[トップページの戻る]
RABseed
戻る
脚本:しむらなおき
第一幕
”R” −朝、再び始まるモノ−(Retry or Rising sun)
水道水の勢いの良い音、うるさくも聞こえる。
照明F.I.
スエット(パジャマ?)にタオルといった格好で、井上がソデからくる。いかにも眠そ
うである
舞台中央で、顔を洗い始める、水はとても冷たい。
顔を洗っていると、逆ソデから永野が来る。
*この会話でお互いが目を合わせる事はない。
永野 「ういーっす」
井上 「(洗顔)あ、お早う・・・良く眠れた?」
永野 「(歯磨きの準備)全然、目が冴えちゃって、3、いや2時間位か、寝たの」
井上 「(洗顔)生活逆転してるからね」
永野 「(歯磨き)ひは、ひおうほほふ、へへえひへいへは」
井上 「何言ってるかわかんないよ」
永野 「(ぺっ)昨日の夜NHKでさ、」
井上 「NHK?深夜帯って映像散歩しかしてないよ」
永野 「いや、その映像散歩がさ、」
井上 「うん、」
永野 「ほら、なんか、歴史的瞬間みたいなのやっててさ」
井上 「うん?」
永野 「ほら、ベルリンの壁崩壊とか、浅間山荘事件とか」
井上 「あ、ハイハイ天安門とか、ま、色々映像資料で残ってるやつのね」
永野 「そうそう、浅間山荘事件は燃えるわあれ!」
井上 「燃える?」
永野 「そうそう、映像的にね、鉄球で、ゴーンとやる所とか、機動隊の突入の瞬間
とか」
井上 「最近のだと、オウムのアレだね」
永野 「そうそうそうそう、いやー、燃えるよ、見ていて興奮してくるのわかるもん
なぁ、やっぱリアルタイムでみると凄いわ」
井上 「リアルタイムって、あの事件の当時、うちらまだ産まれてないよ」
永野 「(聞いてない)いやぁ、凄い、今あんなの無いからなぁ」
井上 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
永野 「なっ、そう思うだろ?」
井上 「・・・・・ハイハイそうですね」
永野 「ベルリンの壁にしたってそうだよ、俺、自分が生きている間に、あの壁壊れ
るなんて思っても見なかったもんなぁ」
井上 「そうね、あんなに早く冷戦構造が崩れるとは思わなかったよな」
永野 「・・・・・・・・・・・?、何難しい事いってるの?」
井上 「話振ったのはそっちでしょうが」
永野 「何、朝っぱらから難しい事言ってんの、浅間山荘とかベルリンとかさ」
井上 「自分だろ、今の全部」
永野 「そりゃ、確かに、俺の見た映像散歩は、歴史的瞬間だったよ・・・・(暫く
考えて)そうそうそうそう、第二次大戦の映像でさ、核爆発の実験シーンの
画があってさ、それがなんかマンガの『AKIRA』みたいで、かっこよか
ったんだよ!」
井上 「なんか、人として、腐ってません?」
永野 「いや、そうじゃないんだ。なんていうの、そういった映像の中にもね、いい
画があってね。ほら、えーっと、・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ
あいうのは後生に伝えないとね」
井上 「後生ね、」
永野 「そう、後生に伝える、それが我々の仕事だと思わないか?そうやって、歴史
を重ねていって、同じ過ちを繰り返さないようにしないといけないなぁ」
井上 「ハイ?。朝っぱらから・・・悪いもん食ったん?」
永野 「いーやっ、それは無いぞ俺はいたって健康だ。朝から夢を語ちゃ悪いのか?
」
井上 「人の夢って書いて儚いって読むんですよ知ってますか?」
永野 「お前こそ、気持ちの良い朝を悪い方悪い方に持って行くな。」
井上 「お前こそ?、あのね、折角の気持ち良い朝を、血生臭い方向に持っていって
るのはそっちの方でしょうが」
永野 「仕方無いだろう、それが現実なのだから」
井上 「ハイ?」
永野 「朝はとてつもなく現実を知る時間だ、寒い日に早くから起きなきゃいけなか
ったりな」
井上 「それってただ単に朝に弱いっていうんじゃ
永野 「俺は朝に弱いわけじゃないフレックス制を導入した大学生だ」
井上 「起きれないだけの癖に」
永野 「チッチッチ甘いな井上君。じゃなんで私(わたくし)はここにいるのかな?
