Electricbasement.com インタビュー



こちらは、Electricbasement.comというアメリカのメタルサイトに掲載されたJensのインタビューです。

***Special Thanks to Brian.***



By A. Lee Graham
posted 11/04/2003
 

YngwieからAllan Holdsworthまで、Jens Johanssonは何人かの高名なギタリスト達とプレイして来た。ひとりの鍵盤奏者としてかなり悪くない実績だ。

「うん、そうだね」とJens Johansson---最も難度の高いギターリフに、ギターと全く異なる楽器でユニゾン・プレイすることができるので有名な---は言う。音楽ファンならば簡単に魅せられてしまう1982年のSILVER MOUNTAINのアルバムから、このスウェーデン出身のミュージシャンはワールドワイドなレコーディングのキャリアを積み重ねている。

70枚以上のアルバムの後、Johanssonは同類のDon Airey、Vitalij Kuprij、Derek Sherinian、Erik NorlanderしそてMichael Pinnellaらとともにメタル・キーボード界の頂点に立つ。Yngwie Malmsteenのギター・ソロとぴったり同じタイミングでユニゾン・プレイを聞かせるRISING FORCEや同様のネオ・クラシカルアルバムにおいてもっとも良く知られているJohanssonだが、彼は単なる助っ人以上だ。いや、ライヴへの参加については断っているのだが---「(レコードで)ソロをちょこちょこっと弾く分にはそんなに手間はかからないからね」---あるフィンランド出身のバンドが1995からの彼の主な活動の場となっている。それが今日のシーンでもっとも大きなメロディックメタルバンドのひとつ、STRATOVARIUSだ。1989年に"Flight Night"をレコーディングしてからというもの、この5人組は正確なギター・リック、きらめくキーボードに感動的なボーカル・ハーモニーをダブルバスドラムに乗せた、他のバンドの基本となる音楽をやってきた。

"Elements Part2"がリリースされようとしているこの時期、バンドはリラックスしつつこれまでを省みている。バンドは9枚のスタジオ・アルバムをリリースしており、その多くがゴールドディスク(フィンランドのゴールドディスクは2万枚売れれば獲得できる)に認定されているのだから、彼らはその実績と伝説のなかに悠々と寛ぐ余裕があるのだ。

しかし、彼らはNuclear Blastとの3枚の契約に続いてSanctuary Recordsと3枚のアルバム契約を交わし、前進を続ける。この移籍は軌跡の終わりではなく、新たな軌跡の始まりであるようだ。

ここで世界規模のツアーをやる、なんてことはない。STRATOVARIUSにはちょっと期待できないことだ。アルバムと次のアルバムの間の長いインターバルは珍しくなくなっている。しかし、ベスト盤やその他のコンピレーションアルバムがお待ちかねの次のお祭り騒ぎまでの間のファンの欲求を満たしている。

Infiniteが2000年にリリースされた後、ファンは彼らの音楽に飢えていた。14 Diamondsというベスト盤と、Intermissionが、Elements Part1が今年早々にリリースされるまでの間ファンの上を満たしていた。そしてたった数ヶ月後に、前作よりも更に虚飾のないPart 2がリリースされた。

「そうしようと思ってやったわけじゃないんだ」、とJens Johanssonは言うる「成り行きだよ。それが我々の曲作りのプロセスなんだ。ていうよりTimoの、だね」

それは、1985年に加入したバンドのリーダーとなったTimo Tolkkiのことだろう。ドラマーのTuomo Lassilla、ベーシストのJohn VihervaとギタリストのStaffan Strahlmanがその1年前にBlack Waterとして結成したバンドは、Black SabathとOzzy Osbourneの崇拝者だった。しかしStrahlmanが脱退し、LassillaにTolkkiを誘わせることになった。ギターとボーカルのみならず、Tolkkiはバンドにネオクラシカルな要素を持ち込んだのだ。

4枚のスタジオアルバムJohanssonとドラマーのJorg MichaelがEpisodeで加入した。1996年にFourth Dimensionに続く、40人のクワイヤーとオーケストラが参加したアルバムだ。このアルバムには"Will The Sun Rise?""Father Time"など後にSTRATOVARIUSのスタンダード・ナンバーとなる局が収録されている。

「バンドに加入することは、自分自身の創造性に火を点けることなんだ」とJohansson。「自分達はすごくうまく機能するっていうことがわかった」

そしてバンドはここから旅立ち、何千ものファンの前で演奏し、アルバムはどんどん売れて行った。しかし、バンドはまだ北米ツアーを行っていないが、それは決してあり得ない企画ではない。

