TechEd 2007 レポート

8/21〜24 にパシフィコ横浜で行われた TechEd 2007 Yokohama のレポート。

 Visual Studio 2008 と .NET Framework 3.5

○来年2月頃リリース予定の次期Visual Studio 2008 は現在、日本語版β2がダウンロード可能です。

○.NET Framework 3.5 の 0.5 は?
 Windows Vista には当初から .NET Framework 3.0 がインストールされていますが
  .NET Framework 3.0 には、WPF・WCF・WF の機能が含まれるクラスで Visual Studio 2005 でも開発は可能です。
  が後で追加された機能なので完全対応というわけではありません。
  VS2008 では.NET Framework 3.0 に完全に対応し、さらに .NET Framework 2.0〜3.0 に追加された
  クラス(これが0.5に相当)の開発にも対応されます。

○主な新機能













1.WPF・Silverlight開発環境強化
    Visual Studio 2005 でもデザイン編集可能なアドイン(コードネーム"Cider")があるが、
    Visual Studio 2008 では完全対応したデザイナがサポートされる。
    コード入力にはインテリセンスも当然可能になる。

    当初はSilverlight開発プロジェクトテンプレートは存在せず、後発でリリースされる
    「Silverlight Tools for Visual Studio 2008」で対応される。

    あくまでロジック開発中心だったりデザインの微調整等にはVisual Studio を使用した方が良いが
    WPFにおける(タイムライン)アニメーションを中心としたデザイン開発はあくまで Expression Blend を
    使用する必要あり。

    ツールボックスにWPFコントロールが表示され、WindowsフォームやOfficeアプリケーションとの
   相互連携が容易になる。

 2.ASP.NETによるWebアプリケーション構築
    Visual Studio 2005 での "ASP.NET AJAX 1.0" が標準でインストールされ標準でAJAX対応の
    Webアプリケーションを構築することが可能になる。
    統合されているのはASP.NET AJAX Extensions のみで、ASP.NET AJAX Control Toolkit は
    あくまでオプションインストールで利用することになる。

    ブレークポイントによるJavaScriptのデバッグ、インテリセンスへ強力に対応。

    新しいサーバーコントロール
 3.Officeアプリケーション(VSTO)開発
    2007 Office System に完全対応した開発が可能。
    ClickOnce配置技術により、これまでOfficeアプリケーションではセキュリティによる制限を緩和。
   
    VSTO対応Office 2007製品
      Excel・Word・Outlook・PowerPoint・Project・InfoPath・SharePoint・Visio


 4.サーバーサイドシステム強化
      WCF(Windows Communication Foundation)やWF(Windows Workflow Foundation)の機能も強化され
    .NET Framework 3.5 に相当する新機能が追加されている。

    特にWCFではWSDL/SOAP ベースだけでなく、昨今数多く一般公開されているWeb API に利用されることが多くなった
    POX(Plain Old XML)、REST、JSON、RSS/Atom に対応したサービスの開発が可能になる。
 


 気になる .NET Framework 3.5 新クラス



○ローカルデータキャッシング
  Windowsフォームアプリケーションで常にサーバ側にあるデータを参照・更新するのではなく、
  オフライン時にはローカルデータ(SQL Server Compact Edition)に対してキャッシングしておき
  オンラインになったらサーバにあるデータと自動的に同期をとるオフライン機能の提供。





○WindowsアプリとWebアプリで共通サービス
  .NET Framework 2.0 で追加されたASP.NET ベースのサービスで
  認証やロール、プロファイルがあり、これらはWebベースでのユーザ情報として利用できていたが
  このサービスをWindowsアプリケーションからでもWebサービスを利用して共通の情報にアクセス
  することが可能。




○LINQ(言語統合クエリ)
  さまざまなデータソースへのアクセスに統一的なプログラミングモデルを提供するクラス。

  XMLデータからある条件に合うデータを抽出する場合はXPathを利用し、
  Listオブジェクトなどから抽出する場合はfor文で繰り返しながら該当データを取り出すなど
  データソースが異なるごとに抽出方法を組み直さなければならない。
  LINQを使用するとデータソースの方にとらわれず統一されたクエリロジックでアクセスすることができるようになる。