読者からの反響 98/03/20 「群盲、象をなでる (2)」
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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群盲、象をなでる (2)
上手にステロイドを使える医者が名医
T. M. (愛知県、呼吸器内科・アレルギー科医師)

私の声 「1997年 8月 24日 ステロイド薬害と私の娘のアトピー皮膚炎治療」 で全く触れられていない、欠落した重要なことがあります。

このページに書いてあるステロイドに関しての議論は、オール・オア・ナッシングの議論に終始し、前述した、ステロイド外用剤の強さと使い分けについては、患者の側からも、医者の側からの何も情報のやりとりもここには書いてありません。

ちなみにステロイド外用剤は、strongest, very strong, strong, medium, weak の 5段階に薬効が分類されます。 副作用の強さを示す、血管収縮係数という指標で見ると、最弱のものが 0.5以下、最強のものが 1,900と、実に4,000倍もの開きがあります。 この違いを、無視したまま、じゅっぱひとからげに「ステロイド=副作用の塊り」的な発想をしてはいけません。 子供が乗っている三輪車と、20トンダンプカーとを同じ交通機関として扱うくらいに相当するでしょう。

また、皮膚では、顔面、間擦部、頸部、陰股部、外陰部などは他部位に比べて、吸収が多くなるという差異があります。

またODT (密封法) による投与など、投与法の違いや、投与期間の違いでも、効果・副作用は異なってきます。 これらを無視して議論してもいけません。

(ヤブ医者は、この辺を知りません。 自分の主治医がヤブかどうか心配なら、このことを聞いてテストしてみるのも名医の見分け方になります。)

ここに登場するU先生は、かなり良い先生のようですが、こうしたことまでお話になられたのでしょうか。

引用ですが・・

このU先生が大当たりで、私たち新米親の心構えから、アトピー性皮膚炎の治療方針まで、時間をかけて説明してくれるのです。 説明資料まで、もらえるんですよ。 おかげで、時間はかかりましたが、半年後には、頬もひじも背中も、皮膚炎はきれいに治ってしまいました。\(^o^)/
確か、2〜3年くらい前でしたが、NHKで、欧米でのアトピー性皮膚炎の治療についての特集をやっていました。 それによると、まず患者に、これから行なう治療についての詳細な説明を1〜2時間かけて行ない、外用剤の塗り方の実習もまた同様に時間をかけていました。 また良くなってからの、良い状態の維持について、住環境の整備なども、患者さんごとに調査した上、丁寧に説明をしていました。 もちろん、一番最初の皮膚炎の極期にはその患者に合った最適の強さのステロイドを、最適の方法で投与していました。

アトピーでは皮膚が脆弱になっており、そこに感染やアレルゲンの接触が起こり、炎症を起こす。 それにより痒みが起こるので皮膚を掻爬して、ますます炎症がひどくなる。 ここで悪循環が起こり、皮膚がより脆弱になり、またまた炎症がひどくなります。

治療としては、次の様な治療を組合わせる必要が有ります。

勘の良い方なら、お分かりかと思いますが、ステロイド剤などはアトピー性皮膚炎の治療のほんの一部分を司どっているにすぎないのです。 他の治療を整備しないで、ステロイドだけでのコントロールなど所詮出来るはずはありません。 ステロイド剤は、あくまで極期の抗炎症剤と割り切って、思い切りよく使い、落ち着いたら他の治療を重視するという切り換えが必要なのです。

ところが、3分診療のなかでは、良く効く薬、として簡単にそれだけ投与し、しかもそれだけに頼ろうとするので、過量長期投与となり、一時的には良くなっても、治らない、副作用で悪化するという事態を招くわけです。 (説明しない、できない医者と、その医者を見ぬけないほど勉強不足の患者と両方ともお粗末)

そのことを、見ないで、ステロイド・オンリーの治療をやっている医者をみて、すべての罪をステロイド剤になすりつけるのは、ステロイドへの冤罪にあたるでしょう。

逆に、上手に他の治療法と組合わせて、使用法を十分に説明した上で使えば、ステロイドほど副作用が少なく、しかも薬価が安く、良い薬はないのです。 上手にステロイドが使える医者が名医なのです。

(巷では中学生のナイフ所持が話題になっていますが、ナイフそのものが悪いのではなく、使う側が間違った使い方をしているのがいけないのだ、という意見がありますよね。)

U先生が、十分に説明をしてくれた良い医者だということは、判ったのですが、ステロイドを使わないという点を、それに重ね合わせてしまうのは、問題をどこかすり替えているような気がします。 (その先生がステロイド剤についてどのように話していたのか知りたいですね。)


T.M.さんへの返信 (98/ 3/23)

このページで私が言いたかったことは、 「娘の皮膚炎の治療法でうろうろする患者の姿をとおして、病院情報の公開と、診療の成功報酬を提言すること」 だったので、ステロイド治療の優劣については、言及していません。 しかし、タイトルが「ステロイド薬害と私の娘のアトピー皮膚炎治療」なので、「問題をすりかえてる」と言われても無理はないな、と思います。

さて、最初に U医師にかかったのは、1996年12月〜1997年4月頃にかけてのことです。 塗り薬を2種類(ひとつは、アンダーム、もうひとつは名前を忘れました)。 それに抗アレルギー剤 (インタール)を飲んで、保湿剤としてワセリンを塗ったり、入浴剤を使ったりしているうちに皮膚はきれいになりました。

当時は、 「インタールって効くんだなー」 と思ってました。

ところが、昨年9月、医薬ビジランスセンター JIPが主催したセミナーに出席したときのことです。 薬害に関するセッションが主だったのですが、アトピー性皮膚炎に関するセッションがあり、参加したところ、 「日本では欧米と比較して、治療効果の少ない抗アレルギー剤の使用率が異常に高い」 という話を聞きました。

セッション後、講義をしていた医師のひとりに、 「うちの娘の皮膚炎はインタールを使う治療で治ったんだけど」 と話したところ、 「インタールが効いたとは思えない。放っておいても治ったのでは」 と言われました。

「冬の乾燥した季節が終わったから治ったのかもしれないな。 ま、ステロイドを使わずに治ったのだから、U医師の治療方針は正しかったのだ」 と考えることにしました。

ところで、娘の2度目の冬がやってきて、また皮膚炎ができてしまいました。 前回ほど痒くはないようで、今年の1月頃から、アンダームなどを塗っていました (今度はインタールは処方されませんでした) が、なかなか治らないし、痒みがひどくなってきたようなので、先週、U医師に相談したところ、ステロイドの「アルメタ」を処方してくれました。

「ワセリンで2倍に薄めて使うように。良くなってきたら、3倍に薄めて塗りなさい」 という説明どおりに、痒そうにしている背中と足首に使い始めたところです。 U小児科医院は、院外処方で、薬局で薬を買ったときに、ステロイドの血管収縮係数の5段階の表をもらいました。


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