医療過誤裁判 私の場合 被告医師主尋問 1-7
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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1999年 4月 15日
第 6回口頭弁論 被告医師 主尋問 1-7

手術経過
出血が多く開腹手術へ移行 手術の進捗について陳述書と矛盾する証言


次に、平成 7年 6月 15日の手術の経過について伺います。
乙第 15号証の 4ページを見てください。 麻酔開始は何時ですか。
12時 56分です。
腹腔鏡下の手術開始は。
13時 45分です。
術者はあなたですね。
はい。
助手はどなたが務めましたか。
●●、●●です。
麻酔は全身麻酔ですね。
はい。
●●さんの場合の腹腔鏡下の肝切除術についてはビデオを撮っておりますね。
はい。
ビデオを撮ったのは何か特別の理由があってのことでしょうか。
特別な理由はないです、記録に取っておこうということです。
乙第 15号証の 5ページの手術記事という所を見てください。 腹腔鏡下の手術の経過ですけれども、手術記事としてはこのページに記載してあるのが最初の手術のすべてですね。
はい。
腹腔鏡下の手術はどれぐらい続けたことになりますか。
3時間ぐらいだと思います。
3時間ぐらい経過した時点で、肝切除術はどの程度まで進んでいたんでしょうか。
……… 何とも言いようがないんですけれども、半分から 3分の 2ぐらいでしょうか、半分強ぐらいだと思うんですけれども。
肝の切離は 3分の 1程度までしか進んでいなかったということではないですか。
……… まあ半分 …、そのへんが何とも言いようがないんですけど。
例えば腫瘍を養っている肝動脈だとか門脈などの処理はどうだったんでしょうか。
それは進んでいません。
3時間ぐらい進んだ時点で腹腔鏡下の手術をあきらめて開腹手術に切り替えたという順序になるんですか。
そうです。
腹腔鏡下の手術を 3時間の時点で断念した理由はどういうところにあるんですか。
手術は、全般的に言いまして視野があまりよくなかったということと、あと、肝切除術を進めていって表面の所はかなり済んだんですけれども、深い所のより重要な所に替わるところで、脈管とかの処理が必要になってくるような段階になって、深いところになればなるほど視野が更に悪くなりますので、そのまま続けると出血が増えるということと、あとどれぐらい時間がかかるかという見通しがちょっと立てれなかったもんですから、開腹術に変更しました。
手術記事を御覧になっていただけますか。 一番上に、腸管内のガスが多く、また肥満のため小腸が邪魔をして視野が不良だったというふうに書いてありますが、視野不良の原因はこういうことになるわけですか。
そうです。
●●さんは、体型はどういうタイプの方ですか。
体型はやや肥満、内蔵型の肥満です。
そういう患者さんの場合には、術前からこういう腹腔鏡下の手術をやっても視野が悪くなるんじゃないかと、そういう予測は立たないものなんですか。
普通の腹腔鏡下の胆嚢摘出術などでは、肥満があってもおなかの中にガスが入りますので視野の妨げにはあまりならないんですけれども、腹腔鏡下の肝切除術の場合には、そういうガスを入れる気腹法ではなくて吊り上げ法というのをやりますので、そのほうがやや視野が不良になります。 その吊り上げ法をやる理由というのは、ガスで気腹すると肝臓の断面からガスが入り込む可能性があるために、腹腔鏡下の肝切除術では気腹法ではなくて吊り上げ法をやるのが一般的です。 ですから、吊り上げ法の場合には脂肪が邪魔になることがあると。
結局、あなたが当初予定していたよりも腹腔鏡下の切除術は、速くはかどらなかったと、こういうことになるわけですか。
はい。
その理由は何かと言われれば、肥満のために小腸が邪魔をして視野が悪かったということと、腸管内のガスが多いということが書いてありますが、それも影響しているんですか。
ええ、腸の中にガスが多い印象でした。
それが手術を進めるのに手間取るというのか、支障になるということもあるわけですか。
視野不良の原因になります。
