医療過誤裁判 私の場合 被告訴訟代理人 鑑定申請に関する意見書
最終更新日: 2002年09月16日、 アクセスした日: 12月14日

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2000年 4月 18日
被告訴訟代理人

鑑定申請に関する意見書

被告の 2000年 2月 3日付の鑑定の申出に対し、原告から同日付の鑑定申請を却下すべきであるとの意見書が提出された。 そこで、鑑定事項のそれぞれについて、被告の意見を述べる。

1 鑑定事項1 について

本鑑定事項は撤回する。

2 鑑定事項2 について

腹腔鏡下肝切除術の適応は、必ずしも、肝外発育型のみの腫瘍に限定されるものではないことは、被告の 1999年 3月 9日付準備書面3 ないし 5頁で述べたとおりである。

したがって、本件腫瘍が肝外発育型でない場合でも、腹腔鏡下肝切除術の適応であったかどうかについて鑑定を求めることは必要である。

3 鑑定事項3 について

本鑑定事項についても鑑定を求めることには意味がある。 被告は、前記準備書面5 ないし 7頁において、本件では術前の検査結果に照らして手術適応であり、DIC 発症の具体的危険性があったとはいえないこと、および、K医師もこのような具体的危険性を認識しつつ手術を実施したわけではないことを主張している。 術前の検査結果から DIC の発症の具体的危険性があったといえるかどうかは重要な争点であり、これまでの審理でこの点が明確に判断できる段階に達しているとは考えられない。 よって、裁判所の判断を補助する資料の一つとするため、鑑定することは必要である。

4 鑑定事項4 について

前項で述べたように、術前の検査結果からみて、本件手術が適応かどうかを判断するに当たっては、術前の血小板輸血あるいは輸血の準備の有無により、結論が異なる可能性がある。 よって、この点も鑑定意見を求めることは無意味ではない。

また、被告は、前記準備書面 9および 10頁において、血小板輸血の適応について検討し、本件は術前に血小板を輸血する基準には達してない旨を主張した。 血小板輸血の要否については原、被告の主張に対立があるから、鑑定意見を求めることは必要と考えられる。

5 鑑定事項5 について

腹腔鏡下肝切除術を行うに当たって、マイクロ波凝固装置やアルゴンビームコアギュレーターなどの止血機械は必須のものでなく、腹腔鏡用キューサー (超音波吸引装置) やバイポーラコアギュレーター (電気メス) を使用して行うことも可能である。 このことは前記準備書面 7ないし 9頁で述べたところであり、この点は原告の主張と対立する点である。 双方の主張の当否について鑑定を求めることは必要である。

6 鑑定事項6 について

被告は、前記準備書面 10および 11頁において、腹腔鏡下手術から開腹手術に移行した時間に遅れがないことを主張した。

右の移行時期に遅れがあるかないかの問題は、これまでの審理の結果から、しかく明確に判断できる事項とは考えられない。 裁判所が鑑定意見を参考にして判断するに適した事項と考える。

7 鑑定事項7 について

被告は、本件患者の死因について、肝切除後 (第1回手術後) に DIC を発症し、DIC に多臓器不全、特に肝不全が合併したことにあると主張してきた。

原告が DIC の発症時期を含めて、死因に関する被告の主張を認めるのであれば、本鑑定事項は撤回してもよい。 しかし、そうでなければ、死因についての鑑定はやはり必要とみるべきである。


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