なぜ麻酔事故は多発するのか
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月18日

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1997年8月24日(日)、横浜ランドマークタワーで開催された 「医療過誤原告の会夏期セミナー」 における講義を基に報告します。


なぜ麻酔事故は多発するのか 麻酔の安全管理体制を急げ

講師: 芦沢 直文 (逓信病院麻酔科部長)

1. 麻酔事故の定義

2. 麻酔事故の特異性

  1. 損害の程度が高い(死亡、重度の意識障害)
  2. 突発的 (5分で発生、赤ちゃんの場合 2分で発生することも)
  3. 患者にとって予測不可
  4. 密室で発生する

3. 麻酔事故の発生頻度

4. 麻酔事故の具体例とその内容

被害者内容原因
30歳 外科医全身麻酔で手術。20分で終了。その5分後に心停止笑気と酸素を間違えた
40歳死亡酸素が空になっていた
12歳 女子盲腸。父親の外科医が手術。12〜3分で終了。呼吸・心停止脊椎麻酔によるショック
20歳代骨折、整形手術。気管内挿管で全身麻酔。10分後心停止、死亡気管でなく食道に挿管されていた
50歳代脳外科手術中、心停止人工呼吸器の接続がはずれていた
20歳代 女性帝王切開のため静脈麻酔。気管内挿管がうまくできず、筋弛緩薬投薬。人工呼吸するも3〜4分で心停止。帝王切開中、母死亡。赤ちゃんは低酸素脳症3年目麻酔医の経験不足(パニック)
40歳代子宮筋腫の手術中、血圧低下・呼吸停止麻酔医が別の手術と掛け持ちで、「ちょっと待てくれ」と言っていた2〜3分のうちに亡くなった
?輸血中、心停止血液を体温に戻さず、低温のまま輸血

その他、「薬の種類間違い」「ガス種類/流量設定ミス」「機器誤使用/故障」などで、事故が発生している。

5. 麻酔事故を誘発する因子

6. 麻酔事故の真の要因

  1. 麻酔という医療行為の本質を理解していない

    麻酔は、手術をするのには都合が良いものであるが、患者には負担が大きいものである。 手術には、大手術、小手術と区別ができるが、麻酔には、大麻酔、小麻酔などない。 虫垂炎、人工中絶、扁桃腺など、短時間の手術に麻酔事故が多い。

  2. 麻酔の目的を認識していない

    1. 患者の苦痛を取り除く
    2. 手術をやりやすい状態にする(手足、肺を動かなくする)
    3. 患者の生命の安全を維持する

  3. 麻酔をかけることが、患者に何をするのかということを認識していない

    患者の全身管理、危機管理をすることが麻酔である。 管を入れたりすることが、麻酔ではない。

7. 麻酔事故を減らす方策


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