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メッセージソング
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脚本:しむらなおき
暗がりの中から、声のみ
チヨリ 「おもいだして、それが、ぼくからのメッセージ」
全照。中央で、ペタンと座り、雑誌を広げているチヨリ。その背後には、六人の人
が客に背を向けて立っている。
暫くの間、そして一番左の男が、振り向き(手には郵便物を握り)、マイム
ナオタカ 「とんとん、郵便でーす」
「・・・・・・・・・」
ナオタカ 「とんとん、・・・ゆっうびんっでーす。」
「・・・・・・・・・・・」
ナオタカ 「とんとんとんとん・・ゆう」
チヨリ 「何、」
ナオタカ 「郵便です」
チヨリ 「あんたバイトでしょ。いちいち呼びださないでよ。ポストに郵便を・・」
ナオタカ 「80円」
チヨリ 「はい?」
ナオタカ 「はちじゅうえん」
チヨリ 「何であんたに80円払わないといけないのよ」
ナオタカ 「(緑の封筒を出し)、ここの宛名だけで差出人不明、しかも切手無し、着払
いってことで、80円」
チヨリ 「80円なんて大金ないわよ!」
ナオタカの横に居た奴が振り向き、元気に
モトキ 「ちわー、ニコニコ受付チャキチャキ配送のニコチャキ便でーす。あ、お嬢様
ですか?、えっとですねぇ、こちら代金引換ですので、3220円戴きたい
のですが。」
チヨリ 「(財布を出しながら)3300円でお願いします。」
*ここでのナオタカの仕草宜しく(テメー金無いって言ってたじゃんか)
モトキ 「ハイ、じゃ、お釣りの80円と、」
80円に反応のナオタカ
モトキ 「(包を渡し)では、ありがとうございまーす。」
チヨリ 「ハイ、ごくろうさまー」
モトキ元のポジションに戻る。キラキラ視線で、チヨリを見るナオタカ
チヨリ 「何よ」
ナオタカ 「80円」
チヨリ 「・・・・・・・・」
ナオタカ 「80円、80円、80円、80円、80円、80円、80円、80円」
チヨリ呆れ果てて手を出し、80円地面にパラパラ落とす
ナオタカ 「ちょ、何すんだよ」
チヨリ 「あんた、廻ってる途中でしょ、さぼらないで早く行きなさいよ」
ドアを閉める(仕草)小包を奥へと持っていく
ナオタカ文句言いながらお金を拾い、ポジションに戻る
チヨリ戻ってくる。手には例の手紙、封をあけ、文面を覗く。怒りがこみ上げクシ
ャクシャにして床に投げつける。
チヨリ 「バカ」
踏みつけようとする
チヨリ 「最低」
踏みつけるのをやめ、下ソデに去ろうとする。が、手紙が気になり、チラチラ。一
回身体で呼吸して、クシャクシャの郵便を取ろうとする
知識欲 「おや、どうして捨てた物を拾うんですか?」
食欲 「バイキンついてますよぅ」
残りの四人振り返る左からハルエ(性欲)・ミツノブ(睡眠欲)・ナオタカ(食欲
)・ユウイチロウ(知識欲)
チヨリ 「誰よアンタ」
知識欲 「誰?」
食欲 「誰?」
睡眠欲 「誰?」
性欲 「誰?」
チヨリ 「なめてんの?」
知識欲 「誰でも良いじゃないですか、減るもんじゃなし」
チヨリ 「何よ」
睡眠欲手紙を拾い上げ
睡眠欲 「・・・・・・・もう少しだけ・・・・・?」
チヨリ 「何、人の手紙読んでんのよ(取りあげる)!」
睡眠欲 「・・・・・・・・・・もう少しだけ」
知識欲 「何それだけ?・・・あらま」
食欲 「あらま」
睡眠欲 「あらま」
性欲 「あらま」
チヨリ 「・・・・・・・・・・・・(トサカにきてます)」
食欲 「・・・・ハンバーガー食べる?」
チヨリ 「うるさいわよ!何者よアンタ達!」
知識欲 「あらららら、普通は自分から名乗るもんですよぅ、ねー」
欲全員 「ねー!」
チヨリ 「・・・・・・・・チヨリ(素早く)」
知識欲 「え?」
チヨリ 「・・・・・・・」
知識欲 「・・・・・・」
皆 「・・・・・・・・・・・・・・・」
知識欲 「1.2.」
欲全員 「あっなったーのおっなっまーえなんてーの!?」
チヨリ 「チヨリ!何度も言わせないでよ!、ホラ、私はちゃんと名乗ったわよ、アン
タ達は何者?!」
知識欲 「せーの」
欲全員 「”ちより”でーす!!!」
チヨリ 「・・・・・・・なめてんの?」
