◇◆ 鬼神 コトシロヌシ ◆◇
 記紀神話に登場するオオクニヌシ(大国主命)とカムヤタテヒメ(神屋楯比売命)の長子で、オオクニヌシを助けて出雲国を治世する。託宣神の称号でその神霊は皇室の護りとされる。稀にヒトコトヌシ(一言主/一事主)と同神とされることもある。
 国譲り神話において天孫降臨に先立ちアマテラス(天照大神)の使者として訪れたタケミカヅチ(建御雷之男/武甕雷男)に国譲りの是非を問われたオオクニヌシは、二人の息子コトシロヌシとタケミナカタ(建御名方)に意を伺う。美保関の岬で釣りをしていたコトシロヌシはこの国は天津神の御子が治めるのが相応しいとして国譲りに同意し、天逆手(あめのむかえで)を打ち乗っていた船を傾け青紫垣(あおふしがき)に変えてその中に身を隠す。オオクニヌシはその言葉通りに国土を奉献する。
 釣り好きであることから、釣竿を持ち大鯛を抱えた姿で七福神の一つ恵比寿神に擬せられている。

 古事記では「言代主」、日本書紀では「事代主」と記され、またヤエコトシロヌシ(八重事代主)とされることもある。