」
井上 「・・・・・・・・・・・・・・・・」
窓を開けようとする
後ろで葦野登場
(舞台の前後で場所が異なる。前は、永野、井上の寮後ろは葦野の自宅)
葦野、出かける準備、服を出したり世話しなく動く。
永野 「外を見ても雨は降らない!寒い!(閉める)」
井上 「・・・・・・・・・・・・・・?」
永野 「・・・聞きたいかい?」
井上 「(即答)いいです。」
永野 「うん、あのね実はね」
井上 「聞いて欲しいならそう言えよ」
永野 「へ?、だって今”いいです”って言ったでしょ、だから話そうとしたんだけ
ど」
井上 「肯定した”いいです”じゃないよ、否定のほう。」
永野 「あ、そうなのか、」
井上 「そう」
永野 「で、実はね」
井上 「ハイハイ聞きますよ、言って下さいよ」
永野 「どうしよっかなー」
井上 「・・・・こいつは・・・・。」
永野 「もうちょっと、ねだるように聞いて欲しいなぁ」
井上 「・・・・・・・・・・・・・」
永野 「聞きたい〜?」
井上 「・・・・・・・・・・(強く)全然聞きたくない!」
永野 「またまた、ご冗談を」
井上 「(即答)全然」
永野 「嘘嘘」
井上 「(即答)本当」
永野 「・・・・これっぽっちも?」
井上 「これっぽっちも!」
永野はたっと土下座
永野 「すいませんでしたぁ、聞いて下さい!この通り!!」
井上 「(「くぁ・・・・・・こいつ最低」という態度)」
永野 「井上君」
井上 「・・・・・・・・・・・・・・・・」
永野 「井上くぅーん。」
井上 「わかりました、聞きますよ、何で早起きしたの?」
永野 「何で君に答えないといけないのかな?」
井上 「ああ、そうですか、いい加減・・・」
永野 「すいません!!!軽い冗談です。ほ、ほら、マダスカルジョーク」
井上 「一体どこだよ」
永野 「あれ、知らないのアフリカ大陸・・・」
井上 「んな事はいい、言いたいのか、言いたくないのか!」
永野 「つれないなぁ、小田和正の歌にだってあるじゃん”誰にでも話したくて、気
付かれたくなくて”って、そんな心境なの」
井上 「俺は知らないよ、小田和正の歌」
永野 「いいよ、切ないラブソングで」
井上 「で、何で今日早起きしたんだ?」
永野 「フッ、今日はドゥエート(デート)なのさ」
井上 「なんだのろけかよ(去ろうとする)」
永野 「聞いてくれよう〜」
と言って、井上のズボンをつかみずり落とそうとする
抵抗する井上
井上 「わかったよ!手ぇ放せって!」
間、ズボンを整える
井上 「・・・・・・で、相手は誰?」
永野 「・・・・葦野(よしの)」
井上 「え、あいつなの?、もうちょっと、あんなのだったらもっと良い女いっぱい
いるって」
永野 「あんな良い女いないよ」
井上 「どこが良い女なんだか」
永野 「それに俺の事惚れてるし」
井上 「永野を惚れてる?どこ?」
永野 「受講中に、俺の落とした消しゴムを拾ってくれた、それが証拠だよ」
井上 「かーっでたよ、最高の思い違い、あのね、それ、妄想モードだよ。」
永野 「俺の誘いをOKしてくれた。」
井上 「ただ単に暇だっただけでしょ」
永野 「さっきから人の揚げ足取ってない?」
井上 「全然気のせい、ご心配なく。」
永野 「本当に?」
井上 「本当」
永野 「・・・・いっとくけど、俺の恋路の邪魔はするなよ」
井上 「葦野に関しては、邪魔じゃなくて手助けの様な気もするけどね」
永野 「何?」
井上 「いえ、別に。」
永野 「今日、俺はキメル男なんだ、邪魔すんなよ」
井上 「どこに行くかも知らないのに邪魔の真似事なんかできるわけないだろ」
永野 「隣駅前で待ち合わせ、おっと、そろそろ用意しないとな、じゃな!」
永野去る。
井上 「・・・邪魔して欲しいのか?」
少し間を置いて
井上 「バカらし、誰が人の邪魔するかよ、こっちは自分の方で精いっぱいなんだよ。
こっちはこっちで、今日は家にいないといけないんだからな、隣駅で変装し
て待ち合わせなんてできるわけないでしょって。」
間
井上 「・・・・・・でも、あいつ、葦野が好きだったんだ、ふーん。」
タオルで顔を拭きながら、去る。
少し、間をおいて、葦野出かける格好で、舞台上を通過する。
照明F.O.
