|
検査の結果をみると私の脳は他の人に比べて少し肥大しているとのことだ。”能力”の
せいかもしれない、検査結果をみた寒河江先生も私の脳内には興味があるようだが、協力
する時間などない。それに私の脳を論文の対象にされるのもゴメンだ。私はあくまで、戦
う前の調整のつもりで検査したのだから…。
重要参考人があがったと聞いたのは、あれから三日後の事だった。
重要参考人・・・容疑者じゃないのか・・・少し残念な気がするが、犯人かどうかなん
て事判断はいたって簡単なので、私が行けばいいのだ。
そう、簡単に犯人かどうかは解る。催眠術か、洗脳をかけて、真意を喋らせればそれで
済む事なのだ。私ははやる気持ちを抑え、警察に向かった。
警察の門をくぐって、取調室に行くと、部屋の前で警部が怪訝そうな顔をしていた。ま
るで、新米が私を見るときの目付きのようだった。
「この中ですか?」
「あぁ、先日は彼が世話になった」
警部は、この間の新米乗っ取られ事件の事に関していっていたが、その時の私は、その
目付きの意味が知りたく、聞き流して言葉を続けた。
「どんな奴です?」
「見てみるかい」
警部は隣の部屋へ私を導いた、いわゆるマジックミラーを使っている部屋だ。取調室の
様子は丸見えというわけだ。
そこには、取調を受けている、明らかに小学校低学年の少女がいた。
「この子が参考人ですか?」
「ああ、名前は西山彩子、7歳だ。」
・・・・・
警部があんな顔をしていた理由がわかったのと、少なくともあの子本人が犯人ではない
事が解ったのでほっとした。あの子は、自分が犯人だと言い張るように作られたリピータ
ーだと、直感した。
「一応聞いたのだが、それが調書と一致してね。まさかとは思うが・・・」
ただでさえ深いしわを更に深くさせて、彼女を見つめていた。
そのリピーター、西山彩子は7歳というには、妙に大人びていた。外見というわけでは
なく、雰囲気というか、物腰がだ。私が観察していると、ふいに顔を上げ、話始めた。
「私がここにいるのは、私が、今までの犯罪を犯したという罪に苛まれているからであ
り、それが今回の自首の理由です。」
明らかに、彼女に誰かしらが介在している口調でる、七歳時のいう言葉ではない。
「そして、ここにいる医者と、ゲームをする約束を果たさなくてはいけないので、その
為にも来た。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ママ。」
・・・ママ?
「ママ、怖いよ、ママ、・・・・ママ、ママ、ママ」
まずいと感じた頃には、部屋を抜け出し、取調室のドアを開けていた。
彼女はガタガタと身体を震わせて、しきりに「ママ」とか細い声をあげ、おおきくしゃ
っくりをしたかと思うと、冷たくなっていった。
「どうなってんだよ!一体!!」
新米は、取調室の机にあたりながら、叫んだ。
この少女は、何か自分が変だと感じとっていた。母に助けを求めた点でも、その事がわ
かる。
「・・・・・・ママ・・・か、」
自分が母の事など考えるとは思ってもみなかったが、この女の子の言葉につられて出て
しまった。
警部も、私と一緒に、この子を見ていた。
「・・・・・・リピーターです。この子も」
「・・・そうか、」
やや冷たげに、返事をすると、部下に、私から子供を引き離し、そして。
「水無月榊季君」
そして、
「本日、午後二時をもって、君の身柄は拘束させてもらう」
逮捕された。
つづく。
|