私の読書室


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 本を読むことは人と出会うこと、と思いませんか?
 気の合う人もいればそうでない人もいて……実にいろいろな人がいるものですよね。

 ここでは私の好きな人たちをご紹介したいと思います。



 

98/11/02

「天使の牙」 大沢在昌 (光文社)

 ずいぶん前に買ったまま本棚に眠っていたこの本を、今日は引っぱり出したくなりました。というのは、近頃発売される文庫を見ていると、中には私が単行本で買ったきり読んでいないものがあるんですよ。これはすごく情けないことですよね。読もうと思って買ったはずなのに、そのまま数年経っているということですから。
 というわけで、前から気になっていたこの本を今日は読んでしまいました。

 かなりハードな内容でしたが、読み進むのが全然苦にならないまま4時間ほどで上下巻を読み終えました。新しいドラッグを売りさばいている組織のボスがいて、その愛人が警察に保護を求めてくるところから話は始まります。内密に保護しなければならないので、ひとりの婦警がその任に就くのですが……。というところからジェットコースターに乗せられているかのように話が動き始め、驚く展開を見せ、最後はほっとする結末で終わる。こういう小説を読むと、もっともっと本が読みたくなるものです。

 大沢さんの描く物語には、悪役といっても無視できないような存在感を持った人がよく出てくる気がしますね。今回もなかなかでした(何か偉そうだ)。
 愛する人を失うということ、その哀しみが何とおりか描かれているこのお話を今日読んでよかった、と思います。




98/10/10

「幻色江戸ごよみ」 宮部みゆき (新潮文庫)

 江戸を舞台に、宮部さんが描く12の物語。その中で描かれているのは無名の人たちです。幽霊や神様(と言っていいかな)も出てはきますが、主役ではありません。おそらく実際にいたんじゃないかと思われるくらい、地に足が着いた生き方をしている人たちがたくさん描かれているんです。
 
 いま街を歩けば、この人たちは「分相応」とか「身の程」などという言葉は知らないんだろうと思わずにいられない、そんな人たちが行き場所を求めてさまよっているようにも見えます。江戸の昔に比べればむちゃくちゃなまでに「自由」が認められた現代に生きる私たちは、はたして幸せなのかな。

 ちゃんと生きていかなきゃ、そう思わずにいられない1冊です。

 




98/09/27

 

「秘密」 東野圭吾 (文藝春秋)

 突然の事故で妻と娘を失った男に奇跡が舞い降りる。どこかでこんな紹介文を目にした気がしますが、たしかにこれ以上のことは書けません。これ以上書いちゃうと、読んだときの楽しみが減りますからね。
 しかし、泣かせるお話でした。私は3回くらい泣きましたね。それも「たぶん他の人はこんなところで泣かないよなあ」と思いながら涙がにじむんだから困ったものです。最後まで気が抜けないし、この本は文庫化を待たずに買うだけの価値があると思います(と言いながら、私は古本屋さんで見つけたんですけどね)。
 読みながら「家族」というものについて、「絆」という言葉について考えてしまいました。






98/09/07

 

「慎治」 今野敏 (双葉社)

 いじめに悩み死を選ぼうとしていた少年、慎治。そんな彼を救ったのは担任の古池だった。こんな風に書き出すと、いかにもありがちな教育ドラマのように思えますが、このお話は全然ありふれてはいません。何てったって、慎治を救ったのは「ガンダム」「モデリング」「サバイバル・ゲーム」なんですからね。
 しかし、この物語は現代ならではのおとぎ話のようにも思えます。出てくる子どもも救いのなさそうなのはひとりだけ、それもちょっと情けなく思えるあたりはまだかわいいものですよ。現実にはほんとにどうしようもないところまで行ってしまった子どもがいるんじゃないかな。
 まあ、しかし「自分の世界」を確立することがたいせつだという今野さんの意見には賛成ですね。いじめられている子どもたちには届かないかもしれないけど、いじめられているということ、それだけが世界のすべてじゃないということを知ってもらいたいと思うんですよ。ここにこんなことを書いてもしかたないけれど。



 「途方もない放課後」 鷺沢萠 (大和書房)

 鷺沢さんの最新エッセイ集です。夏の間、友だちと古本屋をはしごしたときに見つけて購入しました。中身はいろいろあるんですが、私は鷺沢さんが怒っているのを読むのが好きなんですよ。あ、こんなことを言っていいんでしょうか。あるイタリアンレストランで、鷺沢さんたちの隣にいたカップルに失礼な態度をとった店員に対して「全部だよーッ、それがアタリマエなんだよーッ、さっさと説明しろよーッ」と叫び出したい気持ちを堪えるのにたいへんな苦労をしたというのを読んだときは「さすが鷺沢さんだ」と深くうなずいてしまいました。

 眼鏡をかけたときのことを書いたエッセイが収録されているんですが、その中にこんな文章があります(そのまま引用してはいません)。「それまで緑色のかたまりにすぎなかった木が、実は一枚一枚の葉と枝、幹から成っていたことをあらためて思い起こしました」
 これを読んだときはすごく嬉しかった。なぜなら、まったくおんなじことを私も数年前に感じたことがあるからです。こんな偶然もあるんですね。






98/09/06

 

「掌の中の小鳥」 加納朋子 (東京創元社)

 加納さんの本を読むのはこれが2冊目。図書館でふと目についたので「これも借りていくか」くらいの気持ちで借りてきたんですが、読み終わったいまは「大正解!」と思いますね。
 若干翳りを帯びた出だしが少し重く感じられるかもしれませんが、そのあとに続く連作短編はどれも魅力あるお話でした。あとがきで加納さんは「……紗英が男性から見て、実際に魅力的なキャラクターかどうかは少々疑問ですし……」と書いていますが、私にはとても魅力のある人に感じられましたね。冬城圭介にも親近感を感じたし。

 ミステリーでありながら恋愛小説であるこのお話、ぜひとも文庫化してもらいたいものです。



 「ガラスの麒麟」 加納朋子 (講談社)

 久しぶりに1日のうちに複数の本を読みました。今日はもう1冊くらい読めるかな?というわけで(どんなわけやら)、2冊目も加納さんの本です。
 形としては上に書いた「掌の中の小鳥」と同じく連作短編ですが、お話の方は少しスケールアップしています。通り魔殺人で幕を開けたこのお話が、最後には思いも寄らないところに着地するまでを楽しむのがいいんじゃないかと思います。出てくる人たちが薄っぺらに感じられないところもよかったなあ。

 すっかり加納さんのファンになってしまいました。しばらくは図書館で他の本を探してみようと思っています。本屋さんではほとんど見あたらないから、という理由は哀しいけど。



 「喜知次」 乙川優三郎 (講談社)

 3冊目は時代小説。私の大好きな藤沢周平さんの正統な後継者という声も聞こえる乙川さんの2冊目の単行本です。全体としては、日野小太郎の成長を描いた物語です。その中に友情、ほのかな恋心(と言えるほどのものかな)、体制への怒りなどが盛り込まれていました。
 題名の「喜知次」は魚の名前です。しかし、魚がたいせつというわけではなく、その魚を連想させる女の子が出てくるんですよ。ある日、その子が小太郎の家に引き取られてくるところから物語は始まっています。

 率直な感想としては、ちょっと拍子抜けしました。もう少し盛り上がるかと思っていたんですが、わりと淡々とした物語でした。


98/05/01〜98/09/02

97/10/01〜98/04/20

97/09/16〜97/09/30

97/09/01〜97/09/15 へ 

97/08/15〜97/08/31





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