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[374]夜、(2006/06/02)
東京国際フォーラムでエルヴィス・コステロ。
個人的には「祭り」最終日という位置付けながら、1部はオーケストラ演奏、しかもコステロ不在(冒頭、主旨説明のために出てはくるが)というのは、このライブの主旨を理解していなければ(そんな人は居ないだろうが)拷問に近いシチュエーションではある。クラシックについては素人もいいところなので、東京シティフィルがどの程度のものかはパンフレットの解説で理解するほか無い。これは正直寝るかも知れないと懸念していたのだが、意外にも面白く聴くことができた。予備知識が全くない(CD聴いて来いよ!)が故のビギナーズ・ラックか(笑)。

一時間弱のオーケストラ演奏の後コステロがアコギを持って出てきて、トゥーサンとの新作からタイトル曲を弾き語り(当然だがこの日トゥーサンの飛び入りは無かった)、数曲をオーケストラと合わせる。出音そのままでアンプを通さない(本来そういうもの?)オーケストラと、アンプを通しているコステロの音の組み合わせに慣れるのに少し時間を要したが、スティーヴ・ナイーブとのデュオ等で断片的に見聞きできていたこの人のロック以外の側面が、目の前で肉付けされ色を帯びていく様は圧巻のひとこと。

20分程の休憩の後、スティーヴ・ナイーブも合流しての第二部。
バカラックとの共作曲や近年のジャズ寄りの作品など、これが正解という訳でもないだろうが、まるでこういう風にしたかったんだと言わんばかりに次々と展開される。日本公演が初公開だという"Green Shirt"はタイプライターのパーカッシブな味付けが面白かった。でもまあ、一番グッときたのは、観客の声援もひときわ大きかった"She"だろうか。ベタと言われようが、いや、オーケストラとの共演だからこそベタなほど引き立つということか。そういう意味では本編最後に披露された"God Give Me Strength"も感動的だった。

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