知識欲 「なめてない、なめてない私達はチヨリです」
チヨリ 「?」
食欲 「うーん、つまり、こー線引いて、こっからこっちが貴方、チヨリさんで、こ
っちは僕達チヨリです」
チヨリ 「ぜんぜっんわかんない」
食欲 「えー」
知識欲 「我々は貴方の深層心理を形成する”欲”です」
チヨリ 「欲?」
知識欲 「食欲、睡眠欲、性欲、そして私、知識欲です。」
チヨリ 「私ってムサイのか?」
知識欲 「さぁ、貴方の欲を視覚化したにすぎないので・・・ムサイですか?」
チヨリ 「いいわよもう、・・・で、何のようなの」
知識欲 「別に」
チヨリ 「なら消えてよ」
知識欲 「ま、しいて挙げるなら、それです」
手紙を指す
チヨリ 「・・・これが何なのよ」
知識欲 「そう、なんなんですか?」
チヨリ 「手紙じゃない」
知識欲 「手紙?誰から?」
チヨリ 「誰からでもいいでしょ」
知識欲 「アヤシイ」
食欲 「アヤシイ」
睡眠欲 「アヤシイ」
性欲 「アヤシイ」
チヨリ 「・・・・私が待っている人からよ」
知識欲 「そうなんですか?、それなのに「もうすこしだけ」?、」
チヨリ 「・・・・」
知識欲 「冷たいね」
食欲 「冷たい」
睡眠欲 「冷たい」
性欲 「(下腹部抑え)・・・・・・あたたかい」
知識欲 「え?」
性欲 「きっと、好きなんだ」
チヨリ 「す、好きじゃないわよ、あんな奴」
性欲 「アヤシイ」
知識欲 「あー成る程、好きな人からの手紙を待っているわけだ」
睡眠欲 「ラブレターですね」
食欲 「・・・・・おいしそう」
性欲 「な、好きなんでしょ?だって、ここに暖かい感じ伝わるもん」
チヨリ 「だったらどうだっていうのよ」
知識欲 「・・・・別に・・・・でもないか」
チヨリ 「どうゆう事よ」
知識欲 「今解りました。貴方がそうカリカリしてると困るんですよ」
チヨリ 「何かアンタ知識欲とかいう割にバカね」
知識欲 「勿論、”欲”だけで記憶による応用は持ち合わせてないですから、元々シス
テム的に別もんなんで・・・ま、そんな事はいいです。貴方のカリカリは困
るんですよ」
チヨリ 「何で」
知識欲 「何でって、我々は貴方ですから」
睡眠欲 「もっとしっかり寝ましょうよ。これでは、病気になりますよ」
食欲 「ちゃんと食べましょうよ、栄養片寄りますよ」
性欲 「私は特に無い。」
知識欲 「彼らが安定を保たないと私はどうもできません」
チヨリ 「安定って、何をすればいいのよ」
知識欲 「どうすれば安定しますか?」
チヨリ 「私が聞きたいわよ」
知識欲 「そういわれましても」
チヨリ 「使えないわねぇ。って、これは私なのか」
知識欲 「ハイ、使えなくてスイマセン」
チヨリ 「自分にバカって言われてるみたいでムカつく」
性欲 「でも、どうすればいいかしら」
知識欲 「その、貴方の待っている人に・・・多分男性の方だと思われますがその方に
会うのが最良の方法かと思われます。」
食欲 「会って、何か一緒に食べるのが良い」
睡眠欲 「そして、心地良い木漏れ陽の中、二人寄り添って寝ましょう」
性欲 「そうよ、ヤッてしまえばいいんだわ!」
知識欲 「いや、それは極論地味てませんか?」
性欲 「いいじゃん。気持ちいいんだから」
知識欲 「ま、最後のはアレですけど、どうですか?会ってみませんか?」
チヨリ 「・・・・・・・・それは無理よ」
知識欲 「・・・どうしてです?」
性欲 「そうよ」
チヨリ 「だって、どこにいるか解らないもの」
皆 「・・・・・・」
チヨリ 「今年で四年だよ、突然居なくなって、たまに手紙がきても、宛名も全部ワー
プロ。始めはそれでも嬉しかった。でも、最近は手の込んだイタズラじゃな
いかって思う。だって宛名しか書いてないんだから彼が書いて、・・・彼が
出しているっていう証拠にはならないもの。」
知識欲 「では何故さっき80円払ったんですか?」
チヨリ 「期待したのよ、直筆の手紙を、変に片寄ってて下手くそな字・・・あの下手
くそな字の手紙が読みたいな。ワープロの手紙なんて、レンジで暖めた御飯
みたい。」
食欲 「あー、暖めてもなーんかあったかみが無いんだよねぇアレって、やっぱり科
学って人の心には追いつかないよねぇ」
性欲 「黙って」
知識欲 「ま、まぁ、そんなに焦らず、ね、彼の為に色々がんばって」
チヨリ 「何を頑張ればいいのよ」
