【SLAPP HAPPY】2000.05.27 吉祥寺STAR PINE'S CAFE

 スラップ・ハッピー。彼等のライブが生きてる間に見られようとは思いも
 しなかった。いや、2年前に新作が出た時(こっちの方が突然だったので
 驚いたが)に「もしや…」ってのが無かった訳ではないけれど、ライブに
 さして執着心を持っているとも思えない人達(ピーター・ブレグヴァド氏
 を除いては、と個人的に思う)だったので、期待しつつもそんなことは
 すっかり忘却の彼方だったのだ。

 2回見るつもりでチケットを押さえていたのが、仕事の都合で一回目は
 敢え無く断念(さかな、見たかった…)し、土曜日のに行ったのだけど、
 とにかく凄い人、人、人。前売りは既に完売。でもどれだけ前売りが
 出ていても取り敢えず当日券は出す(店の人の話)ということで、気が
 付きゃ、そらもうエラいことになっていたという。でも、正直言って
 そんな鮨詰めで見るようなライブじゃないぞ(苦笑)。

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 ライブはストラーダの前座でスタート。このバンド、観るのは初めてだっ
 たけど、見事に引き込まれてしまった。「チンドン版キング・クリムゾン
 西部へ行く」ってな風情(どんなだ)の実に心地よいこと。あまり関心の
 無さそうな人達まで最後は巻込んで、喝采を浴びていたのが印象的だった。
 約30分の演奏で、完全に自分達の流れを作っていたのは、流石の一言。

 で、肝心のスラップ・ハッピー、ピーター氏(しかしデカい!)とダグマー
 嬢の朗読っぽい導入部からずっと釘付け状態で見ていた(立ち見の2列目
 中央くらいで見た)けど、あの良く言えばアットホーム、悪く言えば内輪の
 パーティーっぽい空気にはちょっと気持ちを削がれたというか。3人だけの
 シンプルな演奏は、楽曲そのもののチャーミングさを絶妙に伝えていたし、
 そんな中でも三者三様の「どこか妙」なパフォーマンス(突如シェイカーを
 振り乱すダグマー嬢や、アンソ二ー氏のヒゲ剃り効果音など)や後ろに
 流れていた奇妙なスライドなどからは、彼等の立ち位置のようなものがよく
 表れていたように思うけど、それでも「しかし」と思ってしまうのは、何だ
 かんだ言って自分も彼等に過度な期待をしてしまっているからだろうか?

 でもリズムものがやっぱりもう少し欲しかった。ファウストを呼べとは言わ
 ないまでも(笑)バンド編成で観てみたかった。中盤に1曲だけ打ち込み
 (最早カラオケ状態ではあったが)で演った曲があって、そこは他の曲と
 引き込まれ具合が全然違っただけに、余計そんなことを思ってしまった。
 反面"A LITTLE SOMETHING"の中盤のギターソロをアンソニー氏がほぼ忠実
 に弾いていたのに思わず狂喜していたりもするのだけど(苦笑)。