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ああ、もぅ、いつもこうだ。
何で僕ばっかり待つ羽目になるんだ。
だからデートなんて嫌いなんだ。
そりゃ、こっちから好きになったっていう、なんていうの責任感みたいな物は感じるけ
どさ、それにしても、なんでこんなに待たなくちゃいけないんだよ、もう一時間経つぞ全
く。
それに、待ち合わせ場所も良くない。
こんな人通りの多い所を待ち合わせ場所にしやがって!。
しかもみんなラブラブモードで冗談じゃない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もういい、帰る。
もう待てん!、レンタルビデオ屋によって、極薄エロビデオでも借りて大上映会を開い
てやる。ちきしょう。冗談じゃない。
「お待たせ」
しかし何借りて帰ろうかな?、「ルームサービス」がいいかな?
「みちる」
あ、いや待てよ、素人ナンパ物もいいかな?
「みちる?、怒ってる?」
あ〜、制服ものってのもいいなぁ
「ちょっと、こっちを見なさい!!」
あ、しとかを襲ったビデオでもあれば・・・・・・・・・・・・・・
「お待たせ、待った?でもほんのちょっとしか遅刻してないよね、五分、五分」
「わ〜〜〜〜〜!」
「何、。ビックリするでしょ!」
な、なんで、しとかがいるんだよ
「なんでって、待ち合わせしたからじゃない」
あ、ああそうか。それで俺は待ちぼうけを喰らって。
「それは、さっき謝ったでしょ?」
・・・・
僕の目の前にいる”片桐しとか”は、何の屈託も無い笑顔で僕を見つめていた。待たさ
れていたのは僕の方なのに、その笑顔で全てを解消していくようだった。
まぁ、そんな所を好きになったんだけどね。
「ゴメン、本当にごめんなさい。ホラ、今日のデート先私の企画でしょ、で、ホラ、ち
ゃんと朝は起きたし、予定通りに家を出て、駅に向かったのよ、でもね、今日の行くのに
必要な物忘れちゃって、取りに戻ったら、五分遅れちゃったわけね。」
「五分?一時間以上遅刻してるじゃないかよ、どうすんだよ!」
「大丈夫、企画会場には全然余裕あるんだからさ、」
しとかはそういって僕を意見をかわし、一枚のハガキを僕に見せた。
そこには”木曜特集”と書いてある。
「木曜特集?」
「TVの観覧だよ、好きでしょ、こういうの」
確かにこういったいかがわしそうな特番は大好きだ。UFOとかネッシーとか、こう何
か燃えるものがある。でも、これに書いてある。「魔女の降る休日」ってなんだ?
僕がしとかに、その事を聞くと、まるで世間の常識を知らないのかとばかりに驚いて説
明してくれた。
しとかが言うには、「魔女の降る休日」と言うのは、つまりこういう事らしい。
ここん所のいわゆる”世紀末ブーム”の最先端で、今月に入って、月刊占いを行ってい
る雑誌や書籍のその全てが、「魔女の降る休日」という日を境にして、何の占いも行って
いないと言う事だった。しかも、それには、宗派思想の違いを問わず全てのジャンルに置
いて「魔女の降る休日」という語を用いてその日以降の占いをしていないらしい(彼女が
言うには、風水や画数占いでもそうでているらしい・・・胡散臭い)。
「”魔女の降る休日”なんて聞いた事ないよ」
僕らはその観覧集合時間までまだ少しあったので近くの店にはいってお茶をしていた。
外が殺伐としている分、ここはオアシスに感じる。
「でも、興味あるでしょ?」
と、イタズラっぽい笑顔で見つめ返してくる、確かに興味は引かれる。しかもこの響き
の妙な感じが堪らない。「魔女の降る休日」、”おりる”のではなく”ふって”来るのだ。
これだけでもおかしくて笑いたくなってしまう。でも一つ疑問がある。これって、国内だ
けの話じゃないの?国内ローカル。
「ううん、世界レベルだよ。きっちり24時間当てはまるのが日本の時間帯なんだって
他の国だと、時差の関係で中途半端な感じになるらしいよ、だから国によっては『魔女の
降る24時』とか、なんか変な名前もあるよ」
どっかの流星群のジャストポイントじゃあるまいに、ロクでもない感じなんだな、案外
意味無しの下らないイベントなのかもしれない。
「でも、面白いでしょ?。そこら中でその24時間が『魔女の降る休日』って言われて、
それを体感できる。これっていままで世界中では無かった共通イベントなんじゃない?」
「オリンピックや、ワールドカップとかあるじゃないか」
「違うのよ、そういうのとは違った、ん〜、なんていうの?、同じ”期待と不安”が世
界中の共通意識として一緒になれるっていうの?、そんな感じ」
「We are the worldみたいだな?世界は地球を救う」
「違う違う、そんなんじゃなくって・・・」
しとかは喜々として自分の言葉にできない気持ちを話始めた。なんか恋する乙女のよう
である(笑)。しとかはどっちかって言うと、僕よりもこういった話は好きな方なので、
こういった反応を見るのが面白い。
しとかとこうやって話している内に、僕のコーヒーは温くなって苦さを増し、しとかの
パフェは、汗をテーブルの上に流していた。
遅刻したのはしとかの方なのに何故ここを僕が奢らにゃいけないのが多少の不本意だっ
たが、
「だって、企画者は私なんだから、これくらいは奢ってよね、それだけの価値があるん
だからさ」
と言ってのけ、こっちがお金を支払終わる前にとっとと外へ出て会場に向かって歩きだ
してしまった。
・・・自分の興味のある事に関しては視野狭作になりやすいが、こういうのには困るな
ぁ、今度しっかり怒っとかなくちゃな。
僕は支払が終わった後、走ってしとかを捕まえ、少し叱った。しかしいつもの事と言わ
んばかりに軽いステップで歩き始めた。
僕はもう一度捕まえ、しとかからハガキを奪って場所を確認した。
・・・しとかの向かっていた方向は全くの逆だった。
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