知識欲 「え?」
チヨリ 「待つ事しかできないのに何を頑張ればいいのよ!」
知識欲 「・・・・・」
チヨリ 「ね、答えてよ何を頑張ればいいの」
知識欲 「・・・・・」
チヨリ 「私がわかんないのに、その深層心理に聞いたって解るはずないか・・・」
知識欲 「・・・・・・・待つの頑張りましょうよ」
チヨリ 「・・・・・・・・・・」
知識欲 「頑張って頑張って頑張って待ちましょう」
食欲 「そうだよ、頑張って待とう!」
性欲 「そうね。待つの頑張ろう」
知識欲 「今やれる事が、”待つ”事なら、それは頑張る事ができるって事です。頑張
ってみましょう。」
チヨリ 「でも、」
知識欲 「そう、待つのは最も辛い事ですよ。自らが動けないから、結果が実感として
得られるかどうかも解らない。でも、そこには期待が存在する。待ってる間
だけそれは存在するんです。今辞める事は期待を放棄してしまいます。それ
でもいいんですか?」
睡眠欲 「頑張って待てよ」
食欲 「頑張って待てよ」
性欲 「頑張って待とうよ」
知識欲 「頑張って待ちましょう」
チヨリ 「でも、」
食欲 「頑張って待とう!」
食・睡 「頑張って待とう!」
食・睡・性「頑張って待とう!」
欲全員 「頑張って待とう!頑張って待とう!頑張って待とう!頑張って待とう!頑張
って待とう!頑張って待とう!」
ナオタカ小包抱えて
ナオタカ 「ぴんぽーん、ゆうびんでーす。チッヨリちゃーん。ゆうびんだよう!」
チヨリ出る。
ナオタカ 「ハイ、小包。差出人不明パート2。でも、料金はちゃーんと払ってあるわ。
判子ある?」
チヨリ 「あー場所わかんない。」
ナオタカ 「じゃ、サインでいいわ。ハイ、ペン。」
サインする
ナオタカ 「ハイ、受領書、・・・・・・泣いてた?」
チヨリ 「え、そんな事ないよ」
ナオタカ 「あ、そ。んじゃね。」
チヨリ 「あ、ナオタカ」
ナオタカ 「ん?」
チヨリ 「さっきはゴメンね」
ナオタカ 「え、あ、ハイハイ。んじゃね」
ナオタカ元ポジ
チヨリ小包を開けようと座る。それを囲うように欲が並ぶ
性欲 「何何?」
食欲 「食べ物?」
知識欲 「いえ、クール便では無いですから最低限それは無いでしょう」
性欲 「早く」
開ける。中には箱いっぱいの綿(細かくフワフワ状態)
チヨリ綿を手に取り、少しもて遊び加減で、
知識欲 「綿?」
睡眠欲 「私の枕にちょうどいいの」
もて遊びながら、フト気が付く
チヨリ 「”君の誕生日に雪をプレゼントしよう”」
食欲 「雪?」
知識欲 「彼の言葉ですか」
チヨリ 「雪」
睡眠欲 「いーえ綿ですよ」
チヨリ 「私にとっては雪!」
知識欲 「この時期にこんなに綿にまみれたらカブれるあもしれませんよ」
チヨリ 「雪!」
綿をいっぱいに抱えて、ぶぁっと投げる」
チヨリ 「ホラ、雪!」
ピチカートファイブの「メッセージソング」
綿ドバーーーーー
知識欲 「全く(でも嬉しそう)」
皆いろんな所から綿を持ち出して投げあったりして楽しい。客席だろうと何だろう
と綿だらけ!絶対メッチャ楽しい。
綿まみれの中、箱の底に何かがあるのに気が付くチヨリ。
手紙を開く(曲ストップ)
だんだん優しい顔になって
チヨリ 「バーカ」
曲再び入る(この切り入りはタイミング測ってね。ここは曲の流れを重視)
チヨリしゃがみ込み、泣き。
皆やったぁ、よかったぁと連呼しながら大盛り上がり。
照明F.O.
照明F.I.
綿だらけの中で座っているチヨリ、楽しそうに綿をいじっている
BGM少し落とし加減
「ピンポーン」とベルの音(SEではなく、生音調達)
無視して遊んでいるチヨリ
「ピンポーン、ピンポーン」
無視しながらも嬉しさを隠せない「ククククク」と笑うチヨリ
「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」
チヨリ 「ハーイ、開いてますよー」
といいながら倒れる。笑うチヨリ。仰向けで笑いながら、ドアの方を見て、
チヨリ 「おかえりなさい」
照明F.O.
終わり
おお、三時間で書けた。
これ読んだ人が元気になれるといいね。そうなれば最高ッス。
企画者 志村直希 1997/05/17
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