CAROL SHELTON 'Monga Zin' Cucamonga Valley Zinfandel Old Vines 2000


風薫る季節となりました。
爽やかに広がる青空、時には時間を忘れてぼうっと眺めたくなりませんか?
今回はそんな気分にぴったりなワインをご紹介します。


 

Carol Sheltonは、SonomaにあるWindser Wineryで20年近く勤めていたワインメーカー。その彼女が2年前に自身のワイナリーを設立し、3種類のZinのバレル・サンプルを昨年のZAPに出品したところ、これが大好評だったとか。
そのうちのひとつであるこの'Monga Zin'は、ロサンゼルスのすぐ東、内陸部のCucamonga ValleyにあるJose Lopez Vineyard のブドウを使ったもの。

南カリフォルニアで最も早くワイン産業が始まったこの地区は、樹齢100年近い古木が多く、この畑のブドウも樹齢80年を越えている。雨がほとんど降らず、岩と砂に覆われた砂漠のような環境で育ったブドウの木は、高さが50センチほど。
その果実も握りこぶしくらいの小さな房がごくわずかな数だけ実る程度らしい。

 

2000年の収穫は8月の半ば。収穫した果実は、GlassyWinged Sharpshooterの卵が付いている危険性があったために、すぐにSonomaのワイナリーには運ばず、同じ南カリフォルニアのTemeculaにある友人のワイナリーで発酵させた後、Sonomaまで運んで樽熟成させたとのこと。害虫の影響はやはり大きいのですね。

ラベルに惹かれて2本買ってみたうちの1本をさっそく飲んでみました。

コルクを抜いた瞬間にパッと広がるピーチの香り。瓶の回りが一気に華やかな香りに包まれます。色は思ったほど濃くなく、鮮やかな赤といった感じ。口に含むとふくよかで優しく、15.6%というアルコール度をあまり感じさせない。ベリー系のジャム、紅茶で甘く煮詰めた桃、ほのかなミントの香りが渾然一体。
うちの奥さん曰く、「(ミントの葉がのった)ピーチメルバを食べているよう。」
時間とともにやや苦味が出てきてオレンジの皮が入ったマーマレード、そして終盤はどら焼きのあんこの匂い、それも梅の香りがちょっと混じったような。アフターにはミルクチョコレートのような味わいも。


糖度は高そうですが、酸がしっかりしているので甘ったるい感じがしないのかも。
厳しい環境で育ったブドウからこんなに美味しいワインが生まれるとは・・・。
全体的に感じる優しさは、やはり女性が手がけたジンファンデルならでは。
まさにラベルのイラストがそれを物語っていますね。


 


 


2002/4/28