あさはかな評論

現在以下を公開中
〔志村がここ何年か映画館で観ている映画リスト〕
近藤喜文の死
奥山の終焉
そして、世界は革命する
青は、危険な匂いがする
邦画におけるセオリー
20億の幻想
踊る大映画館
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近藤喜文の死
近藤喜文氏が亡くなってしまった、しかも47歳という若さで、映画監督としては「耳をすませば」がデビューかつ遺作になってしまった。
彼は本来アニメーターからみれば、超ベテランで、スタジオジブリの作品を始め、過去を見てみれば、「赤毛のアン」や「母をたずねて三千里」「アルプスの少女ハイジ」といった、高畑(演出)&宮崎(場面構成)コンビを支えるアニメーターとしてその腕をふるっていた。しかし、それがもう見られない。動脈瘤によって、彼はもう世に出る事がなくなってしまった。彼にとって最後の作品が「もののけ姫」になってしまった。宮崎監督がジブリを退社して、新たにつくる「シニアジブリ」でもチーフアニメーターなノリで活躍するはずだった近藤喜文氏。あの暖かいタッチがみれないのは残念です。月刊誌「アニメージュ」での連載も、今月号分が最後なのかもしれません。ご冥福をお祈りします。
関連:スタジオジブリ
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奥山の終焉
松竹の名プロデューサー奥山和由氏が専務から解任されるという事件(?)が起きた。奥山氏は現在「シネマジャパネスク」を実行中で、それに関係している十数作も、制作中止になるかもしれないという事だ。
このニュースを聞いてまず思ったのが、角川内紛時の事、角川兄弟の喧嘩によって、角川弟(歴彦)は、有志をつのり一斉退社、メディアワークスを設立する(現電撃系の雑誌がそれ)この話しは面白いからいずれ書くとして、結局この騒ぎの場合、角川兄(春彦)が、麻薬所持による逮捕から派生した、弟召集劇で幕を閉じるのだが、今回の場合、大谷家対奥山家といった具合で事が起きている、現時点では奥山&ロバート・デ・ニーロの進行中の企画も流れる可能性があり、非常に勿体ない状況になりつつある。奥山氏の独断先行の形が槍玉にあがっているのが今回の事件なのだが映画をもりたてる意味で貢献していたのも彼以外の何者でもない事もまた事実である。映画の回収はほとんどの場合宣伝できまる。今回の場合は制作費は上げた物の宣伝費に力が入ってなかったりなどの事による興行不振等に関しても叩かれているが、松竹の場合、他の映画会社よりも宣伝の面が弱いので、自らの墓穴を露呈させたかのようにも見える。ま、いずれにしろ、日本で唯一有名な映画プロデューサーを降ろしてしまった松竹が、映画の面でどうやっていくのかは見物ではあるが、アニメをヒットさせた、東宝や、東映に比べると不安材料もまた今回ので残してしまった。
関連松竹
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そして、世界は革命する
「少女革命ウテナ」の映画かが決定した、元々宝塚をベースに、”表現”を全面に押し出してシュールな世界観を形成し、偶然ではあるがクリスマスイブに最終回を向かえるなど、ケレン見たっぷりのアニメが映画化される。アニメその物が「エヴァ」とは違い完全に39話という指定された形で終了した本作で、どう映画になるのか興味は尽きない。
TVでは、世界を革命するという「ディオスの力」と「バラの花嫁」と言われる”姫宮アンシー”をめぐる物語だったが、結局、ディオスの力など発動せず、世界は革命されず、「バラの花嫁」であり魔女でもあった、”姫宮アンシー”を、その呪縛から解放する事によって、物語は終了した。つまり、
世界を革命しなかったが、少女は革命されたのだ。
その作品が映画化である。どんな物語を映画に持ち込むのかは全然想像もつかないが、原作のビーパパスは「TV版の『ウテナ』以上に『ウテナ』らしくする」というテーマのもと企画を進行する。公開は、多分来年の春当たりになるのだろうが、今から楽しみである。
また、このアニメは「もののけ姫」以上に「エヴァ」と比較されやすい。「エヴァ」シンジの性格的モデルが本作品の幾原邦彦監督だからという事や、日本の昔からのアニメの方程式上から派生している作品だからといった事からも言える。大友克洋監督や押井監督スタジオジブリなどのアニメ群は、実写に近づいていこうという名目の元制作されている、結果、日本のアニメ作品のなかには「これがアニメである必要があるのか?」といった議論もしばしばされるが、その中であくまでアニメの方程式で、挑戦しているのは、もはや、ガイナックスを筆頭とした小数である。その中に「少女革命ウテナ」がある。宝塚ラインと、少女マンガの融合によるこのアニメが、劇場でどんな”表現”を醸し出すのか、興味が尽きない。
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青は、危険な匂いがする
「PERFECT BLUE」を観る。ま、話の内容をみれば、「ストーカーまがいのサイコスリラー」というジャンルになるのだが、この映画は、かなり危険である。ストーリーはあえて言わないが、これを観ていて客の反応が面白かった。最初OPの部分にやや肩すかしをくらい「ああ、こういった感じの方向なのか?」と、感じてしまうのだが、あれよあれよという間に、物語に引きずり込まれていく。極自然に、ある種のドラッグムービー感もあるのだが(というよりは、こういった物では割とよくある映像的手法)それを上手く配置しみせているため、観ていてこぎみいい。
