◇◆ 妖精 オベロン ◆◇
 月光と夢を支配し妖精国の舞踏会や儀式などを取り仕切る妖精王で、妻のティターニアと共に豪奢な宮殿に住まう。一節にはジュリアス・シーザーと、謎の島に住まう貴婦人ケファロニアとの間に生まれた半妖精であるとされる。非常に短気で怒りっぽく身勝手な性格で、お気に入りの人間を取り合ってしばしばティターニアと夫婦喧嘩をすると言われる。
 誕生祝いの席に招かれなかった悪い妖精に3年しか成長しない呪いをかけられたため、身体の大きさは三歳児並しかない。しかしその妖精はすぐに後悔し、彼が世界で一番美しくなる祝福も与えた。また他の妖精達も様々な良い才能を贈ったため、オベロンは妖精王になることができたとされる。

 名前はドイツ伝承の小人「アルベロン」「アルベリッヒ」に由来する。初出は13世紀のフランスの武勲詩「ユオン・ド・ボルドー」で(15世紀に「ボルドーのユーオン」として英訳)、その後シェークスピアの「夏の夜の夢」やスペンサーの「妖精の女王」など多くの作品に妖精王として登場する。