最終更新日: 2002年09月16日、
アクセスした日: 12月14日
1999年 9月 30日
第 8回口頭弁論 被告医師 反対尋問 9
マイクロ波凝固装置、アルゴンビームコアグレーターがなく、使えなかった
- あなたの陳述書によりますと、平成 6年 (1994年) に第 5回日本臨床外科医学会で東邦大学病院のビデオセッションを見たというふうに書いてありますね。
- はい。
- このビデオセッションではマイクロ波凝固装置、アルゴンビームコアグレーターなどの使用経験に関する報告があったんですか。
- はい、そういうふうに記憶しております。
- 乙第 19号証を示す
この中の東邦大学病院の報告、このとおりですね。
- はい。
- 乙第 19号証によりますと、アルゴンビームコアグレーターというのは肝切離面のウージングに対して効果的で短時間に広範囲の止血が可能になる、ということが書かれていますけれども、そういう報告をそのとき聞かれているんですね。
- はい。
- こういう報告を聞かれて、あなたは当時どういう意見を持たれていましたか。
- マイクロ波凝固療法というのは、腹腔鏡ではなくておなかを開けて肝切除をする場合の手術法として、実は今から 10年以上前にはよくやられていた方法なんです。
僕もそれを使ったことがありますし、かなり広く一時やられました。
ただし、肝臓の深い所になりますと、あとで太い血管が出てきますので、それを焼いてしまうとまた危険性がありますので、肝臓の表面、大体 1cm ぐらいの範囲を焼くものとして昔はずっと使っていたんですけれども、そういう意味では有効だと思いますけれども、それがなくても、電気メスあるいはキューサーを使用すれば肝切除はできると考えていました。
- その報告を聞かれたときに、是非そういう方法を取り入れてみようとか、そういう形で賛同的でもなかったんですか、自分は自分のやり方があるというような。
- 道具があれば、そういった表面の止血には有効だと思いますので使ってみたいとは思いますけれども。
- アルゴンビームコアグレーターの止血の効果については、どういう意見を持たれてましたか。
- アルゴンビームコアグレーターは肝断面の止血に有効だと思います。
その道具があれば使いたいと思いますけれども、かなり高価な道具だもんですから。
- 平成 7年 (1995年) の第 45回日本消化器外科学会でも、腹腔鏡下のマイクロ波凝固壊死療法のビデオの報告を見ていらっしゃるわけですね。
- はい。
- ここでも東邦大学の腹腔鏡下肝切除術のビデオを見たんですか。
- はい。
- 乙第 20号証の学会報告を見ますと、やはり肝臓の切除断端の止血にアルゴンビームコアグレーターとフィブリン糊を使用しているということが出ていますね。
- はい。
- この点についても、報告を見られて有効性についてはあなたも認められたわけですか。
- はい。
- 先ほど、アルゴンビームコアグレーターがあれば使いたいとおっしゃっていたんですけれども、手術器具として備えることは困難なことですか。
- 装置の値段が、詳しくは知りませんけれども、恐らく 500万円ぐらいです。
肝臓を切る場合の止血として有効な物ですから、欲しいとは思います。
- 半田市民病院で腹腔鏡下の肝切除術をやってみようということが念頭にあれば、そういった器具も備えておくということは希望されたりしたことはないんですか。
- アルゴンビームコアグレーターは、外科としては機器購入の申請には出しています。
- いつごろ出していますか。
- 出したのは今から 6年ぐらい前でしょうか。
- そうすると、平成 5年 (1993年) ごろと伺ってよろしいですか。
- そのぐらいだと思います。
- 結果論になるかもしれませんけれども、本件のような一般的には DIC も起こしやすい患者さんだということも認識していらっしゃって、できるだけ出血を抑えて手術をしなければいけないということを考えていらっしゃったわけですね。
- はい。
- そういう患者さんに対する腹腔鏡下の肝切除をやるというときに、アルゴンビームコアグレーターがあれば、より安全にできたということは言えるんでしょうか。
- アルゴンビームコアグレーターが一番有効なのは、最終的な、肝切除が終わった後の断面からの止血だもんですから、切離途中で使うことは余りないと思うんです。
最終的な止血をより確実にするという使い方が多いもんですから、切っていくときには途中で余り使う道具ではないと思いますので、●●さんの場合には最終的な切離が終わっていませんので、途中で使ったかどうかは何とも言えません。
- 乙第 26号証の九州大学のビデオですけれども、あれは切除途中にアルゴンビームコアグレーターを使っているんではありませんか。
適宜止血しながら作業を進めているということではないでしょうか。
- すみません、ちょっと細かいところまで記憶にないもんですから。
続く