「もう少し様子を見ないとね」とJohansson。「長い北米ツアーは間違いなく当分ムリだろうけど、休暇の後にどうなるかだね」

もしもこの彼の言葉が、自身のキャリアに満足している人物を連想させるなら、それは間違いだ。Johanssonは音楽のためならどこへでも行くし、ヴァーチャルなコラボレーションも誰とでもする。彼のディスコグラフィーがそれを証明している。

DIOから元HelloweenのギタリストであるRoland Grapowまで、あるいはHammerFallからGinger Bakerまで、またはJonas Hellborgと、兄のAndersとのフュージョンのプロジェクトに至るまで、Johanssonのスケジュールばびっしり埋まっている。

しかし、彼は我々のサイトのインタビューを断る程多忙ではない。


Elements Part2についてさまざまな憶測が飛び交っていますが、Part1のようにシンフォニックなのでしょうか?それとも、もっとラフですか?
 
前作に比べればそうシンフォニックでもないけど、でもそれはわざとそうしたわけじゃなく、偶然そうなったんだ。音楽的には1作目と変わらないよ。長い曲のほとんどは1作目に収録してしまったけどね。ドラムは一度に録ったんだ。3週間ぐらいだったと思う。すべてをミックスダウンするまでには9ヶ月かかったよ。別々にやったんだけどね。


2作は別々に録音したんですか?
 

基本的に、ドラム以外のパートは一度に録音したんだ。ある時点で、みんなが集まって演奏してそれを録音した。その後で、もう一度録り直したり重ねたりした。このバンドのいつものやり方だと、ベースに1週間、ボーカルに3〜4週間、っていう感じなんだ。今回もそんなふうにしてPart1とPart2を一緒に録音したんだよ。特にはキーボードとギターを、スタジオを移動しながら重ねたりね。2枚のアルバムを作るには時間がかかるけど、妥協はしなかったと言うべきだろうね。妥協はしないって決めていたんだ。


STRATOVARIUSは普段妥協しているんですか?
 

もちろん、過去には予算の関係で妥協したよ。もし時間や予算がなければ、99パーセントの出来にしたいところを95パーセントでガマンしないとね。バンドが大きくなればなるだけ次のアルバムの予算も多く取れるようになると思うよ。心理的に、以前よりずっとリラックスした環境でやっていられる。気まぐれな気分でいることを許されるなら、人は気楽でいられるよ。何かをきちんやるために同じことを10回繰り返さなきゃならないとしたって、誰かが早くしろってせっついたり予算をオーバーしたりしなければ、それは正当なことだと納得できる。何故なら、プレッシャーをかけられたり予算の心配をする必要はないわけだから。レコーディングよりショウの方が収益について明確だよね。


偉大な芸術は苦しみから生まれる、という言葉をどう思いますか?
 

もちろんある意味的を得ているけど、この手の音楽をやっていると苦しんだり悩んだりするのは曲を描く過程だね。(笑)このバンドが(レコーディングにおいて)99パーセントを目指して95パーセントの結果を得たいとすれば、もし汗水垂らして動くよりインスピレーションの方を多く得たいと思うならちょっと遊びがないとね。


Elementsの2枚にあるコンセプトについて教えてください。
 

基本的には...コンセプトなんかありゃしないんだよ!特定のコンセプトを持たないコンセプトアルバムっていうところかな。このバンドはいつもアルバムの中にある1曲の曲名をアルバムタイトルにして来たんだ。どれか1曲のタイトルを選べばいいんだ。もちろん、今回のアルバムについては、2枚を1枚の長いアルバムだと考えている。単に発表の機会を2度に分けたんだ。2枚目に"Elements"っていう曲は入ってないけど、アルバムカヴァーには共通性がある。


ということは、2枚のアルバムに共通するのはカヴァー・デザインですか?
 

そう(笑)、ちょっと寂しいけどそれがいちばん大きな共通性かな。


Derek Riggsのカヴァーには満足していますか?
 

うん。パート2のカヴァー方がいいと思う。


どうしてですか?

 
カヴァーよりブックレットだね。こっちのレイアウトの方がいい。


今回もTimoがすべての曲を書いたんですか?
 

2枚目はそうだよ。1枚目の時は、僕は4曲書いた。そのうちの1曲がヨーロッパ向けのシングルに収録されて、もう1曲は日本盤ボーナス・トラックになったんだ。


両方貴方が書いたんですね?
 

