読者からの反響 98/06/18 インフォームド・コンセントは患者を救わない
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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インフォームド・コンセントは患者を救わない
池之上 公 (福岡市、内科医)

最近、インフォームド・コンセントに関する新刊を読み終えました。 下の文章は、あるところに私が新刊紹介として書いた文章そのままです。 カルテ開示は「必要」ですが、現在の状況のまま、「医師と患者の対立に対する 担保」のような形で公開が始まるのは問題かもしれませんね。

インフォームド・コンセントは患者を救わない
著者 名取春彦
発行所 洋泉社 101-0051 東京都千代田区神田神保町 3-2-7 03-3265-0153
ISBN 4-89691-317-5
価格 \1800 + Tax

以前から「インフォームド・コンセント」は、医師の知識誘導の道具に成り得ることを心配していました (その具体的問題点は私が述べるより、本書を読んで下さい)。 著者は、

  1. 「インフォームド・コンセント」の成立の背景
  2. すでに実行しているアメリカでの問題点
  3. 「インフォームド・コンセント」を推進する法律家・医師の考え方の陥穽

のすべての面において、事実を列挙し、考察を加えます。 十分な検討がなされないまま、「インフォームド・コンセント」が広がったとしても、それは「医者の道具」になる可能性が高く、本当に患者のためになるのか極めて疑問だと言わざるをえません。

著者は、『本当に必要なものは、 (言い古されているように) 「医師の資質」である』と、残念ながら画期的な解決方法がないことを嘆きます。 しかし、「医師の資質」が客観的に評価できないことこそが問題であり、次善の策として「セカンドオピニオン」に期待を示し本書は終わります。 目次だけを見ると、

など、一見「反動的・保守的」と感じる項目があります。 しかしその内容は決して時代を逆行するものではなく、「患者のための医療を実践する」ために必要な真摯な考察が感じられました。 本書の前半は、がん治療・検診を批判する近藤誠氏への賛辞と、近藤氏発言の問題点の抽出です。 この部分も大変興味深いところです。

医療に関心を持つすべての人にお勧めします。 ややマイナーな出版社 (失礼) から出ていますので、書店での入荷冊数が少ないでしょうし、地方では入手しにくいと思われます。 この点が心配され非常に残念です。


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