読者からの反響 03/04/21
最終更新日: 2003年07月21日、 アクセスした日: 12月14日

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裁判の感想
N. H. (不明、不明)

なぜ貴方が被告医師を責めるかわかりません。 被告医師は根治しようと努力されていたと思います。 この態度は医師の原点です。

TAEなどの緩和的治療を選択しなかったことや開腹手術を選択しなかったことを不満に思っているようですが、TAEなどの緩和的治療を選択してお父様が亡くなられたら、「根治できたかもしれないのに積極的に治療をしなかった」と思うのではないですか? 開腹手術を選択してお父様が亡くなられたら、「肝硬変の患者に侵襲の大きな開腹手術を選択したからだ」と思うのではないですか? 全て結果論で貴方は物事を考えていると思います。

裁判で貴方の代理人は「DICに対してヘパリン投与を何故しなかったのか」と被告医師に質問していますが、術後にヘパリンを投与できるわけがありません。 貴方も貴方の代理人も本質を理解していないのではないでしょうか?

TAEやエタノール注入で根治可能と誤解していませんか? TAEやエタノール注入法では肝癌による死は避けられません。 現在でも外科的切除だけが根治が見込める治療法です。

実験材料にされたとお怒りのようですが、腹腔鏡下手術が開発されたから根治する可能性があったと思います。 (現在でも一般的に腹腔鏡下手術は開腹手術より危険性はないと判断します。 当時の事情を鑑みても腹腔鏡下手術を選択したことは判断ミスとはいえないと思います。 また症例の積み重ねのためビデオなどで記録をとることは当然と思います。) 新しい治療法(腹腔鏡下手術)ですので予期しない事故がおこる残念ですが仕方のないことです。 貴方のお父様の場合は最悪の事故が起こってしまいました。

しかし他の治療法を選択した場合は「まったく治る見込みのない状態」だったと思います。 成功すれば何年も人生を楽しむことができたのです。 (貴方は5年生存率30%といわれ、「手術をしても3年くらいだった」とのお母さんの発言で手術をしてもしなくても変わらなかったと結論しているようですが間違いです。 お父様がC型肝炎であり、根治しても再発するriskは高いですが積極的に根治すべきです。 肝癌を根治できれば10年20年と生きられる可能性が出てきます。 もちろん半年後に再発といった可能性もありますが。)

裁判の尋問など具体的でわかりやすく医療裁判の情報公開の目的は十分に果たしていると思いますが、なぜこの事例が裁判になるのかわかりません。 (棄却の判決は妥当と思います)

お父様が亡くなられた悲しみはわかりますが、腹腔鏡下手術を否定することが「医療の質をあげる」ことにどうして関係してくるのかわかりません。 腹腔鏡だからこそ根治できた症例の存在を殆ど触れようとしないのも理解に苦しみます。 功罪併せて論議することが大切ではないでしょうか?

医療は黒白で論じられるものでもないと思います。 患者が一人一人違うから治療方針も一人一人違うのは当然かと思います。 貴方のお父様は残念な結果に終わりましたが、被告医師がミスをしたとは思えません。 裁判の記録からは「真面目で誠実な医師像」と印象を受けます。

お父様が新しい治療法の犠牲者になったことは確かですが、治せない患者に対してはそこまで積極的に治療は行いません。 当時として技術的な成熟が足りなかった腹腔鏡下手術を選択し、赤字覚悟で施行した被告医師は責められる理由があるのでしょうか? 貴方も被告医師も「お父様が病を克服できるように」という願いは同じだった思います。

C型肝炎から肝癌は典型的な臨床経過です。 お父様のような患者が救われるように医師たちは努力しています。 目的は病に苦しんでいる人を救うためだけではないでしょう。 名誉のため、金銭のため、自分の理想のため、様々な理由で努力していると思います。 自分の名誉や金銭欲のために努力しているとしても彼らの努力に対して我々は感謝するべきではないでしょうか? 被告医師としては貴方から責められるのは心外だったのではないでしょうか?

「保険適応外だったから被告医師の施行した治療はうさんくさい。未熟だ。」 と考えていらっしゃるののなら間違いです。 厚労省が決定する保険適応は医療の進歩に対応していません。

ホジキン病の治療のABVD療法は20年以上前から世界的に効果が認められていますが未だにMOPP療法を適応としています。 (日本以外の国では第一選択の療法が日本では認められていません。 現場の医師はレセプトに嘘を書いて治療を行っています。 これは責められるべきことなのでしょうか? 治療効果が何十万の症例に対して明らかに優れている治療法を自分の患者に行うことが責められるべきでしょうか?)