第二幕
”A” ちょっと前と、ちょっと後 (And or Afternoon)
歓楽街のようなSE段々F.O.
照明C.I.(前地)
舞台、前に、左より葦野・永野の順で正面に向かって上下白っぽい格好で立っている。
(両者ヘッドフォンステレオを両耳に付けている)
後ろ、井上が中央に立っている。
井上は動かない。
葦野・永野は正面に誰かがいるように、話す。
永野 「聞こえますか?、僕の声、綺麗な澄んだ声では無いけど・・・、聞こえます
か?」
葦野 「聞こえません、貴方の声、厳しいのだろうけれども、安心を感じる、優しい
声。残念だけど、聞こえません」
永野 「感じますか?、僕の鼓動を、周りからみれば、微かで消えそうな・・・、感
じますか?」
葦野 「感じません、貴方の鼓動。残念だけど、感じません。でも、それは貴方のせ
いではないの、私が感じられないだけなのだから」
永野 「聞こえますか?!」
葦野 「聞こえません」
永野 「感じますか?!」
葦野 「感じません。」
間
葦野 「貴方は悪くないの、多分、きっと私には貴方を感じなきゃいけない大事な何
かが欠落しているのかもしれない。」
永野 「大丈夫?。あ、君には聞こえないんだね。でも、大丈夫だよそれは、いずれ
は聞こえるようになるのだから。僕はそれまで待つ」
葦野 「私は待つのはキライ。待たれるのもキライ」
永野 「僕は待つのは好きなんだ、ある種の希望っていうの?、それがあるから」
葦野 「希望もキライ、あとで虚しくなるだけだから、自分をカワイク思うだけでの
自己犠牲でしかないから」
永野 「人間ってね、物事プラスかマイナスかのどちらかでしか考えられなくって、
・・・・でもね、僕は。」
葦野 「それが優しさでも、私はそんな物はいらない。必要ない、何でかって聞かれ
ても答えられないけど、私にはいらない。」
永野 「希望や夢があれば前に進めるから」
葦野 「希望や夢が無に帰るときの失望感を感じたくないから」
永野 「大事なのは、その気持ちなんだよ」
葦野 「下らない馴れ合いは大嫌いなの」
永野 「君はそうやってなんでも否定するんだね。」
葦野 「そう、それが私だもの、昨日も、今日も、明日も、それが私だもの。」
間
永野 「聞こえますか?、僕の声」
葦野 「聞こえない、貴方の声」
永野 「感じますか?、僕の鼓動」
葦野 「感じません、貴方の鼓動」
永野 「本当は聞こえているんでしょ?感じているんでしょ?、でも、それに耳を傾
けたり触れたりするのが怖いだけなんでしょ?」
葦野 「・・・・・・・・・・・」
永野 「ねぇ、」
間、
二人気が付いたように、向かい合う。永野ヘッドホンの片方を、葦野の耳に当てて
永野 「聞こえますか?、僕の声」
葦野 「・・・・・・・・・・・・」
永野 「感じますか?、僕の鼓動」
葦野 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(かすれ
そうな声で)聞こえる」
永野 「・・・よく聞こえない」
葦野 「・・・・・・・・・・・聞こえる」
永野 「・・・・・もう一度」
葦野 「聞こえる。」
葦野自分のヘッドホンを永野の耳に当てる
葦野 「聞こえますか?、私の声」
永野 「・・・・聞こえるよ」
照明、前地後ろ地切り替え
永野、葦野はその体勢のままゆっくりしゃがむ。
井上、目の前に誰かがいるみたいに
井上 「あ、っー、えーっとね。・・・・・・・・・・あのさ、・・・その、そう、
歌。え、あ、あぁ、あのさ、一人でこう、車の運転してるとさ、つい歌なん
て歌っちゃったりしない?移動してるから、大声だしても大して外の迷惑に
もならないし、ほら、歳取るとおおっぴらに笑っても、本当に面白いのかっ
ていうとそうでもなくて、それが逆にストレスになったりしてね。あれって
何でうたっちゃうんだろうね。・・・・・・・・え、あ、ああそう、そうか、
”寂しい”ね、そうね、寂しいのかもね。そう、そうだよ寂しいよ、だって、
夜中とか暗い道を一人で走って行くんだよ、そりゃ寂しいって、だからラジ
オや、カセットをガンガンにかけて、唄うんだよ。だって、一人だし特に話
し相手なんていないからね。」
間、そわそわしてる井上。
井上 「・・・・え、え?、何々、あ、何で?、あ、ああ、何でこんな話しをしたか
