書き散らかしその1:フランク『贖罪』について(『e-mailかわら版』各号より抜粋、「贖罪ってどんな曲?」より改題)
※『e-mailかわら版』とは、私が千葉フィルのコンマス時代に作っていた非公式のメールマガジンもどきです。
---vol.3(1997年3月14日発行)より---
今回の曲目の中で、まず間違いなく一番知名度の低い曲でしょう。この曲はもともと、同名のオラトリオの中に、
第2部として書かれたのです。
当時の記録によると、初演のときはオーケストラがさんざんの出来であったため、かなり不評だったようです。それと
いうのも、一緒に別の作曲家の曲が初演されることになっていて、その作曲家が自分の曲に練習時間の殆どを費やして
しまったために、フランクの曲(「贖罪」)は譜読みすら満足にできていなかったからだといいます。しかし彼は不評の
原因を自らの作品に課し、大幅に改訂したのだそうです。
作品は3部に分かれており、合唱等を伴う第1・3部をつなぐ、いわば間奏曲的な役割を果たしています。それが今日では
独立して交響詩として演奏されるようになったのです。
フランクの作品は3つの時期に分類されていますが、このオラトリオは第2期の終わりに位置付けられています。フランクの
特徴である転調の多用や循環形式は、その後晩年までの第3期に完成されてゆきます。有名なバイオリンソナタや交響曲は
もちろん第3期の作品です。
さてさて、16日の練習ではいよいよ贖罪の初見大会です。学生時代からずっとやりたかった曲なのでとっても楽しみです!!
--- vol.4(1997年4月29日発行)より---
贖罪ってどんな曲?ぱーと2
まだCDを買っていないという方のために、 私のもっているCDをご紹介しておきます。
1.ジョルダン指揮 スイス・ロマンドo.c/w フランク/交響曲ニ短調エラート WPCC-3745
2.プラッソン指揮 Orchestre du Capitole de Toulouse (オラトリオ「贖罪」全曲,外版)EMI 7243 5 55056 2 0
3.クリュイタンス指揮 ベルギー国立o.(フランク/交響詩集,外版)EMI 7243 5 65153 2 1
1,2はデジタル録音。
この中では、1,が一番軽くて聴きやすい演奏ですね。 わたしはこれを最初に聴いたので、他のはどうも重く感じてしまいます。
2,は、この中で一番重いです。選曲会の時にこれをかけていたら、 まず間違いなく選ばれなかったでしょう。また、このCDは
もともとのオラトリオが全曲入っています。 歌つきですが、当然のことながら歌詞対訳はないので、英語かフランス語の得意な方、
ぜひ翻訳してください。 録音はこの中で一番新しいようです。
3,録音は古いですが、他にもフランクの交響詩が3曲入っているので、 フランクの交響詩に興味のある方にはお勧めです。