私の声 98/01/26
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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1998年 1月 26日
生体肝移植ブーム 実績づくりに奔走する大学病院

臓器移植法が施行されてから3ヵ月経過しましたが、脳死臓器移植はまだ行われていません。 脳死者が発生しても、ドナーカードを持っていなかったり、ドナーカードを持っていたとしても、記載に不備があったり、病院が臓器提供不能であったり。 この結果に私はホっとしています。

「記載間違いが多い」のは、何も説明を受けなかったり、ドナーカードを持つことの意味を真剣に理解していなかったりする人が多いことを示しています。 インフォームドコンセント不在の医療の延長線上にドナーカードもまた存在するわけです。 患者不在の医療が言われるなか、「脳死と判定されると患者ですらなくなって“モノ”として扱われる」ことを望む (つまりドナーカードの脳死時提供可能な臓器に○を付ける) 人の気が知れません。

生体肝移植報道リスト
(1997年6月以降)
日付医療機関症例数備考
6/15徳島大2死亡
6/20京都大死亡
8/ 2京都大307
8/ 7岡山大2
8/29慶応大8
9/ 4東北大死亡
9/ 4大阪大0
9/12北海道大2
10/29京都大329
11/12東京大24
11/12東北大25
11/13横浜市大1
11/13長崎大2
11/25筑波大1
11/26東北大死亡
11/29松波総合1
12/ 9北海道大4
12/15奈良医大1
1/14北海道大死亡
1/17東北大26

脳死臓器移植の実施例がないのを尻目に、いまや 生体肝移植ブーム を迎えています。 脳死肝移植は、現在京都大学と信州大学に限られていますが、第3、第4の席を狙う実績づくりでしょうか。 右の表は、 医者にメスの先端医療報道 に掲載されている生体肝移植に関する記事から、各医療機関の症例数を抜き出したものです。

1997年10月24日付朝日新聞は 「1989年から97年8月15日まで、21施設で 522例実施され、106例が死亡」 と報道しています。 今のところの生存率は、(1 - 106/522) = 79.7%となります。

信州大の実績がよくわからないのですが、信州大から松波総合病院に移った松波副院長の実績(70〜80)を参考にすると、8月15日時点で京都大と信州大をあわせて少なくとも400例は、実施しているのではないでしょうか? それに東北大・東京大・慶応大の実績を加えると約460例。 となると、残り16施設で60例、すなわち1施設当たり4例弱の実績しかないことになります。

300例を超す実績を持ち、世界的にも高い評価を受ける京都大ですら、命を救えない例のある生体肝移植。 とても難しい手術です。 術後の管理も困難です。 京都大で生体小腸移植を施された男児は、最後カリニ肺炎、つまりAIDSと同じ免疫不全状態となって亡くなりました。 臓器移植を受けた患者は、拒絶反応による臓器不全と免疫抑制剤によるAIDS状態との間を行ったり来たりするのです。

生体肝移植を行う患者とドナーに対して、手術を行う医療機関の実績(症例数とx年生存率)が開示されているのか心配です。 患者が医者の実績づくりに利用されるようなことがあってはなりません。 ところが、 医者の暴走を止める役を担う倫理委員会も形骸化している ようですし、治療成績も公開されないようです。

患者自身が情報を集め自衛手段を講じなければならない日本の医療。 あー、いやになっちゃう。


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