医療過誤裁判 私の場合 被告医師反対尋問 2
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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1999年 9月 30日
第 8回口頭弁論 被告医師 反対尋問 2

DIC の発症は予見できた
DIC が起きると思ったら手術はしない


先ほど来の御証言ですと、今回の場合、肝機能がそれほどまだ障害を受けていないということで危険を予知されてなかったということですけれども、DIC の兆候といいますか、一般に DIC が発症するだろうという危険性を医者が予知すべき兆候としてどんなことが挙げられているかということは御存知ですか。
兆候というと手術前ですか。
手術前です。
DIC が起きやすい患者としては、例えば●●さんのような肝機能合併患者ですね、それから悪性腫瘍でかなり進行した状態、あと血液疾患で白血病ですとかそういった状態とか … あとは全身状態が非常に悪い患者とか、一般論になりますけれどもそういった患者だと思います。
(乙第 15号証を示す) 具体的に伺いますが、(19)-10 に血液関連検査報告とありますね。
はい。
この血液関連検査の内容で DIC に関連する検査項目としてはどんなものがありますか。
DIC の診断基準としては血小板の低下、それからプロトロンビンタイムの延長、あとフィブリノーゲンの減少、それからここにはないんですけれども FDP とか D ダイマーの増加ということが挙げられると思います。
まず血小板は 4万 7,000 という記述ですね。
はい。
これが今回の手術前に行われる検査時に一番近いときの検査報告だと思うんですけれども、これはやはり異常値という認識、理解でよろしいわけですね。
ええ、これは低いです。
そうすると、この値からすれば当然 DIC に発展する可能性は否定できないと。
… 血小板の値だけ −。
だけではないですけれども、値としては、どちらかというと異常値ですね。
4万 7,000 という値からすると、例えば正常値の値でも DIC を起こす可能性が高いというふうに思います。
それと今おっしゃったプロトロンビン時間、これは PT ですね。 これおも 69% で、これも異常値ではありますね。
はい、そうです。
70 よりも下ですね。
はい。
それと APTT というのが、ちょっと見にくいですけれども PT の上にありますね。
はい。
これは DIC に関連しますか。
一般的には APTT は DIC のときの診断基準に入っていないと思いますので。
厚生省の基準は除きまして、やはり DIC の危険があるんじゃないかといったことを外科の先生が手術前にチェックするべき項目として、APTT というのは一般的には挙げられていますか。
PT を重視しますけれども。
それではフィブリノーゲンの値はどうですか。
低いです。 150です。
フィブリノーゲンの値は、これはまだ手術を行う前でもかなり低いわけですね。
はい。
そうすると、手術を行えば当然低下するということは予想されるんじゃないですか。
はい。
一般的には低下するということは予想されるわけですね。
はい。
それと、「血中 - FDP」という検査項目がありますね。
はい。
これは、私が見た文献ではやはり DIC のことに関連するというようなことが書かれていたんですけれども、これは一般には検査としては行わないんですか。
術前にはあまりやらないと思うんですけど。 術前に上がっていることはまず余りないもんですから。
(甲第 19号証を示す) 372 というページ (出血性素因) ですが、ここに「スクリーニング検査」として「血清 FDP」というのが挙がっているんですが、FDP は計らないんですか。
スクリーニングというのは、広くやるという意味のスクリーニングなのか、あるいはまず精密検査の前にやる一般的な検査という意味のスクリーニングなのかちょっと分かりませんけれども、手術患者全員に FDP をやるわけじゃないですし、どっちかと言えば FDP というのは基本的な検査ですので、そういう意味のスクリーニングだと思います。
でも DIC の可能性があると思えば、証人だったらやりますか。
例えば DIC の診断をする場合ですと皮質の検査になります。
ですから今回の場合、肝切除術というのを行うといった場合、しかも肝硬変の患者であると、DIC の可能性を少しでも疑った場合というのは、どの程度の可能性でそういった DIC に発展するかというのをあらかじめ調べておくために、こういった検査はされないですか。
… 術前に FDP は、僕は調べませんけれども。
先ほどの乙第 15号証の (19)-10 に戻りますが、すぐ上に ATIII というのがありますね。
はい。
これはやはり DIC の危険性を予見する上では重要な検査ではないですか。
… ここら辺の検査はすべて DIC の診断の場合の検査でして、それを手術前に DIC の可能性を判定する意味の検査としてやることは実際的には余りないと思うんですけれども。
これらの検査内容から、DIC の危険性を否定するような材料というのは何かありますか。
危険を否定する …… やはり異常値ですので、その原因としては肝硬変が原因ですので、そういう意味で DIC は起こるということは … 起こる可能性はもちろん考慮する必要があると思います。
これは結果論かもしれないんですけれども、前回の御証言ですと、1,767ml の出血が引き金となって今回の場合は DIC の誘因になったというようなことを主張されておりますね。
はい。
この出血量としては、証人の理解では必ずしも大量なものとは言えないと。
はい。
それにもかかわらず DIC が発症したという結果から見れば、この値というのはかなり DIC になりやすい非常に悪い状態だったというふうには思いませんか。
… 非常にというか、それは非常にとは言えるかどうかは分かりませんけれども、肝硬変の状態とその出血が組み合わさって DIC になったと思いますので、その 1,700ml 強の出血というのは、例えば肝硬変のない人であれば恐らく合併症を起こすことはなかったんだと思いますけれども、そういう意味で、組み合わさったことによって DIC が発症したと思います。
だけど肝硬変であるということは、当然、所与の前提として術前に予想してたことですね。
はい。
それと出血が組み合わさって DIC が発症するということは予見されてたんではないですか。
起こるとは思ってませんでした。
でも起こる可能性は予見できたわけですね。
起こる可能性は … うん、そうですね。
予見できましたね。
(うなずく)
あなたは陳述書の中でも、DIC になりやすい患者であったことは確かであるということは認められていますね。
はい。
もし DIC が発症するだろうということが予想できたとすれば、一般的にはどんな予防的な措置が採られますか。
DIC が起きるだろうと思ったら手術をしないです。
そもそも手術はしない。
起きると思ったら手術はしないです。

続く


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