そのとおり。


Timoがすべて書いているようですが、他のメンバーはフラストレーションを感じないんですか?
 

そんなことはないよ。みんなTimoを信頼してるからね。このバンドのやり方なんだ。だって曲を書くことも、マネージメント面もずっとTimoがやって来たからね。もちろん多少はフラストレーションを感じるけど、誰もやりにくいなんて思ってないよ。どの曲がどの曲より優れているかはっきり判断することは大切問題なんだ。僕らはこの問題を、Timoに一任することで解決しているんだよ。


STRATOVARIUSは民主的なバンドですか?それともみんなただTimoに従うだけですか?
 

みんな彼のヴィジョンについていく。もちろん、何をすべきかについてのみんなの意見だって一致しているよ。「俺が決めるんだああああああ(ここんとこデス声で読んでください)」みたいにはならない。でも、バンドの中にはとっても人任せなヤツも居るし、僕みたいに自分の意見を主張するタイプも居る。それでも僕はこのやり方の方がいいと思ってるんだ。のメンバーで7年もやって来られたんだし、それはこのやり方でうまくいくっていうことの証明だよ。


STRATOVARIUSはたくさんのジャンルを超えていますよね。貴方達をプログレッシヴなメタルバンドだと言う人も居れば、ツー・バスの好きな連中はパワー・メタルだって言うし。Jens Johanssonとしてはこのバンドのスタイルをどう表現しますか?
 

プログレの要素(Jensさんはここをelementsという単語で表現)が入ったメロディック・パワー・メタルっていうところかな。


語呂合わせじゃなくて?
 

違うよ。(笑)


あなたは、Yngwie MalmsteenやTony Macalpine、Allan Holdsworthといった世界的に有名なギタリスト達とプレイして来ましたね。彼らは曲作りに際してどんな方法をとっているんですか?
 

この中でいちばんすごいのはYngwieとTimoだろうね。でもタイプは全然違う。


どう違うんですか?
 

Yngwieはソロを弾くのが楽しみで曲を書いてるんだ。ソロに意識を集中してるね。固執してるって言っていいくらいだよ。それに比べるとTimoはソロを弾くのが嫌いなんだ。


本当ですか?
 

そうだよ、Timoは曲を書くことが楽しくてやってるんだ。Yngwieと仕事をしていると、デモの段階ではギター・ソロはすごくラフに弾いてある。レコーディングが始まると、リズムギターよりも先にソロをオーバーダブするんだよ。


Tony Macalpineの仕事はどんな感じでした?
 

楽しかったよ。僕は別のアルバムの仕事でカリフォルニアの北の方にあるスタジオに居たんだけど、となりの部屋にTonyが居たんだ。ちょっと覗いて、セッションしたんだよ。


じゃああっという間でしたね。
 

うん、2時間ぐらいだった。彼はいい人だよね。Derek Sherinianとのアルバムも聴いたよ。


TonyのPlanet Xでのプレイは信じられないぐらいすごいですよね!
 

うん、まったく違う人みたいだよね。もっとJAZZっぽい感じだ。


TonyのCABはほんとにJAZZっぽいですよ。みんなすごく驚いたんじゃないかな。
 

素晴らしいプレイヤーだね。


Tonyと会った時は何のレコーディングをしていたんですか?
 

Deep Purple Tributeだよ。


DioやGinger Baker、Allan Holdsworthなどのベテランと仕事をするのと、YngwieやRoland Grapow、Timo Tolkkiと仕事をするのとでは違いますか?
 

そんなことはないな。人それぞれだしね。それぞれにクセがあるし。RolandとTimoはもう今じゃベテランだよ。Timoは1985年からずっとやってるんだしね。


ミュージシャンとして最も満足した経験は何ですか?
 

ものすごくたくさん観客が来たコンサート。ミュージシャンを志した頃はそんなことを夢見る。だけど実際に起きるなんて考えてもみないんだ。カリフォルニアのデイ・オン・ザ・グリーンの時、75000人の前でプレイしたみたいにね。


いちばん大変だったプロジェクトは?
 

Ginger Bakerとの仕事かな。


何故ですか?
 

彼はものすごく変わってるんだ。当時彼は55歳でムチャクチャ気難しくて何かにつけて文句を言っていた。ツアーを続けたくないって言ってさ。プロとして一緒に仕事をいるにはそう難しい人じゃないけど、とにかく複雑な人だよ。


Gingerはツアーに行きたくなかった、でも貴方は行ったんですね?
 

