【トリッキー】1999.08.02 渋谷オン・エア・イースト トリッキー、待望の来日なのであります!! フジロックも見たかったけど流石に苗場でチケット代も1万円を超えると なあ…。でもフィッシュは見たかった(涙)何で単独公演がないのだ?? ってのはともかく、今回私が彼のステージに期待するのは唯一点のみ。 「どんな内容になるのか?」ってそんなの誰でも期待することじゃないか って言うかも知れないけど、特に前作『Angel With Dirty Faces』のまるで 「音楽」であることさえも否定しているような独特なまでの異様さ(それは 本作の「難解さ」にも通じる)や最新作である『JUXTAPOSE』が持つ明快さ ポップさ、これらの一見相反する要素がライブという場でどのように展開 されるのか、そういうことが気になるアーティストって、そうそう居ない ものですよ。勿論「生トリッキー」を拝みたいというミーハー根性(笑)も 人一倍あったりするのだけど。と、逸る気持ちをビールで流し込む俺。 ライブは『JUXTAPOSE』1曲目(名曲!)の「For Real」で幕を開けます。 もっと重い感じになるかと思いきや、意外に直球勝負。最近のHIPHOPな 流れを組んだアッパーな展開で進んでいきます。テレビでしか見たことが ないけど、この感じはボアダムズなんかで得られる高揚感に近いかも知れ ませんね。当のトリッキーは、ミュージシャンとかボーカリストというより 「司祭」という感じ、あったし(見た目まんまという話もあるが、フェラ・ クティがダブる瞬間も)。でもそれがライブという「まつりごと」の本来 あるべき姿ではあるでしょうね。 #「お祭りのような演出」を施すのではなく、その場の空気を自在に #操っているという意味で「まつりごと」の「司祭」である、と ボアダムズと比較しているけど、ボアはどっちかというと天空を突き抜け うねりながらどんどん上昇、大気に浸透するように拡散していく感がある のに対して、トリッキーは内に篭もるではないけれど、特定の空間を縦横 無尽に蠢いているような印象を受けました。「蠢く」と言っても、別に 小さい虫がちょこまかという感じではなくて、何かこう巨大な「うねり」 (即ちグルーヴ)の束がのたりのたりと征くような感じ。だからこれを 野外で見ると逆にエネルギーが拡散してしまって、面白くないのかなあ、 とも。これって究極の密室芸? ただ、そういう一見「ハレ」な空気の中にも瞬間ハッとする部分がある。 そこが彼(特有)の「毒」なんでしょうね。そういう空気の中だからこそ グッ!と掴まれてガン!と突き放される。それは時折ぶつけられる言葉の 礫であったり、時折フィーチャーされる女性ボーカルの刺すようなラップ (パブリック・エネミーのチャックDに似てる)だったり。凄く面白い なあ。でも、凄くヘヴィでもあるなあ。こういう感覚、結構新鮮かも。 でも、初っ端頻繁に「怒りがどうのこうの」というMC(殆どつぶやきに 近かったが)をしていた割に、「来てくれてありがとう」という 挨拶も しっかり忘れない(笑)という愛想良いひと幕も(笑)。なんだ、結構 きさくなニーチャンじゃん(苦笑)。 個人的には、生楽器の使い方、特にドラムが凄く気になりました。何だか ピーター・ガブリエルが民族音楽からサンプリングしてくるようなビート の刻み方。一緒に見ていた知人は「PILを彷彿とさせた」、と言っていた けれど、白人ではなくて黒人がこういうリズムを取るというのは(こう いう書き方は偏見かも知れないけど)かなり興味深かったなあ。 「ケイト・ブッシュが好きだ」というインタビューでの発言もあったよう に記憶しているけれど、何かその辺に彼を理解する鍵があるのかも。