| 腹腔鏡に関する学会報告 |
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学会で発表されている腹腔鏡手術の危険性に関する報告を集めてみました。
ここで参照したふたつの学会誌 「 日本消化器外科学会雑誌」と 「 日本消化器内視鏡学会誌 (Gastroenterological Endoscopy)」は、 大きな図書館や 日本科学技術情報センター (JICST) で閲覧できます。
読売新聞が報道した腹腔鏡手術の事故について、 浜松医大は学会で報告しており、再発防止の対策を述べています。 それに対して、東京大学からは特に報告がなされていないようです。
90/7 (保険適用の2年前) 腹腔鏡下手術を導入。 腹腔鏡下手術では、手技に起因する合併症が多くを占め、 死亡例もこれに含まれる。 手技を複雑にしたことは、腹腔鏡下手術の大きな罪である。
92/5より腹腔鏡下胆嚢摘出術を開始。 腹腔鏡下手術から術中開腹術に移行した例は13例(16%)あり、 通常切開開腹下手術よりも侵襲を与えた (手術時間延長、術中出血量の増加、術後GOT, GPT, T-Bil の上昇、 術後在院日数の延長)。
術中開腹移行例は 211例中13例(6.2%)。 うち12例は高度の炎症による剥離困難例であり、 3例に制御不能出血 (うち2例輸血要) 、1例に総胆管損傷を来した。 術中の予期せぬ大量出血による輸血や、 長時間の手術はできれば回避すべきであり、 剥離操作に難渋し手術が長引くような場合には 無理をせず潔く開腹すべきである。
腹腔鏡下胆嚢摘出術は我が国に1990年導入され、1992年 4月に保険適用。 本法は極めて小さな創により施行可能であるので、 創痛の軽減、美容的、早期退院、早期社会復帰など大きな利点をもたらした。
しかし、一方において本法は気腹下に 2次元画像で 1方向からのみの視野によって、限られた方向から、 器具のみを用いて行わねばならぬ手術であるため、 開腹の胆嚢摘出術に比べると、手技的に困難なものといわざるを得ない。 結果としてかなりの数の合併症が報告されてきた。
当科の成績と52施設が1991年8月から1993年7月の間に学会にて行った 合併症の報告を、その抄録から集計し分析した。
血管損傷では、穿刺による損傷10例、電気メス損傷 1例。 気腹そのものによる合併症としては、呼吸抑制、高炭酸ガス血症、不整脈、 心拍出量減少、乏尿などが主なものであるが、重篤な合併症の報告はない。 電気メス損傷の特徴は、その多く(90%)が術中に穿孔せず、 術後1週間位で穿孔を来すことである。
重大な損傷を発生する可能性がわずかでもある穿刺法は採るべきではなく、 小切開法(open laparoscopy)による気腹と腹腔鏡の導入を行うべき と考える。
1,374施設にアンケートを依頼した。 大学病院からの回答率は97.8%の高率であったが、 全体としては50%の回答率であった。
一般内視鏡の偶発症は4,955例で、 前回調査(1983年〜1987年) 1,067例の約5倍。 死亡例は、86例 (前回 119例)。
一般内視鏡検査前処置(咽頭麻酔、沈静麻酔剤など)の偶発症 †は、 2,011例 (前回 443例)。死亡例は、129例(前回54例)。
腹腔鏡の偶発症は250例で、死亡例は5例 (検査1例、胆嚢摘出1例、 癒着剥離1例、S状結腸切除2例)。前回死亡例は、4例。
偶発症後の患者とのトラブルは、一般内視鏡/腹腔鏡それぞれ64件/8件。 うち裁判にいたる事例は、10件/2件。
腹腔鏡下手術は本調査の期限である1992年末以降急速に普及している。 急速な普及が逆に偶発症を増加させることのないよう 十分な技術の修得後の実施を希望したい。 とくに今回の調査では胆嚢摘出術以外の腹腔鏡下手術の偶発症による 死亡率が高いのが問題となろう。 腹腔鏡下手術が胆嚢摘出以外へと適応を拡大しつつあり、 今後その適応の決定と、安全性には十分の配慮がなされなければならない。
術前に適切なインフォームドコンセントを得ること、 いかなる偶発症にも対応できる体制を整えておくことなどは当然であるが、 不幸にして偶発症が発生した場合、医師側が、医学的に、 そして人道的にどの様に対応するかが、 その後の患者家族との関係を大きく左右することに留意しなければならない。
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