医療過誤裁判 私の場合 被告医師反対尋問 15
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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1999年 9月 30日
第 8回口頭弁論 被告医師 反対尋問 15

癒着をはがす処理
肝臓と後腹膜の間の側副血行路を切断


原告 (長男)
手術直前に私に対して説明していただいたことをちょっと思い出していただきたいんですけれども、私が手術時間がどれぐらいかかるんですかとお尋ねしたときに、3、4時間であるといった説明をしていただきましたが、それで間違いありませんか。
そのぐらいだと思います。
腹腔鏡による手術が困難な場合は開腹手術に切り替えるといった説明もしていただきましたが、そのときに私が、腹腔鏡による手術が困難な場合というのは具体的にどのような場合ですか、といった質問をしたんですが、それに対して、出血により視野が確保できない場合や臓器が癒着していたり患部が臓器の影になっていたりして手術しにくい場合ですよと、そういうように説明していただいたんですが、それは御存じですか。
そういうことを多分、言うと思います。
出血により視野が確保できない場合というのは、具体的に言うとどんなケースなんですか。
出血が多くて、例えば肝断面の血管が見えないとか、あるいは切離を進めていく上で出血が邪魔になって視野が見えないと、断面の。
ということは、止血できないで手術が進行するであろうということは最初から分かっていたんですか。
いえ、そういう場合には手術が困難になるということです。
出血により肝表面が覆われているといった状態が視野が悪くなるという意味でとらえてよろしいんですか。
そうです、肝断面の切離面が見えにくくなるということです。
臓器が癒着している場合というのは、どうして開腹手術に移るんですか。
癒着を外すということが難しい場合、特に●●さんの場合は手術の既応がないですけれども、過去に手術の既応のある人の場合には非常に癒着が強い場合がありまして、その場合には開腹手術に移行せざるを得ないという場合があります。
そういう場合、癒着をはがすときに、例えば肝臓を損傷してしまうとか。
というか、癒着をはがすことがかなり大変だということです。
時間がかかるという意味ですか。
時間もかかりますね。
甲第 14号証を示す
写真の (3) を見てください。 これは腹腔鏡の手術が始まってから 3分ぐらいのときです。 ここで右下に見えている油状のものが大網ですね。 写真 3
はい。
肝臓はどちらに見えているんですか。
多分、右奥のやや茶色いのが肝臓だと思います。
これは大網が肝臓に癒着している場面。
癒着ではないです。 手前から見ていますので、手前の大網も写っているというわけです。
癒着している大網をはがす処理を最初やられていますよね。
はい。
それはどのくらい時間がかかっているんですか。
大網をはがす処理は…、ただ、手術が進行するにつれてはがす範囲もだんだん増えてきますので、一気に全部はがすというふうではないもんですから、何分と言われてもちょっと。
肝切除を始めたのが、1時間経過してというぐらいのときですね。
はい。
1時間 05分 20秒辺り。 写真 16
はい。
それから超音波メスによる切離を開始していると、これは写真 (16) のところですね。
はい。
そうすると、大体 1時間ぐらい癒着をはがすのにかけていたと。
違います。
どう違うんですか。
まず術中超音波というのをやりまして、肝臓の腫瘍の位置と主な脈管の位置をずうっと見て、そこでどの切離線で切っていくかという計画を立てます。 その後、切離線に沿って電気メスでマーキングと言いまして、印を付けて切除の範囲を決めます。 それから、先ほど言ったように癒着を剥離する操作と、あと、肝臓を切る場合に最初は気腹法でやっていると思うんですけれども、気腹法から吊り上げ法というのに入るわけです。 そういう腹壁吊り上げ法に変える時間もありますので、そういうことで 1時間ぐらいかかっているということです。
準備をするのに 1時間ほどかかっていると。
はい。
大網や写真 (13) の後腹膜の癒着というのは、手術が困難な理由にはならなかったんですか。
このことで手術が不可能になるということはないです。 圧倒的に剥離する時間というのは余分にかかりますけれども、●●さんの場合の癒着は肝臓の裏側ですね、背中側のほうの癒着が主だったもんですから、腫瘍の部分に癒着していたわけではありませんので、むしろ肝臓を持ち上げる際の邪魔になる癒着ということではがしたわけで、癒着は困難になる理由にはならなかったです。 写真 13
写真 (13) は後腹膜を切っているところですね。
そうです。
これは、右側から出ているのは電気メス。
恐らく電気メスですね。
カーテンみたいになっているのが後腹膜。
こちらの下の黄色い部分が後腹膜だと思います。
これを肝臓と切離していると。
肝臓と後腹膜が癒着しているところを電気メスで切っていると。
左の上に見えている金属製のものは何ですか。
これは鉗子です。
鉗子で肝臓を挟みながら。
肝臓を持ち上げてですね。
鉗子で肝臓を挟んで持ち上げてやっていると。
はい。
その場合、鉗子の左側というか向こう側というのは肝臓の裏側に行ってるわけですね。
多分、そういうことですね、ここだけでは見にくいんですけれども。
こういった癒着をはがす時点で、肝癌をとるための断面以外のところの側副血行を損傷するという可能性はあったんですか。
側副血行があったのは肝臓側の裏側ですので、肝臓を持ち上げるために切ったところだけです。
写真 (11) を見てほしいんですが、癒着をはがすときに毛細血管等は切ってるんでしょうか。
肝硬変がある場合には肝臓と後腹膜の間に細かい側副血行路ができますので、そこを切って肝臓を持ち上げるわけです。 で、切ります。 写真 11
写真 (11) で肝臓の下のほうの手前に見えているのは小腸ですね。
小腸だと思います。
そこの奥のところにたまっているちょっと血のようなもの、これは血がたまっているんですか。
血液だと思います。
大網の癒着をはがしている段階で、もう出血しているということですね。
はい。

続く


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