「ジャンプ」を熱く語った秋


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 相鉄線にしばらく揺られたあと、横浜駅で電車を乗り換えた。考えてみれば、京浜急行線に乗るのは生まれて初めてだ。日頃いかに出歩かないかよくわかる。日曜の午後ということもあってか、車内は空いていた。近くの席に腰かけて、ぼくは『ジャンプ』を開いた。自分で言い出したくせに、今日はどんな話が出るのか楽しみでもあり不安でもある。
 いくつめかの駅でホームへ降りた。各駅停車に乗っていくと時間に余裕がなくなりそうだったので、小田急線で言うところの準急に乗り換えようかと思ったのだ。けれど、路線案内図を見るとぼくの試みは無駄だったようだ。しかたなく次の電車を待った。
 間もなく電車がやって来た。次第に減速しながら目の前を通りすぎてゆく。急行が減速しているのだろうか。見送っていると、電車は十数メートル先で停まった。追いかけていって乗るには停車位置が遠すぎる。次を待つことにして視線を戻したぼくの前に、ゆっくりと電車が戻ってきた。電車がバックするの? 驚きながら乗り込むと、しきりに不手際をわびる車内放送が聞こえてきた。そうか、こんなこともあるんだなあ。人のすることに「絶対」はないものだよね。しかし、いいネタだ。そんなことを考えているうちに電車はゆっくりと動き出した。
 正面に坐った小さな男の子と女の子がちょろちょろといたずらをしている。それを何とはなしに眺めていると、少し先の駅で黒人の男がひとり乗ってきた。ぼくの隣の座席が彼の重みでゆっくりと沈むのを感じた。ふいにバームクーヘンの香りが漂ってきた。ちらっと見た感じでは、どう考えても菓子職人とは思えない。まじまじと見つめたい誘惑と戦いつつ英語で菓子職人は何というのか悩んでいるうちに、彼は電車を降りていった。
 やがて京急蒲田に着いた。ホームへ降りるときに目をやると、昼は晴れわたっていた空がうす明るい曇り空にかわっていた。

 駅を出て、正面にケンタッキー・フライドチキンを見ながら左へ進んだ。歩道橋を渡りながら、真下の道路が第一京浜であることを確かめた。渡りきったところで足を止め、目の前のパチンコ屋の名前を確認。『ジャンプ』の舞台を歩いていることを実感しながら、右に曲がった。ファミリーマートの前を過ぎ、サンクスに入る。店内を隅なく探したけれど、林檎は置いていないようだ。まだ季節が早いのだろうか。
  店を出て、小さな古本屋の手前で左に曲がる。すぐに呑川に出た。しばらくそのあたりを歩き回った。おそらくあれが南雲みはるのマンションなのだろうと思われる建物を見つけたけれど、遠くから見るだけにとどめておいた。川に架かる橋の上から駅の方に目をやり、赤い看板の所在を確かめようともしたけれど、まだ明るいこともあって、こちらは残念ながら果たせなかった。
 PHSの時刻表示に目をやると、あと三十分ほどで集合時間のようだ。もう一度南雲みはるのマンションの脇を通り抜けながら駅へ向かおうか。そう思って歩き出した。マンションを左に見ながら通りすぎ、ささやかな坂道を下ってゆくと背後からぼくの名を呼ぶ声が聞こえた。まさか、と思いつつ振り返ると、そこにいたのはまいさんときみーさんだった。ふたりもぼくと同じ考えでこの町を歩き回っていたそうだ。
 いろいろ話すうちに駅の改札口がふたつあることを思い出したので、ふたりと別れて立つことにした。ひとり駅へ向かって歩いていると、PHSが鳴り出した。出てみると、くるくるさんだった。風邪をひいてしまったとのこと。今回初参加は彼女だけの予定だったのでとても残念だけど、病気ではしかたがない。いま思うと「お大事に」のひとことを言えたかどうかが気がかりだ。
 そのあと、Green-Teaさん、kanamiさん、ミステリーマンさん、じゅんのさん、でんさんが合流して蒲田オフは始まった。



