闇のすとれんじゃー


scene:12
<エピローグ>

陽が、だいぶ傾いている。まもなく夕暮れの闇があたりを覆うだろう。
校庭にはほとんど人影はない、一般の生徒はとっくに下校している。
「かぁーー! ちょ暗じゃん!」
「しゃれになんねぇーよなぁーー!」
(・・・これも女生徒どうしの会話なのだが、文字だけ読むととてもそうは思えない・・・)
遅くなったクラブ活動を終えて、数名の生徒が長く伸びた影をひきずって校門に向かう。
私立理光学園高等部。4階。1年A組の教室。
晴美のクラス。そして自分の席で、机に頬をあずけて晴美が眠っていた。
「よろしいのですか?バビル様」
黒ヒョウの姿のロデムが、(やっぱ、こうでなくちゃ!)
いまは再び詰め襟の学生服に身を包んだバビル2世に問いかけた。
「ロデム、彼女にはもう超能力は無いんだ」
「え、では?」
「うすうすは気がついていたんだろうな、自分の中に眠る<力>のせいで狙われていたことを、」
「だから彼女は、自分で自分の能力を消し去ってしまったんだ」
しかし、なんという能力だったのだろう。あのとき解放された晴美の<力>は、ヨミの基地のある島そのものを完全に消滅させてしまったのだった。疑いもなく晴美は地上最大の超能力者、で、あった。
「彼女の超能力が失われたことは、ヨミにも、他の国にも、すぐわかるはずだ、彼女はもう安全だよ」
「残念ですね、これほどの超能力者が協力してくれたなら、」
「ロデム、普通の生活を送るのに超能力なんて必要ない、いや、かえって害になるだけさ、
 そんな力はない方が幸せなんだ、」
教室に並ぶ机、椅子、掃除用具を収めたロッカー、ゴミ箱、壁に貼られた「お知らせ」の紙、
教壇に教卓、黒板、チョークの匂い、粉にまみれた黒板消し。
「短い間だけど、普通の学校生活を送ることができた、
 ・・・楽しかったな・・・、」
「バビル様・・・」
「誰かいるのー?」
外の廊下から、見回りの教師(古典の里見先生のようだ)の声がした。
振り返ったバビル2世、いつもの不敵な超能力少年に戻っている。
「いくぞ!ロデム!」 「はい!」
薄闇にしずむ空に、黒ヒョウを連れた少年の影が一瞬浮かび上がり、消えた。

ガチャ、
「あ、寝てる。しょーがないなーもう、ほら!起きなさい!」
「うぅん、」
「ほら!もう暗くなるわよ、早く帰らないと襲われちゃうから・・・」


−−−−− END −−−−−


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