って、あ、そう、うん。あ、あのね。あのぅ・・・・・。」
考えてる、間、悩んでる
井上 「あ、そうそう、マクドナルドでさ、え、そうそう、マック。あそこでさ、こ
の間トリプルマックやってたでしょ。あれって、食べるの大変そうだよね、
ダブルマックですらアゴ疲れるのに、トリプルだよ、アゴ外れるって、ねぇ、
え、トリプルマックの間には、パンが入って無いの?・・・(気まずい)・
・・あん、えっとぉ」
若干、かがんで上目で、客席の方を見る。
井上「あーーーーーーーーーーーー」と言いながら頭くしゃくしゃにする、
スクッっと、背筋を伸ばす。
井上 「(大声で)好きです!、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、び
っくりした?・・・(間、少し落ち着いて)・・・・・・・好きです。君の
事が。・・・何でって言われてもなぁ、根拠なんてどこにもないよ、気が付
けば、そんな感じだったって言えばいい?、ダメ?ちゃんとした理由?・・
・うーん。特に無いんだよなぁ・・・・、怒らないでよ本当の事なんだから、
・・・ん、やっぱり無いや・・・。でもね・・・好きです!、これは嘘じゃ
ないよ。」
少し照れのある井上、でも、どこかスッキリした顔になっている。
照明F.O.
第三幕
−B− これが正しいとは言わないけれど・・・(believe or bedroom)
照明F.I.(注:後ろ地のみ)
第二幕同様前地後ろ地
前、井上が、床に体育座りで、電話を待っている。
(横に黒電、コードはソデまで伸びている。)
後、葦野が、さっきの井上の位置で立っている。
葦野 「貴方ね、ダメな物はダメなの、そう、なにやってもダメ。それはね、間が悪
いからなの、人生間が悪くちゃどうにもならない、どうあがいてもむだなの、
解る?、無駄なのよ無駄そうやって、じっとしてたって無駄なのよ。そこら
辺のストーカー多少見習いなさいよ」
葦野ストップモーション、照明切り替え
電話の音
井上、急いで出る
井上 「ハイ!井上です。・・・・・・ハイ?、ハイハイ、いえ、いえいえ、とんで
もないですハッハッハッハ。ハイ、失礼します。」
受話器を置く
井上 「間違い電話・・・・・ね。」
照明切り替え
葦野 「そうそう、だからってね何でも否定するようになってもダメなんだよ、世の
中ねフレキシブルでなきゃいけないんだから、え?、フレキシブルって何だ
って?、そ、そんなの自分で調べなさいよ。・・・・え、私?、知ってるわ
よ、勿論。あのね、人から聞いてたら自分の為にならないでしょ、時には自
分で調べるってことをしないと本当に学んだ事にはならないんだよ。わかる
?、大事なのは、その時に自分が何をすればいちばん最良なのか、それを考
えていかないとね。」
電話のベル
照明切り替え
受話器を取る井上
井上 「ハイ、井上で・・・・ハイ?お墓?、いえ、僕は長男ですけど、そんなお墓
を買うような稼ぎはしてないしって、第一学生ですし、何感心してるんです
か!、おたく、学生から金奪おうとしててそんなに楽しいですか?、親に出
してもらえ?、オイオイ言ってる事支離滅裂ですよ、第一、どっからうちの
電話番号・・・・」
受話器を睨み付けて
井上 「ちっ、切れやがった。」
受話器を少し乱暴に置く。
照明切り替え
葦野 「でね、今何をすればいいのか、それを考えてみましょうよ、どうせそんなの
待っても来ないんだから、・・・何怖い顔してるのよ、本当の事でしょ、い
つ来るか解らない物待ってもしょうがないでしょ、待つなんてそんなネガテ
ィブな事やめてさ、もっとポジティブにいこうよ。例えばね、そう、ゲーム
しよ、ゲェム。待って、”たまごっち”持ってくるから、え、暗い?何で、
あんなちっこいのでチマチマやるほうがよっぽど暗いって?、じゃなにがい
いのよ、”てんしっち”?、”デジモン”?、”ラブッチュ”?、”ぷより
ん”?、”ぴこりん”?、”テトリン”?、なによみんな同じって、それぞ
れ違うのよ、ちゃんと、似ていても、それぞれのゲームにちゃーんと個性が
あるんだから、ホントだよ。嘘じゃないもん」
電話のベル
照明切り替え
井上受話器を取る
井上 「ハイ、井上です。・・・・・・・・・・ハイ!僕です!!!」
井上ストップモーション
照明切り替え(全地?)