貴方のホームページの目的は素晴らしいものですが、裁判だけはどこか見当が違えていると思います。 貴方のお母様が被告の医師に対して 「先生、有名な先生になってください。名医になってください。主人の死を無駄にしないでください」 と発言した姿勢が大切なのではないかと思いました。 貴方のお母様は自分の夫が尊い犠牲になったのを直感なされたと思います。

長文失礼しました。 貴方が納得できない残酷な文もあるかと思いますがお許しください。 貴方が医療に対しての不信をいささかでも解ければと思いこのメールを書きました。

「人は必ず死ぬ」でも「病で死なせたくない」と思うから大多数の医師は努力しています。 医師も人であるから失敗は当然します。 お父様のお通夜に被告医師がきてくれたら貴方も救われた思いがしたかもしれませんが。

医師の仕事量は多く、死んだ患者より今生きている患者を優先させてしまいます。 貴方にとってはお父様は大切な人でしょうが、医師にとっては自分が関わった患者全てが大切な人達なのです。 貴方のお父様が死んだ時点で切り捨ててしまわなくてはいけないのが現実の日本の医療なのです。 最後になりましたがお父様がお亡くなりになったことは深くお悔やみ申し上げます。


術前の肝機能評価 ICG-R15 = 25%、 ICG-K = 0.04に対し手術適応があったかですが、クリアには言い切れません。 手術してもしなくても正解だと思います。 少なくとも開腹手術は避けます。

「肝癌ですね。現在の保険適応では治す方法はありませんので、あきらめて一日一日を大切にしましょう。」 と説明されたほうがよかったのでしょうか? 「医者が匙をなげる」ほうがよかったのでしょうか? 治癒する可能性が少しでもある疾患に、貴方は「引導を渡される治療」を望むのでしょうか?

被告医師はもし肝癌が多発性ならば根治手術をあきらめたと思います。 治癒する可能性がまったくないのなら諦めます。 多発性でも腹部大動脈や心臓に浸潤しそうな位置に肝癌があったら「その部分は切除、他はTAEなど」の治療をおこなったかもしれません。 (医師個人の熱意によると思います。 「どうせ死ぬんだから」と手術しない医師もいると思います)

お父様はDICから多臓器不全となりましたが、凄惨なものだったと思います。 貴方はその光景に対し怒りを覚えるのも当然と思います。 しかし「腹腔鏡という根治できる可能性がある治療法があったから」被告医師はあえて困難な道を選択したと思います。 また術後の対応から考えても平均以上の実力を持った医師と考えられます。

「天寿と思って諦めてください」と緩和療法を選択した場合も貴方は不満を持ったのではないですか? お父様のような若い人が「天寿と思って諦めてください」と言われて納得できたのでしょうか?

私が腹腔鏡下手術に対し、どのくらいの知見を持っているとお尋ねのようですが、貴方はどのくらいご存知なのでしょうか? まだまだ腹腔鏡下手術は完璧ではありませんが、他の治療は完璧なのでしょうか? 被告医師はお父様の根治を治療方針とし、誠実に治療を行ったと思います。

腹腔鏡下手術だけでなく、新しい技術の成熟に犠牲が必要なのです。 効果が全くないと後日判明した治療の犠牲になった人々も大勢います。 そのような尊い犠牲を礎にして今の医療があり、今後も「病で天寿をまっとうできない人達がいる。」という事実がなくならない限り医学という学問は犠牲を求めていくと考えています。 (残酷な言い方ですが医学は完璧な学問ではないのです。)

貴方のお母様が被告の医師に対して 「先生、有名な先生になってください。 名医になってください。 主人の死を無駄にしないでください」 の発言は、お父様と同じ病の人のことを想ったからだと思います。 見ず知らずの人に対しての愛情からの発言だったと思います。

貴方に対して悪意はありませんが、やはり被告医師を責める根拠がどうしても理解できないのです。 お父様の死が諦められないお気持ちは分かりますが、何故お父様の病を根治しようと考え、努力した医師を責めるのでしょうか? 根治を諦めて緩和療法を行えばよかったのでしょうか? 治療が失敗したから責めるのでしょうか? 貴方が結果論で物事を考えていると書いたのは上述の貴方の姿勢が理由です。

手術ミスとおっしゃいますが、開腹手術になったことは誰も責めることはできないと思います。 腹腔鏡下肝切除失敗→開腹はriskのひとつです。 このような失敗の蓄積がriskの解決になります。 解決手段は、大出血した場合の腹腔鏡の新機軸。 もしかしたらお父様のような症例には腹腔鏡下肝切除を適応としないといった手段になるかもしれません。

でも医療でも実際にやってみないとわからないことが多いのです。 実行した結果から改善策を考えていくから進歩があるのではないでしょうか? しかし「何故私の大切な人が犠牲になるのか」という質問に対しては答えが出ません。 納得いく答えはないと思います。 貴方の悲しみが癒される日が早くくることをお祈りします。


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