印象的なひとこと。
「南雲みはるの免許証は更新できたのかな?」
「郵便が日曜には届かないことに初めて気がつきました」
「あの主人公は優柔不断じゃない?」
「いなくなりたい気持ちはわかる。実行するかしないかは紙一重だよね」
「なんで純之輔にだけ連絡しないの?」
「あの帯のコピーはちょっと違うと思うんですよね」
「わたし、××(自主規制)さんとデートして芝居見たんですよ」
「あのお父さん、タイプ」
「たいていの男は女から誘われたら転ぶでしょ」
「あの子がお酒飲めない時点でブ、ブー」
「純之輔って見かけでもてるタイプ?」
「あれはいままででいちばんヒールな主人公ですよ。結婚までしちゃったんだから」
「男はすぐ『男がいるだろ』って言うの」
「ラストはもっとぼかしてもよかった」
「shogo派には響きで入りました」

ぜひその場で聴いてほしい会話の数々。
「だれか針と糸持ってる?」
「持ってない」
「ありません」
「え?」
「おまえら女性として最底辺だな」
「会社にならある」
「それじゃ意味ないって」
「シャツのボタンも危ないよ」
「え? うそ?」
「うっそー」
「あ、くっそー」

「○○さん、どうしたんだろ」
「連絡なしに遅れる人じゃないんですけどね」
「みはるみたいに消えちゃったんじゃないよね?」
「まさか」
「さすが『ジャンプ』オフだ」

「デュエンデを正午さんはどうやって知ったのかな」
「それは夜の街でしょ」
「Gainerの編集部から聞いたのかも」
「だれかにねだられたというのもあるかも」

「それ、何?」
「もみじおろし」
「もみじおろしって何?」
「もみじおろしは大根おろしに唐辛子と……」
「知らないの?」
「ああ知らないさ」

「餃子にお酢は入れますか?」
「入れないでしょ」
「入れるよ」
「ばかじゃない」
「ばか言いますか」
「だから体固いんですよ」
「……たしかにかなり固い」
「私は柔らかいですー」

「23日、誕生日です」
「おめでとうございます」
「きっといろんなプレゼントが届くんだろうな」
「え?」
「わが家の家訓は『誠意は金で示せ』です」
「同情するなら金をくれ」

「前に○○さんの携帯にかけたけどつながらなくて」
「そんなこと、あった?」
「それで家に電話したんですよ」
「うん」
「で、『○○さん、いますか』って訊いたら、『いません』って言われました」
「○○さん……って言ったの?」
「うん」
「そりゃいないよ」
「ハンドルネームだもん」
「あ、そうか」
「はっはっは」

「みはるの行動を支持できる?」
「できません」
「え、できないの? 私はできる」
「ほんと?」
(このあと、かなり長く熱い議論が続きました)
「○○さんの考え方は男の立場からの意見ですよね。だからほかの女性陣と意見が合わないんですよ。なんでそんな簡単なことでいままで議論してたのかわかんない」

 二次会は既に恒例となっているカラオケに。いつもどおり曲目と歌った人(仮名)だけ書いてますが、今回はちょこっとだけ。なぜか置いてあったボジョレ・ヌーボーを「ボジョレますか」と頼んだ張本人がひとくち飲むなり「しぶっ!」と顔をしかめる一幕もありました。

「はじめてのチュウ」A
「らいおんハート」B
「Hey!」C
「Everything 〜 It's you」D
「友達の歌」E
「浅い眠り」F
「chain」G
「だいすき」D
「Transfer」A
「No Apology」D
「Cloudy Heart」D

 こうして終わったように見えた『ジャンプ』オフだったけれど、実はまだ終わってはいなかった。とっくに終電が出てしまっている四人を送るために、ふたりが車を出すことに。一台は北へ。もう一台は南へ。あの日、自分の部屋に帰り着いたとき、ぼくの頭に浮かんだ言葉がある。自分で自分の人生を選び取ったという実感はありますか?
 
 最後にひとこと。文責はすべてGTAにあります。ご意見、訂正、お叱りのメールは ara@y7.net までお願いします。


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