葦野 「私は嘘をつくのは嫌い、話したい事をはぐらかすのも嫌い。だから、待つの
って嫌いなの。嘘をつくって事は、いつかは弁明しなきゃいけない事だし、
はぐらかすって事は、真実を先延ばしする事になる。それをする人は嫌い。
何でも正直に話す人が好き、たとえそれが私の悪口でも、影で言うひとの一
億倍はいい。正直すぎるのは損をするっていうけど、それだけ人を愛せる事
なんだと私は思うの、私はそういう人を愛したい。恥ずかしいけど、私はそ
んな人の子供を産みたい。」
照明戻る
井上ストップモーション解除
井上 「ハイ、ハイ、ハイ、・・・・・・・ハイ。・・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、
ありがとうございます」
ゆっくり受話器を置く
井上 「・・・はぁ、当たっちゃった、ハワイ旅行」
間
井上 「嬉しいんだか、悲しいんだか、」
時計を見る、井上。
脱力感、諦めのムード。
井上 「約束の時間、過ぎちゃった・・・・・・・・・・・、そっか。」
間
井上 「やっぱ、あの時車で唄うっていうのはまずかったのかな、やっぱ暗さ爆発、
あ、いや、曲名いえば良かったかな『”GLAY”の”HOWEVER”唄
うんですよ』・・・・ああ、そんなんじゃ、流行追いかけるバカな奴じゃん
か!、自分に正直に『あ、僕、”ロケット団”の”ロケット団よ永遠に”が
熱唱できるんですよ』・・・あ、だめだぁ、それじゃ引いちゃうよ、せめて、
”めざせポケモンマスター”じゃないと・・・。」
間、
井上 「・・・・・・・・なんて、そんな事言っても始まらないか、結果はもう出ち
ゃったんだもんな。ふぅ、しょうがないよな・・・・・・・・」
照明、ゆっくり全地になっていく、
葦野ゆっくりと、井上に近づいていく。
間、
葦野 「私は、そんな正直な貴方の子供が欲しいの」
葦野、親が子を見るような目付きで、井上を見る。
井上 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・永野は?」
永野、別の女の子と楽しそうに、後ろを通過していく。
永野通過した後、葦野とびきりの笑顔で、ストンとしゃがみこみ、じっと見つめて、
葦野 「・・・・・・・今から子供つくろっか?」
何かギター一本のゆったりとしたラブソング。
照明F.O.
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
覚え書き
感動は無い。
盛り上がる事も無い・・・・・・多分。
ただ、
何かがひっかかってくれれば、それでいい。
RABseedは、ジャンル分けすれば恋愛物になると思う。かといって、トレンディ
ドラマのような話でもなく、ドロドロした愛憎劇でもない。少女マンガにあるラブコメで
もない。たあいもない「会話」と、意味の無い「独白」で綴られる恋愛物。三幕+α物語
内の時間にして約一日。”伝えたい何か”じゃなくて”感じとって欲しい何か”が表現で
きれば・・・・。
立ち位置って基本的に演劇でしか存在しない言葉だと思う。TVや映画、各種バラエテ
ィにも立ち位置は存在することはするが、カメラによるカット割りも手伝ってか、そんな
に必要は無い。でも、演劇では現役な存在である事は確かだ、でも、それが割りとないが
しろになっているのもまた事実。”立ち位置”を物語に持ち込めないか?と思ったのは「
きっと、そこにたどりつく」から、役者がバラバラに向いて喋るのには特に意味がないが、
見ているお客に”何らかの意味合い”を伝えたかったのは確か。その到達地点を「魔女の
降る休日」に設定したが、物語その物の複雑さもあってか、”立ち位置によって語られる
物語”を伝える事は皆無に等しかった。
それでも、立ち位置という美味しいかつ舞台を美しく飾れる存在をなんとか表現上に押
し上げてみたい。と思ったときRABseedで使おうかなと、それがこの脚本の動機。
でも、また表面上はわかんないんだろうなぁ
Retry Answer Believe の種(se ed)
(rise sun) (afternoon ) (bedroom) (sex end)
( 朝 ) ( 昼 ) ( 夜 ) (性っていうか種の終わり)
それが
RABseed
場面構成は三つ(多くて四つ)
|