040)→清水峠(1125-35)→ジャンクションピーク(1345) →朝日岳(1410-15)→笠ヶ岳避難小屋(1525)
 未明「星が出てる!」の声に飛び起きてみれば、土樽の街灯りが見えています。 急いでパッキングを済まして、茂倉岳山頂へ向かいました。 雪の茂倉岳の山頂は、360度の大展望です。 谷川連峰や朝日岳、笠ヶ岳をはじめ、遠く苗場山、巻機山、燧岳・至仏山、さらに赤城山までクッキリです。 やがて南東の空が紅くなり、一ノ倉岳の頭からの御迎光を迎えました。 これから歩く武能岳への山肌が紅くなっています・・・!!。
枝にもびっしりと雪が! 雪の茂倉岳山頂 黎明、正面は今日着く予定の朝日岳(左)と笠ヶ岳、背景は燧岳・至仏山 一ノ倉岳のシルエット、遠景は皇海山・袈裟丸山
万太郎山(左)と仙ノ倉に陽が射す 一ノ倉山頂から御迎光 谷川連峰・万太郎山、仙ノ倉
 青空の中の山頂を後に、北面の雪の登山道を武能岳へと向かいました。 雪の残る登山道、特に笹葉の上は要注意、何度滑って尻餅をついたことか!。 それでも段々と標高が下がるにしたがって、雪も薄くなり、快適な歩きに変わってゆきます。 やがて到着した蓬峠。近くの水場まで往復して、今夜の分まで水を確保して、朝食としました。
これから向かう武能岳 山頂の北側は樹氷? 茂倉岳を振り返り見る 山腹に山の影、遠景は苗場山
薄氷が張っていた 蓬峠へと続く稜線、遠景は巻機山 武能岳を通過 足下に土樽駅、遠景は苗場山
蓬峠に到着 山肌に黄葉が映える 枯葉に氷の縁取り
 たっぷりの陽射しの中、笹原に付けられた路を登って七ツ小屋山へ、 なだらかだった路は冬路ノ頭からは急坂に変わり、足下の清水峠へまっしぐら。 ここで休憩として、朝日岳への登り路に備えます。
七ツ小屋山に向かって 谷川岳・一ノ倉岳を返り見る、七ツ小屋山から
 清水峠から朝日岳へは、標高差500m、約二時間の登りです。ここは意を決して歩き始めました。 いくらか登ってなだらかになった路が、少しで本格的な尾根路に変わります。 標高が上がるにしたがって雪も増え、さらに路が尾根の北側を巻くようになると、 嫌でも雪を踏むようになり、靴の中が湿ってくるのが判ります。 稜線を見ながらの歩きなので、もう少し、もう少し、と心の中で念じながら足を進め、 ようやくでジャンクションピークに到着です。なだらかな稜線は一段と雪が深くなってきました。 朝日ヶ原にある宝川温泉分岐の指導標は雪の中。 岩の多い(雪のない)朝日岳で休憩をとった後、足下に小さく見える笠ヶ岳に向かいます。 1934mピ−クの登りに喘ぎ、笠ヶ岳手前のほんの20-30mの登りに息継ぎながらも、ヒョコっと避難小屋に到着しました。 今夜はこの避難小屋を独り占めです。
足下に清水峠の小屋が見えた ツルリンドウ ジャンクション・ピークに到着 稜線を朝日岳へ向かう
足元に朝日ヶ原、遠景は武尊山 朝日ヶ原からJPを振り返る 朝日岳山頂にて 朝日ヶ原の展望、朝日岳から
 まだ外が明るいうちに夕食を摂って、夕照の山頂に向かいました、ホンの3分位で到着なんですけどネ!。 谷川連峰の後ろに陽が沈みこみ、薄紅く残照になるのを独り眺めていました。
谷川連峰夕景 谷川連峰夕景 足下の白毛門、左奥に赤城山 陽暮れも終わり・・・
一夜の宿、笠ヶ岳避難小屋
第3日目:
 笠ヶ岳(0615)→白毛門(0700)→松ノ木沢ノ頭(0740-50)→土合橋(0920)→土合駅(0930)
 未明の五時に目を覚まし、外を見ると、雲が多いながらも御迎光を期待できそうです。 急いで装備を詰め込んで、再び笠ヶ岳の山頂へ。 東に武尊山の肩から陽が上がるのを、振り返って谷川連峰に薄茜く陽が射すのを、眺めていました。 う〜ん、この展望いいな〜〜、だから病みつきになるんだょなぁ〜〜。
黎明の空 黎明の谷川連峰 朝日岳(左)、烏帽子岳? 雲がほんのり紅色
御迎光 北、巻機山 朝日岳(左)、烏帽子岳? 谷川岳に陽が射す
 さて、笠ヶ岳1852mから土合駅663mまで標高差約1200m、そこを約三時間の急降下の路が始まります。 岩の多い路を降り、わずか60-70mの登りに耐えながらも、白毛門に到着。 更に下って、松ノ木沢ノ頭で谷川岳も見納めになり、後は木の根に助けられるような路を一心にたどります。 沢音が近くになると傾斜も緩み、やがて東黒沢を渡る橋を渡ると登山口へ。 土合駅は一投足です。
朝陽があふれた 笠ヶ岳を振り返る 谷川連峰、白毛門にて 白毛門からの岩の下り
谷川連峰の眺め 白毛門を振り返る 松ノ木沢ノ頭の鎖場を降る 紅葉と黄葉
土合が見えた 紅葉 黄葉のトンネル 東黒沢を渡る
 土合駅では10:20発の臨時便に乗車できました。 高崎駅での連絡もよく、乗り換えをほとんど待つことなくて、八王子に到着しました。 未だ昼前後でもあり、電車も空いていて、ゆっくりと文庫本を拡げながらの電車旅でしたが、 窓には水滴の跡を見つけました。
 
 二十年前の歩きは二日目途中までガスの中でしたが、朝日岳への途中で急にガスが晴れて、 朝日ヶ原などから存分に谷川連峰を眺めていました。 その記憶があって、再度展望の路を、とばかり計画したのが今回のコースです。 特に、茂倉岳避難小屋、笠ヶ岳避難小屋、山頂直下にある二つの避難小屋を利用できたことが大いによかったと思います。 おかげで、朝夕の山岳の大展望が得られましたから・・・。 二日目は一日晴天であり、風もほとんどなく、久しぶりにスッキリとした歩きを楽しむことができました。 山は天候次第、とつくづく実感します。
 最低気温は、茂倉岳避難小屋で1.2℃、笠ヶ岳避難小屋で0.8℃と予想よりも暖かだったように思います。 特に単独で泊った、隙間だらけの笠ヶ岳避難小屋は心配したのですが、風がなくて寒い思いもしなかったし、また水が氷ることもなく、大いに助かりました。 シュラフも十分、ウェアも十分、でした。
 避難小屋泊の場合、あふれる可能性を考えてビバークツェルトを用意したのですが、それを追加しても今回30Lのザックに収まりました。 その最大の立役者は90cmで170gのエアーマットかな。 この夏に入手し、ようやく試用することができました。軽薄短小は快適な歩きにつながります。
 ただ今回の最大の忘れ物はアイゼン!。 直前に肩の小屋のブログを見て、残雪がありそうなことは確認したのに、何故かアイゼンを用意しないままでした。 茂倉岳の下りでは滑って何度も尻餅をついたし、朝日岳への登りで北面に巻いた路では本当にコワゴワ通過しており、後悔しきりです。 本当に結果オーライでしかないのですが、こんなことは二度とないようにしないと、ネ。

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制作:加藤 輝男 2021年11月3日
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