前半、ミニアンプとアコギのピックアップの位置が微妙に近く、時折ハウリングを起こすのを気にしている(マイク位置を変えたりアンプをズラしたり)のが気になった(2部で改善)ものの、演奏自体は安定した素晴らしいものだった。敬愛するミシシッピ・ジョン・ハート(Mississippi John Hurt)や、彼女をして「この人からはずっと音楽を学ぶことになる」と言わしめるロン・セクスミス(Ron Sexsmith)のカバーも良かった(ポール・マッカートニー"Junk"、トム・ウエイツ「土曜の夜」という渋い選曲も)が、"Night Owls"などオリジナル曲もそれにまったく引けを取らない。ようやく新作レコーディングの目処が立ったそうで、それまでライブは暫く観られなくなるが、とても楽しみだ。
対バンのSmall Circle of Friendsは名前くらいしか知らなくて、しかもその名前を耳にした当時の音楽状況等から、洒落たクラブ系(それこそ渋谷系?)という印象を勝手に持っていた(多分COSA NOSTRA辺りとゴッチャになってる)のだけど、もう少しナチュラルでオーガニックというか、それは今の気分も大いに含んでいるのだろうけど、さほど厭味もなく聞けた(ポエット調のラップの内容は気恥ずかしいが)のが自分でも意外だった。それでも「隣人」異色度としては過去最高。まさか青山さんの曲にラップが乗る日が来ようとは(笑)。
今回は「70年代シンガー・ソングライター編」ということで、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、カーティス・メイフィールド辺りの今や超定番どころ(とその関連作品)から、ボビー・ウーマック、ティミー・トーマス等バラカン氏のファンにはお馴染みのアーティストまで広くフォローしたもの(ウィリアム・デヴォーン"Be Thankful for What You Got"等渋谷系を知る貴兄には懐かしい曲も)で、3回出席したイベントの中では一番自分好みの内容。こういう流れにヴァン・モリソン("Tupelo Honey")やプリンス("How Come U Don't Call Me Anymore")を入れてしまう逸脱、のようで実は凄く関連している選曲に、思わずNHK-FM「ロンドン発・ピーター・バラカン」を思い出してしまった。
六本木Billboard Liveでジム・コウプリー&チャー。 ベースがポール・ジャクソンなのである時期のサイケデリックスの編成に近いが、今回はジムの初リーダー作のリリース記念ということで、チャーの曲を演るというよりセッションの毛色が強い。 Dr: Jim Copley G: Char Bass: Paul Jackson G: Micky Moody Key: 小島良喜
"Smorky"も"Shinin'You,Shinin'Day"も飛び出さない選曲に、お約束な展開を求める向きには消化不良気味かも知れないが、その分カバー曲が増量され(ポール・ジャクソンの歌う"Everyday I have the Blues"や、お馴染みCreamネタでは"Strange Brew"なんて曲も:後で確認したら、これらはJimのリーダー作に収録されていた)寧ろ通好みな展開。それだけに中盤で「ジムと初めてレコーディングした曲」と紹介された"All Around Me"はいつも以上にグッとくる。