あさはかな評論

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景山民夫という存在
荒廃の先に見える物
うたたねひろゆきの五年


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景山民夫という存在

 景山民夫については以前も書いたような気がするけど、今回亡くなってしまったのでもう一度、景山民夫といえばやはり「遠い海から来たcoo」だろう。直木賞をとったからというわけでもない僕が純粋にこの小説が好きなのだ、前半部の美しい自然描写と生物描写、そして後半のアクション描写といい、前後のギャップが激しいのだが、それがまた妙な作品だった。「幸福の科学」の布教に入ってからは少しアレな感じもしたが、書き上げてくる作品は面白い物が多かったし、番組で見ていても面白い人物だという事には変わりなかった。ただ、今回のような、火事で亡くすには非常に惜しい人だった事にはかわりないのだ。これを気にもう一度「遠い海から来たcoo」を読んでみようかとも思う。僕自身が景山氏を最後にみたのはTVの企画物クイズの時、上岡龍太郎が、景山氏に対し、「coo」の最後の一文はなんだったかをクイズで出して、その記憶力を試したのが思い出される。景山氏は、悩んだ挙げ句、ちゃんとした答を出した、「さよならcoo」と。

今回の本:「遠い海から来たcoo」
     角川書店より発売中

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荒廃の先に見える物

 僕の最高に好きなマンガに「D[di]」がある。僕自身の書いた小説「”L”」のタイトルイメージがこれからきているのだけれども、このマンガは基本的にSFの設定を根底におきながらも実はサバイバルマンガに他なら無かった。突然の奇病で人類の大半が死に、生き残った人間達は「何故自分が生き残ったのか?」を不安に駆られながらすごしていく。終末観漂う設定ではあるが、この著者である洞沢由美子さんの絵柄の透明感が重い雰囲気にはさせず”今”を感じさせる少女マンガとして成功している。
 これと似たような設定で最近刊行されたマンガが遠藤浩輝氏の「EDEN」こちらは完全にSFで入っておりロボットも出てくる国連も出てくるさぁ戦争だといった雰囲気になっている、しかし展開される話はとてもドライだ。大河ドラマの様相を呈しているので一体どういった方向へ向かうのかが気になるが楽しみな事にはかわり無い。
 こういったマンガはエンディングの持ちかたが難しい。変につっぱねるのもオカシイし、逆にエンディングを作り上げるのもオカシイ、単純に平行線で「それでもこの星は・・・」で繋ぐのが綺麗なのだが、それはもう最初に述べた「D[di]」でやってしまっている。この「EDEN」がどういうエンディングを向かえるかはまだ解らないが、前例のあるエンディングにはならない事を祈りたい。

今回の本:「D[di]」 洞沢由美子作
     徳間書店及び主婦の友社から発売中
     「EDEN」 遠藤浩輝作
     講談社から発売中(98年現在アフタヌーンで連載)

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うたたねひろゆきの五年

 うたたねひろゆき氏の「リスティス」の第二巻が今月発売となった。前作第一巻から三年という月日は、マンガに於いては珍しい事ではない(「アップルシード」や「攻殻2」は今世紀中にでるのかしらん士郎正宗さん(願))しかし、この作品で最も注目すべき箇所は連載ブランクである。第一巻分の掲載されていた時期は92年、第二巻分の掲載時期は97年である。
 本人が遅筆な訳ではない。元々これには角川書店内での兄弟(角川春樹&歴彦)喧嘩による一時的角川崩壊が端を発している。「リスティス」はその状況を良く表していた作品の一つなのだ。
 角川崩壊を機に角川歴彦氏を中心に、旧角川メディアオフィスの大半の社員が彼に着いてきて立ち上げたのがメディアワークス。そう、現在電撃系の雑誌を編集している編集母胎である(発行は主婦の友社)。ここの出す本の快進撃ぶりは、PSゲーム誌上で最高の売上を記録している電撃プレイステーション(注:創刊から読んでるけど、パワーとテンションは全然落ちていない)等を見ればわかるところだと思う。
 角川春樹氏逮捕後歴彦氏の角川復帰で、メディアワークスはその傘下的な立場になるが、この時(内紛時)問題になったのが連載作家のやりとりである。このゴタゴタに紛れて打ち切りになったものや新連載になったものも後をたたないし、事実メディアオフィスで抱えていた売れっ子作家(「ナデシコ」の麻宮騎亜氏等)は、連載雑誌を点々として、作品を繋げていくという事もあり、当時のファンは、困惑したに違いない(ちなみに麻宮氏の「サイレントメビウス」は、ゴタゴタによる新雑誌に「メビウスクライン」というプロローグ作を執筆後「コミックドラゴン」で再開)。

 そんな中最も中に浮いた感じだったのがうたたね氏の「リスティス」である、これはパソコン誌「コンプティーク(角川書店)」上で連載が開始し、内紛により、連載中断(内容的には二巻の途中まで描かれていた)その後電撃コミックス(主婦の友社)で第一巻を発売、そしてコミック電撃大王で連載を再開し、今月第二巻を発売するという経緯に至っている。こういった形でやっと落ち着いた本作。ちゃんとエンディングまで向かえてほしいと思う。だって、二巻絶対出ないと思ったもんなぁ・・・。
 ちなみに、「リスティス」はいわゆる剣と魔法の世界の話なのだが、エロマンガ時期の頃の方向性がたぶんにでていて非常に面白い、「うたたねワールド」全開なのである。

今回の本:「リスティス」 うたたねひろゆき作(原案:武田俊也)
     主婦の友社より発売中(コミック電撃大王で連載中)

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