それにしても良く動いてたなぁ、意外と(アニメにしては)ワンカットが長いため、それに見合う動きが要求されていてそれに作画もちゃんと答えているし、脚本の質も高い。カナダの映画祭でファン投票によってグランプリを取ったのも頷ける。日本であれば、まぁ、馴れてしまっているシーンも多々あるが(というか、この映画に関して言えば、細かい所がちゃんとしているため、逆に観ていて怖かったのだが)こういうのはもっと、公開館数増やすべきだと思う。単館ロードショーのような公開館数じゃ、ハッキリ言って勿体ないことこのうえない。
と、思っていても、アニメってやはり公開館が基本的に少ないよね。勿体ない。今、確実に利益を上げられる。映像媒体の一つであるのに(余談)。
注:この映画はR指定です。
関連:PERFECT BLUE
PERFECT BLUE
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邦画におけるセオリー
声優、國府田マリ子の主演映画「Looking for」を観てきました。良くも悪くも日本映画でした。元々地声に近い声で声優業を営んでいるため映画としてでた場合その高音さが、耳にいたかったけれども、映画その物は心地よいくらい、そつなくまとまっていたのです。
そうです、この映画には映画の作り方のお手本としての出来があるのです。脚本の段階でみた場合、少し前の青春型ロードムービーで、ま、普通のできです。もう少し遊びも欲しかったけれどもOKです。で、役者が多少難あり(映像に合わない声とかね)なのですが、ここで凄いのは監督の技量です、本当に凄いです。まるで映画監督を目指す人は観ろ!といわんばかりのしっかりしたカメラワークとタイミング。多少長い感じのするシーンもあるけれども、全てのシーンをきっちり丁寧にしっかりした態度で撮っているのが良く分かります。ただ、惜しいとすれば、ライブのシーン。そつなくしっかり撮れているのはいいのですが、もっと、ライブビデオとかミュージッククリップのノリでガスガス撮っても良かったのではと思ってしまいます。画面その物が安定しすぎてるんですね。
でも、そうは言ってもそれ以上の収穫を得る事のできるしっかりしたいい映画に仕上がっているのです。
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20億の幻想
CD−ROM「蒼きウル凍結資料集」を購入しました。フッフッフ。eggplantの「ウル」でこの話をせず、この「邦画の底力」に持ってきている所が、eggplantらしさですねぇ(笑)。
それにしてもこの「凍結資料集」なるモノは凄いです。92年に制作開始した映画「蒼きウル(庵野監督版、以下”庵野ウル”)」資料集としてはこれでもかの量でごっそり入っています。脚本・絵コンテはもとより設定資料やイメージボードに至るまでかなりの量(600点以上)盛り込まれていてかなりお買い得なCD−ROMです(流石に原画は収録されてませんが、これで、企画書が入っていたら、パーペキでしょう)。
それにしても全面を通して感じられるのが、やはり原作・脚本の”山賀色”フライトアクションの動画を見てみないと事実何も言えませんが、かなり僕好みなラインです(笑)。いやぁ早く2001年にならないかなぁ(注:現在制作中の「蒼きウル(原作・脚本・監督:山賀博之)」は2001年公開へ向け制作中)、でこの映画で演出として参加しているのが、鶴田謙二氏。マンガ家で「the spirit of wonder」や「forget me not」等の作品で知られる(というか、最近ではイラストレーターとしての方が知られているか?)方なのだけれども、絵の方でなく演出で加わるというのが興味のある点です。一体どんな演出を見せるのか?とまぁ、つらつら書きましたが、今回はこの辺で、さぁ、僕は世界の中心が「ウル」に移行しつつあるっす。
関連:ガイナックス
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踊る大映画館
満を持してという言葉が似合うような形で「踊る大捜査線」が公開された。元々はTVシリーズの映画化で、製作したのはフジテレビ。まぁ、作品の質的な物を考えてみると最も映画をろくに考えてない(失言)している映画作りをしていたものが多かったが、「踊る大捜査線」は、TVシリーズのメンツをそのまま引っ張ってきたのにもかかわらず、一つの映画として見事に結実していた。
脚本の出来がまず良い、TVシリーズにあった複数の話を盛り込みかつスピーディな展開を二時間の中にギュッっと押し込み、しかもその中にTVシリーズで見せた名台詞も丁寧におりこんでいく、それをTVメインの演出の本広監督がキッチリ画にしていく、小気味の良いテンポが見ていて飽きさせない。ああ、今年はこれっすね。と言う感じだった。
かつてTVシリーズを映画にしたことは多々あるが、それで作品の質&興行的に成功しているのはアニメ映画と、寅さんシリーズ位で、他に例は見られない(「あぶない刑事」?。あ、そうね、あれもそうか)。
この作品って、もうちっと続けられそうだけど、これで終わっても良いし微妙なところだけ、所謂寸止め(笑)、いまがちっといい気分ですね。
因みに現在の興行状況ですが、「もののけ姫」や「タイタニック」並の勢いだそうで、とりあえずこの秋の映画の中ではトップでしょう。このまま邦画のトップも狙えるでしょうね。
関連:踊る大捜査線
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