手術記事の真ん中よりやや下のあたりですが、 「肝硬変の程度強く、キューサーにては肝ほとんど有効に切離できず。 電メス、キューサーを使用して肝切離を進めていったが、出血多く腹腔鏡下では困難と判断し開腹に移行した」 と書いてあるんですけれども、肝硬変の程度が強くて肝が有効に切離できなかったと、これも手術に時間がかかった原因になるのとは違いますか。
なります。
その後の、出血が多く腹腔鏡下では困難と判断したとこうあるんですが、出血の状況はどうでしたか。
この時点で、たしか 550cc 程度の出血だったと記憶しております。
550cc 程度の出血というのは腹腔鏡下の手術として非常に多いのか、判断はどうでしたか。
550cc の出血というのは腹腔鏡の場合には、やはり視野が悪くなる原因になりますので、腹腔鏡下の手術としてはもっと少なくやりたいということです。 多いと言えば多いです。
手術記事に出血が多くと書いてあるのは、腹腔鏡手術を続けるにはこれだけの出血があると視野が不良になって手術がやりにくくなると、こういうことなんですか。
はい。
腹腔鏡下の手術をやっているときの出血量は 550ミリリットルという話が出ましたが、それはどこかに記録があるでしょうか。
カルテの看護記録に記載があります。
看護記録というと乙第 15号証の 11ページでしょうか、見てください。
左の所に 「視野が悪く出血も多くなり、徐々に BP も下降気味で開腹となり、出血量 550ml 」 という記載があります。
出血量の測り方ですけれども、手術室ではどのようにして測定しているんでしょうか。
吸引器で吸引して、吸引器にたまった量を測っています。
今のお話で開腹手術に切り替えたわけですが、開腹手術に移ってからの切除術の進行といいますか進み具合はどうだったでしょうか。
開腹術に移ってから特に印象に残るようなトラブルとかなくて比較的スムーズに行えたように思うんですけれども、手術終了が 19時 25分ですので、手術時間は開腹術に移ってから 2時間そこそこだと思うんですけど。
もう一遍、乙第 15号証の 5ページの手術記事に戻ってください。 開腹に移行した後、肥満のため肝は頭側に位置し、肝切はやりにくかった、というような記述があるんですが、これはさほど手術の進行に支障が出るほどの状況ではなかったんですか。
開腹の創の大きさというか、創を開ければ特に問題にはならない、ただ深いという印象はあったです。
切除術が終わって、止血はどのようにしましたか。
止血は止血剤のアビテン、オキシセルガーゼ、ボルヒールという薬剤を使用して断面の止血をしました。
手術記事を見ますと 「肝断面よりの woozing 様出血多し」 とありますから、じくじくしたような出血が肝断面からあったという記載があるんですが、これは今おっしゃった止血操作によって止血できたんでしょうか。
閉腹する時点ではもう止血できたと判断して閉腹しました。
乙第 15号証の 11ページを見てください。 右の欄の一番下の所に出血量という記載欄がありますね。
はい。
そこに 1,767 という記載がありますが、これはどういう意味ですか。
これは腹腔鏡の手術と開腹の手術を含めた出血量です。
これは腹腔鏡下でやったときの出血量が 550ミリリットルとおっしゃいましたから、ここから 550ミリリットルを引けば、それが開腹手術に移ってからの出血量ということになるわけですか。
はい。
1,767ミリリットルという出血量は、いわゆる亜区域肝切除術の出血量としてはどう評価したらいいんでしょう。
多いです。
一般的にはどの程度で収まるものですか。
500から 1,000ミリリットルぐらいが大体、平均だと思います。
腹腔鏡下の手術をやらずに始めから開腹による肝切除術をやっていたら出血量はどうだったかという、まあ仮定の問題ですけれども、これは推測は可能でしょうか。
それはちょっと何とも言えないですね、仮定ですので。
どの程度で済んでいたかということは言えないにしても、1,767ミリリットルよりは少なく済んだ可能性が高いかどうかそのあたりの判断はどうですか。
僕が思いますには、最初から開腹でやったほうが恐らく出血は少ないと思います。

以上


予定時間を超えたので一旦終了し、1999年 6月 17日 (木) 奇しくも父の命日に続きを行うことになりました。


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