医療過誤裁判 私の場合 被告医師反対尋問 1
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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1999年 9月 30日
第 8回口頭弁論 被告医師 反対尋問 1

DIC は予想していなかった


(原告代理人 K)
証人は、今回の●●さんの手術を行うに際して DIC が発生するだろうということは予想されていましたか。
予想していませんでした。
前々回の御証言によりますと、DIC で死亡された手術例も 3、4例経験されているということを証言されていますね。
はい。
それでも全く予想されなかったですか。
全くというか、DIC という病態は大きな手術をやった場合に起こりうることとして一応考慮はしますけれども、●●さんの場合にそれが起こるとは考えていませんでした。
それは何か根拠のようなものはありましたか。
手術の切除範囲が、亜区域切除あるいは亜区域の部分切除という切除範囲が小さい手術になりますので、肝機能から考えて DIC は起こらないというふうに考えていました。
ただ肝切除手術の場合は手術自体が DIC の原因になりうるということはよく文献で指摘されていることだと思うんですけれども、そういった御理解はありましたか。
その肝機能と手術の切除範囲のかねあいで起きるわけで、肝切除術そのものが DIC の原因にならないと思います。
(甲第 19号証を示す)
これは「外科治療」という雑誌 (1999 増刊 手術術式からみた周術期管理のすべて 永井書店) なんですけれども、この雑誌は御存知ですね。
はい。
甲第 19号証の 467 というページ (術後 DIC) の「要旨」のところの中段以降なんですが、手術自体が DIC の原因となり得る点を常に念頭に置かなくちゃいけないというようなことが書かれておるんですけれども、こういったことはあまり言われていないことなんでしょうか。
手術自体がという、この表現がちょっと分かりませんけれども、手術ということは、例えば肝臓を切ったりそういう手術のことを指すわけですから、そういう操作が DIC の原因となるということを言っておると思います。 ただ手術ということは、例えばどんな手術でもなるという意味にはこれはちょっと取れないと思います。
これは肝切除のことについて言っているんですけれども、同じく 467というページの本文のところの右側ですが、 「DIC発症に防御的に機能する肝網内系を犠牲にする肝切除術後の DIC はきわめて術後早期に発症し、その死亡率も高いことは特筆すべき問題である」 と書かれてありますね。 こういった御理解はありましたか。
何度も言うんですけれども、肝機能と肝切除上のかねあいでして、正常肝ですと 4分の 3切除しても手術には耐えられるわけですから、例えば正常肝に対して半分だとか 4分の 1の切除であれば DIC が起こるということはまずあり得ないということです。
それは正常肝の場合ですね。
はい。
今回の場合、肝硬変ですよね。
ええ。
正常肝とは同一には論じられないんじゃないでしょうか。
肝硬変の場合でもやはり程度があるというか、肝機能は様々ですので、その肝機能に応じた手術をやれば DIC にはならないというふうに考えてますけれども。
(乙第 27号証を示す)
722 というページですが、ここの八番の「DIC」というところに 「肝機能に応じた適正な術式を選択すれば DIC が単独で発生することはまれである。」 と。 これは被告さんのほうで準備書面で引用されている部分ですが、その下のほうに 「術中の大量出血が引き金となって DIC を続発することがあり」、 それと 「MOF の一部として発生することが多い」 というようなことが書かれていますね。
はい。
こういった御理解はあったですか。
はい、これはあります。

続く


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