医療過誤裁判 私の場合 原告 長男 陳述書 2
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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1999年 11月 11日
甲第 25号証 原告 長男 陳述書 2

2. 内科 ・ H医師からの検査結果説明 (1995年6月1日(木))

私は現在、●●●県に住んでおり、従業員約 3,000名の●●●●●●●製造・販売の企業で、●●●●●●●●部門の課長を務めております。 仕事柄、会議等でメモをとるのが習慣になっており、父の手術前後の様子も手帳にメモをとっていました。

父が亡くなった当時は海外出張が多く、95年 4月30日から 5月 8日まで上海へ、そして 5月 17日から 5月 27日まで米国カリフォルニア州に出張しており、日本にいませんでした。 そのため、母から 「父が検査をしてもらったところ、肝臓に影が見えて、肝臓癌の可能性がある」 と告げられたのは、出張先のホテルから母に電話をかけた 5月 24日頃のことでした。

5月 27日に帰国してから早速母と連絡を取り、父の検査結果を聞くために 5月31日(水) 帰省しました。

翌 6月 1日、半田病院内科で、H医師より、父と母と私の3人で、父が5月24日と31日に受けたCT検査の結果について説明してもらいました。

H医師は、CTスキャンの画像を前に、 「肝臓に腫瘍ができている。 癌かどうかは直接細胞を採取しないと断定できないが、おそらく癌。 初期の癌であり、肝臓の状態も悪くないので手術可能な稀な例です」 と説明しました。

そこで、私が腫瘍の大きさを尋ねたところ、H医師は、 「直径 2cmです」 と答えました。 次に私は、 「1個だけですか? 転移してできた癌ではないのですか?」 と尋ねたところ、H医師は 「1個だけです。 転移ではなく、原発性の癌です。 今なら手術をするのがベストです」 と答えました。

私はCTスキャンのどこからどこまでが腫瘍なのかを知りたくて、CTスキャンのスライス幅を尋ねたところ、H医師は 「1cmです」 と答えました。 そこでCTスキャンの画像を見比べたところ、体の水平方向に直径2cmの白い円があり、円が 4〜5枚に渡って写っていたので、垂直方向に 3〜4cm の紡錘形状の腫瘍があるのだと思い、 「直径2cm、高さ3〜4cmくらいの大きさなんですね」 と言うと、H医師は 「造影剤が残っている部分が写っているのであって、すべてが癌とは言えない」 と教えてくれたので、癌の大きさは 直径 2cmの球状なんだと理解しました。

さらに私は 「他の病院、たとえば愛知がんセンターでの手術を希望した場合、紹介状を書いてくれますか? またその場合、検査データを渡していただけますか?」 と尋ねました。 というのは、半田病院よりも設備が充実し、手術の実績が多い県立がんセンターや大学病院で手術する方がよいと考えていたからです。 するとH医師は 「ええ、可能です。 ですが、半田病院でも手術は可能ですよ」 と答えました。 私が 「半田病院で手術するとしたら、いつごろ手術できますか?」 と尋ねると、H医師は 「外科の予定を確認しないといけませんが、6月後半の 2週間あたりだと思います。 7月になることはないでしょう」 と答えました。

さらに私が 「肝臓癌手術における半田病院の実績は?」 と尋ねると、H医師は 「詳しいことは、外科医に聞いてください」 と言ってから、ひとり言のようにボソボソと小さな声で 「30〜60例くらいかな」 と言いました。 私が、 「手術後どのくらいで退院できるのでしょうか?」 と尋ねると、H医師は 「手術後 2週間介護、4週間で退院できます」 と答えました。

私が、 「手術費用は、どのくらいかかりますか? 健康保険は効きますか?」 と尋ねると、H医師はとても驚いたようでした。 お化けをみたような表情をして、しばらく絶句していました。 そこで私が、 「費用が心配なので健康保険が効くかどうか知りたいのです」 と言うと、H医師は少し考えてから 「健康保険が効きます。 手術費用は約 30万円ですから、その 10% 負担となります。 入院費を加えて高額になったら、高額医療費補助を受けられます」 と答えました。 私は一般に癌の治療費は高く、健康保険が効かない治療があるのだと思っていたので、手術が健康保険で賄えると聞いて意外でした。 そこで、 「すべて健康保険で賄えるのですか? 健康保険が効かないような処置は行わないのですか?」 と尋ねたところ、H医師は 「健康保険が効きます」 と言いました。 そこで私は、 「健康保険が効く一般的な治療方法ならば、安心だな」 と思いました。

そのとき父が、1994年秋にもCTスキャンで検査をしていたことを思い出しました。 肝臓癌の進行状況を知って、今すぐ手術しなくてはいけないかどうか、他の病院に転院する時間が許されるかどうか判断するために、 「前回のCT画像を見せてくれませんか」 と尋ねたところ、H医師は 「どこかなー」 と言って立ち上がり、本棚のカルテ群をパラパラとめくったりして探していましたが、結局見つかりませんでした。 H医師は、本気で探そうという態度ではなく、形式的に探していたという感じでした。 そこで、 「見つかったら、見せてください」 とH医師に言いましたが、結局見せてもらえませんでした。

それまで黙っていた父が 「手術がベストというのは、 (H) 先生の個人の判断ですか? それとも病院の先生方が集まって検討した結果ですか?」 と尋ねると、H医師は 「総意です」 と答えました。 さらに、 「肝動脈塞栓法という方法もありますが」 と付け加えましたが、私が 「その方法は、効果が期待できないのでは?」 と言うと、その先を続けませんでした。

母が、 「娘 (●●●) もいるので、治療方法については、今結論を出すのではなく、家族で話し合って決めることにしたいのです」 と言うと、H医師は 「わかりました」 と肯いていました。 そこで、H医師に礼をし、父の病室へ戻りました。

私は、H医師に、 「手術しなかったら、何年生きるか? 手術して失敗したらどうなるか? 手術して成功したら何年生きられるか?」 等の質問をしたかったのですが、父が同席していたため、聞くことができませんでした。

続く


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