最終更新日: 2002年09月16日、
アクセスした日: 12月14日
1998年 4月 23日
第4回、第5回口頭弁論 第1症例の外科診療録が行方不明
2月10日 被告側弁護士からの「事務連絡」
本症例より前の腹腔鏡下肝切除術の症例
- 同症例については内科診療録は存在しますが、外科診療録の行方が現時点では不明で、現在調査中です。
- 現存する内科診療録から、以下のことは判ります。
- 患者は当時73歳の女性で、肝臓ガン (S6、3〜4cm、単純節型、II期?)
- 1995年 3月10日 外科にて腹腔鏡下にて肝切除術施行
1995年 3月18日 退院
- 1995年11月14日 S7にガン再発発見 (2cm)
1995年12月11日 外科にて肝動脈塞栓術 (TAE) 実施
- 1996年 5月15日 腹腔内転移発見
1996年 9月 3日 死亡
- 現時点で同上患者の診療録を乙号証として提出するとすれば、内科診療録しか提出できませんが、いかが取りはからうか2月12日にご意見をきかせて下さい。
2月12日 第4回口頭弁論
被告側弁護士が、求釈明に対する回答の準備書面 (2月10日付 事務連絡と同一)を陳述し、以下の書証 乙19〜25号証を提出しました。
- 第56回 日本臨床外科医学会総会 1994年 11月 17日〜19日
V-78 肝癌に対する腹腔鏡補助下手術 (大阪厚生年金病院外科 山崎 元 他)
- 腹壁吊り上げのみで肝切除を試みたが、視野不良のため左上腹部の腫瘍直上に約9cmの横切開をおき直視下及び腹腔鏡下にマイクロ波及び超音波メスを用いS3部分切除を施行した。
- 手術時間 330分、出血量300g。
V-79 腹腔鏡下肝切除における凝固止血装置の使用経験
<マイクロターゼとアルゴンビームコアグレーターの比較検討>
(東邦大学大森病院第2外科 高木 純人 他)
- Wilson病の確定診断のため、13歳女児に対し1994年2月腹腔鏡下に肝S4部分切除を施行した。
- Microtaseは肝切離前に使用することにより多少の時間を費やすものの、肝切離の際の止血能力に優れており実験では拍動性の出血までも確実に止血することが可能であった。
- ABCは、肝切離面のwoozingに対し効果的で短時間で広範囲の止血が可能であった。
しかし連続使用により腹腔内圧の急激な上昇を引き起こすことがあり気腹下に使用する際は注意を要する。
- 第45回 日本消化器外科学会総会 1995年 2月 23日〜24日
R-52 肝膵脾疾患に対する腹腔鏡下手術の手技と適応 (大分医科大学第1外科 北野 正剛 他)
- 肝左葉(S3)に存在する直径5cmの血管腫に対し気腹法下に腹腔鏡下切除術を施行した。
- 手術時間約90分で出血も極わずかであった。
R-53 肝細胞癌に対する腹腔鏡下治療 マイクロ波凝固壊死療法および肝切除 兵庫医科大学第1外科 山中 若樹 他)
- 肝細胞癌の治療は病態に応じて切除、TAE、エタノール注入療法のいずれかあるいは組み合わせたものが主流である。
- しかし、切除は危険で、TAEも不十分に終わりやすい。
- また、エタノール注入するにもサイズの大きい高度肝硬変合併の単結節型肝癌があり、これらに対して腹腔鏡下でマイクロ波を用いた凝固壊死療法(MCN)あるいは部分切除(Hx)を行ったので報告する。
- Hx 手術手技: 肝辺縁あるいは表面に隆起突出した肝癌3例におこなった。
- 切離に伴う出血は殆どない。
- 同手技が適用される単結節型肝癌例は占拠部位、発育方向の点で極めて限定される。
R-54 腹腔鏡下肝外側区域切除の試み (東邦大学第2外科 金子 弘真 他)
- (腹腔鏡下手術の)肝切除への応用は、その解剖学的特殊性から現在積極的に行われておらず、部分切除例の報告を散見するのみである。
- 今回、我々は動物実験による経験をもとに、臨床腹腔鏡下肝切除6例中2例に外側区域切除術を施行したので豚左外側葉切除術とともに報告する。
- 63歳女性 転移性(乳癌)肝癌(S2、S3)と64歳男性 慢性腎不全にて透析中の原発性肝癌(S2、S3)
- 肝切離にはMicrowave coagulationとSurgical ultrasonic aspiration (SUA)を併用し、脈管系はclipping後切離したがGlison, left hepatic veinは慎重に確認後clipとエンドループ、或いはエンドリニアカッター(ELC)の併用による2、3重の結紮を行った。
- 切除断端の止血にはArgon beam coagulator、Fibrin starchを使用した。
- 転移性肝癌の1例の手術時間は245分、出血量は約430ml、術後経過は極めて良好。
- しかし1例は脈管処理後肝摘出直前に出血傾向を認めた為、開腹となったが明らかな出血点は確認できず圧迫にて止血し得た。
- ストライカー 3・CCDビデオカメラ モデル782 (松本医科器械)
- ソノペッカー技術資料 (アロカ?)
- エチコン エンドサージェリー 内視鏡関連 製品総合カタログ (トロッカー、クリップアプライヤー、鉗子)
- Auto Suture ENDO CLINCH (輸入販売元 センチュリーメディカル)
- Auto Suture ENDO RETRACT II (輸入販売元 センチュリーメディカル)
乙21、23〜25号証は製品カタログ、乙22号証は製品の特長を述べた営業資料であり、原告側が求めていた「使用説明書」に相当する資料は提出されませんでした。
原告が求めている第1症例について、外科診療録の所在が不明になっているが、次回、内科診療録だけでも提出の予定です。
次回口頭弁論を4月23日に行うことを決め、第4回口頭弁論は終了しました。
4月17日 被告側弁護士からの「事務連絡」
本症例より前の腹腔鏡下肝切除術の症例について
- この症例の外科の診療録は現在見つかっておりません。
- 経過の概略については、1998年 2月 10日付の書面で申し上げたとおりですが、内科通院診療録のコピーを同封します。
- 読みにくい診療録ですが、
- 1頁の表紙
- 4頁の腹部CT検査報告書
- 5頁の手術(腹腔下手術のこと)した旨の記載
- 7頁の入院総括
- 11頁の超音波検査
- 12頁の腹部検査報告書
- 17頁の入院総括
- 24頁の超音波検査診断
- 30頁の腹部CT検査報告書
- 33頁の入院総括
などから、経過の概略はご理解いただけると思います。
ただ、当初S6の肝癌が単結節型で、病気がII期であったことは被告医師の記憶によるもので、診療録に明確な記載はありません。
- この内科通院診療録を乙号証として提出するかどうかご検討下さい。
4月23日 第5回口頭弁論
- 被告側弁護士が、「被告医師が参考にしたビデオテープがあり、証拠申請予定である」ことを明らかにしました。
- 第1症例の内科カルテは、証拠として提出されませんでした。
- 次回は、準備期日で、証拠調べをどういう手順で進めるかを決める予定です。
次回準備期日: 1998年 6月 4日(木) 13:30〜 名古屋地裁
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