読者からの反響 99/07/06
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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年寄りはいらないのか・・・
T. O. (広島県、内科医師)

初めてお便りします。 私は医師になって 6年になる内科医です。 インターネットを検索していたら、このホームページに出会いました。 医療事故や脳死問題など、いろいろな話題が出ていて、興味深く読ませていただきました。

読者の反響のページに、医師からの声も多く見受けられるように思いましたので、日頃困惑していることをここでうち明けて、できればみなさまの声も聞かせていただければ幸いに存じます。

私はこの 4月より、個人経営の老人病院に勤めさせていただいています。 もともと私の専門が内科医でもあり、日頃から高齢者医療が中心でしたので、なれていたつもりでしたが、やはりこれまでの考え方では通用しない部分がたくさんあり、戸惑っています。

現在の勤務先の病院は、入院患者平均年齢 88歳くらいです。 おうちに帰れる方もいますが、ご家族が受け入れられず、老人ホームよりは病院の方が聞こえがいいからと (二回ほど、デイケアや老人施設をすすめたご家族から言われました) 長期入院の方ばかりです。

また、病院の方針なのか、少しでもご飯が食べられなくなると、中心静脈栄養に切り替えたり、呼吸状態が悪化するとただちに人工呼吸管理を開始したりということになります (当然、もともと脳梗塞や肺結核後遺症のかたがほとんどですから、いずれ気管切開となり、痰におぼれてしまうのは目に見えています) 。 最近、点滴を自己バッキョするからと患者を抑制していた病院が訴えられて敗訴になったため、当院では抑制しませんが、ベッドから転落するお年寄りは後をたたず、ご家族も付き添いは拒否されるのに抑制するとお怒りになるのは少し勝手だと思います。 ベッドを工夫すればよいのでしょうね。 でも全部のベッドを交換するだけのお金があったら! 従業員は毎月減っていく給料にちょっとおびえてます。

確かに人命は大切だと思いますし、その患者さんがまだ生きるパワーが少しでも残っている、また死をおそれ受け入れられない、という状態であれば、不承ながらできるだけの手をつくしたいと思っています。 ですが、97歳、105歳の女性の体中に管を突き刺していくのはどうなのでしょう。 彼女は痴呆のため、何の意思表示もできません。 本当に濃厚治療を受け入れてくださっているのか、何度も管をさしては抜かれることを苦痛と感じておられるのかどうか・・・・。

一方、現在の医療費はというと、高齢化社会のため、老人医療費がかさむばかりとなっているようです。 そして医療費削減のためのしわ寄せが、結局弱者にふりかかっているように思えてなりません。 (たとえば慢性呼吸不全の患者さんの摂取エネルギーを少しでも増やそうと私はこれまでエンシュアリキッドなどの医薬品栄養剤を使って、点滴にくる回数を減らそうと試みていましたが、基本的には注腸栄養なので、今後は保険に通りません)

そうして私の勤務先をふりかえってみると、私はこれでいいんでしょうか。 今は病院側ばかり責められているように思います。 もちろんこれまでの経営自体ずさんだったし、医者も勘違いしてるヒトが多かったし、開業してひともうけ、なんてほんとはあってはいけない話だったのだから入院期間の短縮化などを制度化していくのは当然かもしれませんが、今の老人医療の実体を、もっと、今はそうでなくても今後必ず年寄りを抱えることになるみなさんにわかってほしいと思います。 私も働いていますから、大変さはよくわかります! (女性の負担が増えるんです) でも、もっと前向きに、みんなで、在宅医療のありかたや、上手な施設の利用のしかたを考えられればいいのにと思います。

長くなりましたがすみません。 もしこの文章が掲載されることがありましたら、みなさんからのおしかりも含めていろいろ教えていただければうれしく存じます。


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