医療過誤裁判 私の場合 原告 長男 陳述書 15
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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1999年 11月 11日
甲第 25号証 原告 長男 陳述書 15

15. K医師に説明を求める (1995年6月27日(火))

11:30、母と私は、父の友人2名と、 K医師に父の手術についての説明を求めました。私は質問事項をあらかじめ手帳に列記し、 K医師の回答をメモしながら、質疑を進めました。

私「手術を開始したのは、何時ですか?」
K「(カルテを見ながら) 13:45に開始した」
私「開腹したのは、何時ですか?」
K「手術を開始してから3時間後です」
私「 3時間というのは、私が想像していたより長時間なんですが、長時間無理をしたことによって、父のからだに危険な手術だったのではないですか?」
K「時間が長いから危険ということはない。ゆっくり丁寧にやると、時間が長くなる」

私は 「癒着がひどくて、時間がかかり、腹腔鏡による手術を時間内に完了させる見込みがなかったのに、きっちり 3時間、練習したのではないか? もしくは、最初から最長 3 時間と決めて、時間切れで開腹したのかもしれない」 という疑いを持ちました。

私「腹腔鏡手術で、どこまでやったのですか?」
K「肝臓を1/3切ったところ」
私「左から1/3なのか? 右から1/3切ったところなのですか?」
K「まわりから徐々に切っていって、1/3切除が完了したところ」
私「どうして開腹したのですか?」
K「出血が増え、視野が悪くなった」
私「どのくらい出血したのですか?」
K「550cc。腹腔鏡手術では、視野が悪くなる原因となる。出血が多かったのは、予想より脂肪が多かったことと、腹膜が肝臓に癒着していたから」
私「(父の体格が良かったこと、肝硬変だったことから) 腹膜が肝臓に癒着していることは、当たり前のことではないのですか?」
K「(ムッとしたように) 当たり前ではない。癒着が強かったから時間がかかった。毛細血管を切った」
私「癒着している部分は、どうやって離すのですか?」
K「電気メスで切る。腹腔鏡の手術は、やりにくい。止血しにくい。肝臓癌を腹腔鏡で手術した前例では、輸血無しでうまくいった。おばあさんでしたが」

私は 「やりにくいのに、なぜ腹腔鏡による手術を選択したのか? 実績を作るため、すなわち父を実験台にしたのではないか?」 と思いました。

私「開腹手術では、どのくらい出血したのですか?」
K「腹腔鏡手術の550ccと合わせて1,767cc」
私「開腹手術が終了したのは、何時ですか?」
K「19:20 に終了した」
私「再開腹手術の開始時刻と終了時刻は?」
K「20:30 開始。1:00終了」
私「再開腹手術の出血量は?」
K「3,157cc」
私「それは1,767ccを含んだ値ですか?」
K「含んでいない」
私「トータルで約4,900ccですね?」
K「そうだ」
私「これらの出血量は、ふだんの手術と比べて多いのですか、少ないのですか?」
K「多いです」
私「再開腹手術後、生血を輸血したが、血小板輸血をしなかったのは、なぜですか?」
K「血小板は、赤十字に要求してからものが届くまで時間がかかるので」
私「手術時、ものがなかったのですね。準備が悪かったということですね?」
K「(無言)」
私「再開腹手術で、止血できなかったのは、なぜですか? 事前の検査結果は良かったはず」
K「毛細血管を何十回も縫った」
私「翌朝の再手術での出血量は?」
K「1,216cc」
私「何カ所縫ったのですか?」
K「10カ所縫った」
私「手術後の説明で、肝臓の裏の毛細血管が肥大化した静脈を切ったと言っていたが、その血管を切ったのは、どの手術ですか?」
K「(無言)」
私「腹腔鏡による手術のときではないですか?」
K「(無言)」
私「その静脈は、肝臓のどの部分にあったのですか?」
K「(肝臓の図を描き、切断面下部のはしのあたりに●印をつける)」
私「再手術後の出血量は?」
K「350cc」
私「意識が回復したのに、なぜ亡くなったのですか?」
K「これは予想ですが、16:00 ごろ血圧が低くなった。出血のため、肝臓への血流が悪く、死ぬ細胞も出てきた」
私「20:00 に、父と面会したときは、意識がはっきりしていたのですが?」
K「夜、低くなった」
私「GOT、GPTの昼と夜の値を教えてください」
K「22:00 GOT: 5,500 GPT: 2,500、12:00 GOT: 1,000 GPT: 500」
母「再手術で止血できたときは、助かるとお思いでしたか?」
K「止血した時点で、よくなる可能性はあった」
私「手術の危険率はどのくらいだったのですか?」
K「5〜10%」
私「手術中に死ぬ確率は?」
K「もっと少ない」
私「1%か、それ以下ということですか?」
K「(うなずく)」
私「父は、手術中に死んだわけですが……」
K「手術中に死んだわけではない」
私「手術の翌日に再手術。その後24時間以内に亡くなったのですが、なぜそんなことになったのか?」
K「100%うまくいくわけではない」
私「それは医者の論理でしょう。患者の論理ではない」
K「(無言)」
私「手術後1日以内に亡くなることは、半田病院で何回あるんですか?」
K「まずない」
私「1年に1回くらいか?」
K「1年に1回ない」
私「手術前の説明と、手術結果が全く異なってしまったが、どうしてですか? 手術前は、翌日一般病室へ移れ、2週間で退院と言っていたが、手術の直後に亡くなってしまった」
K「(無言)」
私「手術前に、危険の高い手術なのに、それを隠していたのですか?」
K「(ムッとして) 隠して手術したわけではない。患者にとっていい方法」
私「先生としては、自信があってやったことなんですね」
K「(うなずく)」

私は 「手術前の説明が嘘でなければ、手術の失敗ですね?」 と言おうと思いましたが、遠慮して言えませんでした。

私「父の死は、病院内でどう扱われているのですか?」
K「扱いというと?」
私「先生から院長に報告したか? または院長に報告を求められましたか?」
K「院長には、ICU から日誌で報告される。院長に直接報告するということはしていない」
私「1年に1回あるかないかの事故が起きたのに、院長に報告していないのですか?」
K「(無言)」
私「工場ならば、けが人が出たら、原因を究明して、対策を練る。そのようなことを全くやっていないのですか?」
K「(無言)」
私「我々遺族に対しては、どのように感じていますか?」
K「(無言)」
私「遺族に対して、病院としてアクションはあるのですか?」
K「どのようなアクションを期待しているのか?」
私「それは、病院が考えることでしょう」
K「(無言)」
私「カルテを入手したいのですが」
K「私からは渡せない。院長と相談する」
母「父が、意識を回復してたとき、首をぐるっと回して何か言いたそうにしていました。16:00 ごろに、からだを動かしたそうだが、苦しくて暴れたのでしょうか?」
K「ICUでは、麻酔はかかっていない。鎮静剤のみ。体動があったのは、麻酔が切れてきたことが原因で、苦しかったわけではないだろう」

帰り際看護婦に、 「診療報酬明細を教えてくれるよう、 K医師に伝言してください」 と依頼し、帰宅しました。

K医師は主尋問で、父の死因が「播種性血管内凝固症候群 (DIC)」であったと述べていますが、そのような説明は一切ありませんでした。

続く


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