一応ね。JAZZタイプの音楽のライヴをドイツで何回かやったよ。言っておくけどさ、Yngwieのことをジャーナリストに失礼なヤツだなんて思ってるんだったら、Yngwieなんかまだまだだよ!Gingerはどっかおかしいよ。ジャーナリストに対してあんなに失礼な人は他に見たことないよ。花所聞いたらきっと信じられないよ。


もっと教えて下さいよ。
 

Gingerが本に書いてるよ!面白いんだけどね。YngwieはGingerから学ぶべきだと思うよ。でもYngwieはここ数年でだいぶ丸くなったよね(訳者注:体型のことではないと思われる)。


結婚したしも子供も生まれたからじゃないですか?
 

それもあるけど、誰かが壁に自分の頭を500回ぶつけたとするだろ?501回目にはやめるよね(訳者注:つまり、どんなバカなこともいいかげん繰り返せば正気になれるということですね)。それにYngwieもだいぶ飲まなくなったしね。


STRATOVARIUSのアルバムの中でお気に入りはどれですか?
 

難しいね。ライヴ盤のVISIONS OF EUROPEかな。STRATOVARIUSがどういうバンドなのか知るためにいいサンプルだよね。


メタル界ではギタリストに比べてキーボードプレイヤーが少ないですよね。貴方とErik NorlanderやDon Airey等の間にライヴに出演するための激しい競争はありますか?
 

そんなふうに思わないな。STRATOVARIUSでもう7年も仕事をしているし、他のライヴに出たいなんて思ってないし。


ライヴの方で貴方を呼ぶ、と。
 

ああ、でもさっき君が言ったことはたぶん正しいね。こういうスタイルの曲をやっているバンドは多くないしね。


貴方達のようにギターとキーボードのリフがユニゾンするようなバンドはほとんどないですよね。
 

そうだね。でも僕たちももうあんまりその手のことはやらなくなったし。そういうスタイルっていうのはさ、Yngwieと僕がやっていた、80年代からの二日酔いみたいなもんだよ。


貴方のレコーディングの経歴は信じられないぐらいすごいですね。あれだけの数のプロジェクトに参加するためにどうやって時間を作ってるんですか?
 

そんなに時間を取られるものじゃないよ。自分に曲作りやプロダクションに対する責任がある場合がいちばん大変なんだ。ソロをちょっと弾くだけなら眠ってたっ弾けるしね(訳者注:ホントに寝ながら弾きそーだよ)。だいたい3時間程度しかかからないよ。


音楽的な影響は誰から受けましたか?
 

最初はJohn Lord。今でも好きだよ。それからDon AireyにEddy Jobson。


U.K.でプレイしていた頃の?
 

うん。あとFrank Zappaともプレイした。彼は色んな人たちと仕事をしているよね。


新しいアルバムでSTRATOVARIUSはまたツアーするんですか?
 

Elements Part2でのツアーはしないよ。最初のアルバムでツアーは終わったんだ。みんなもうツアーにはウンザリしてるはずだよ。Jorgのところには1月に双子が生まれたからもう手一杯だろうしね。僕はアルバムをレコーディングしようと思ってるんだ。


新しいソロ・アルバムですか?
 

うん。既にある程度出来上がってるんだ。ドラムは録り終えてるから編集しないとね。ここ数年はかなり怠けてたんだ。自分でもわかってるんだけど。


最近の音楽でいいな、と思ったものはありますか?
 

Meshuggahと、Derek Sherinianの新しいアルバムだね。


あれは素晴らしいですよね。Di MeolaにZakk WyldeにYngwie。すごいプレイヤーが参加していますね。
 

ホントにすごいよ。だから怠け者でいる贅沢を満喫できるんだ。Derekがソロ・アルバムをどんどん作ってくれるから、僕は作らなくて済む。(笑) あ、新しいSONATA ARCTICAのアルバムも好きだよ。


彼らを「STRATOVARIUS Jr.」と呼ぶ人も居ますよね。
 

彼らのサウンドは多少似てるよね。速いツー・バスとギターだし。でも曲は全然違うし、そこが素晴らしいんだよ。曲がいいんだ。


何かファンにひとことお願いします。
 

アメリカでライブをやるってずいぶん前から約束しているけど、将来きっと実現すると思う。たくさんのバンドがアメリカに行くようになってるし、STRATOVARIUSも行けるといいな。


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